仏検をもっと魅力的に!

                      中村 典子(甲南大学 国際言語文化センター教授)

 
表題からすると、筆者が仏検に魅力を感じていない、と誤解されるかもしれないが、決してそうではない。実は、筆者は、仏検創設以来、ずっと仏検のことを気にしている。それを証明するために、まず、仏検と筆者の係わりについて、次に、仏検の魅力について語り、最後に、仏検で改善を希望する事項を記したい。


 【1】仏検の創設が1981年であったことを筆者はよく覚えている。なぜなら、1980年(サルトルが死去し、アルチュセールの事件が起こった年だ)に大学を休学してパリに留学した筆者が、1981年秋に帰国して卒論に追われていた頃、1年先に大学を卒業し、大学院に進学したり、フランス系の企業に勤めていた友人たちが、創設された「仏検1級」に合格したと知らされたからである。日本にいた友人たちが受かったのに、パリに1年留学していた筆者が落ちると、「留学=遊学」だったとばれてしまいそうで、その後、怖くて仏検を受ける気にはならなかった。そう、筆者は落ちるのが怖くて、一度も仏検を受けたことがないのだ(スミマセン)。 

 しかし、数年後、非常勤講師としてフランス語を教える立場になると、学生たちから「先生は仏検1級を持っていますか?」としばしば聞かれた。焦った筆者は「えーっと、フランス語を教える立場になると、仏検のお手伝いをすることがあり、残念ながら、仏検受験はできないのです」と答えていた・・・(苦笑)。実際、APEFが欧明社の2階にあった頃、フランス語の法定翻訳兼タイプ打ち(コンピューターがなかった1990年以前)、八王子のフランス語合宿の助手、また、仏検の採点にも従事させていただいた。それ故、仏検を何らかの理由で批判することがあるとすれば、それは、仏検をもっとプロモート(promouvoir)したいという思いからだ。 
 
 1997年に神戸の甲南大学に赴任し、友人の勧めもあって準会場を運営するようになった。そこで、運営責任者の立場から、仏検事務局に次のようなお願いや要望をお伝えしてきた。①2級以上の2次試験の採点を、英検のように「別立て」とし、1次試験免除制度を取り入れてほしい。②試験終了後、問題用紙を回収するように仏検事務局から指示された時、受験生のためにならないと反対した。③4級の聞き取り試験のネイティブの発音にかなりの訛りがあったので、口頭および文書で仏検に抗議した。④2003年頃、台風のために試験が実施できない可能性が生じたことがあった。結果的には実施できたが、その後、万が一に備えて予備問題を作ることを提案した・・・という具合に、いろいろと勝手なことをお願いしたが、④以外はすべて実現あるいは改善された。(Merci infiniment !) 仏検関係者の方々が非常に柔軟な考え方を持っておられることを、ここで強調しておきたい。ご退職なさったが、長年APEFの中心的存在でいらした金沢(安川)千鶴子さんには、アルバイト時代も含めて大変お世話になり、心から感謝している。

【2】仏検の魅力について、筆者は、シラバス等で次のように説明している。 
① 一旦資格を取得すると、一生有効である。
② 3級や4級の合格も、履歴書やエントリー・シートの資格欄に記載できるので、就職活動でプラスとなる。
③ 解答形式が多肢選択式のみのTOEIC・TCF・TEF(便宜上、3Tと呼ぶ)とは異なり、仏検では3級以上に記述式解答部分があるため、実力がないと合格できない仕組みである。また、試験終了後、解答例がもらえるので、すぐに自己採点・反省ができる。

 さて、①は非常に大事だ。英検もそうだが、一旦取得したら「生涯有効」であることが学習者に安堵感を与え、上の級に挑戦する気持ちを育む(因みに、筆者は、十数年前に英検準1級を取得したので、その後、3回1級に挑戦した。今後も挑戦を続けていきたいと考えている)。 

 多肢選択式(=クイズ形式)の3Tは、基本的に人をランク付けするための試験であり、レベル別の問題でもなければ、合格・不合格もなく、有効期間は2年間とされている。就職活動や会社等で求められなければ、また、移民申請に必要でなければ、誰が2年に一度試験を受けるだろうか? お金と時間の無駄である。因みに、中国語検定は2005年から急に有効期間を設けたことで、過去に合格した人たちから猛烈な批判を受けたらしい。②について、ちょっと面白い例を挙げよう。筆者の所属する国際言語文化センターでは、学生に複数の言語の修得を奨励しているため、専任教員も、複数の言語の運用能力があることが望ましい。これまでに何回か専任教員の公募があったが、参考事項として、専門の言語や英語以外に、どんな外国語がどの程度できるのか、証明してもらっている。「仏検4級」「ハングル能力検定4級」と記載し、合格証書のコピーを提出した人もいた。高いレベルではなくとも、一定のレベルに達している、という証明は意外と役に立つのである。③も重要で、自分で答を書く部分があることで、学生は真摯に学習に取り組む。検定試験は通過点にすぎないが、仏検受験をきっかけに、フランス語の文章を読み、フランス語を聞き取ろうとする「主体的な学習」の機会が増えることは間違いないだろう。

 【3】仏検をプロモートしている教員の立場からは、次のような改善を検討していただきたい。
 希望1 :「インターネット申込」が可能となったことは喜ばしい。次に、1次試験に合格した準2級以上の受験者に「1年間の1次試験免除」を適用してほしい。英検では、2013年6月の1次試験に合格すれば、2次試験については、2014年6月まで計4回の受験が可能である。
 希望2 :過去1年間の問題をWEB上で公開してほしい。久しぶりに英検のサイトをチェックしたが、問題冊子・リスニング原稿・リスニング音源・解答を過去1年間3回分、すべて公開するだけでなく、無料・隔週更新の級別・英検対策講座も提供している。飛躍的に受験者数を伸ばしているTOEICに対抗するため、英検も随分と変わった。仏検にとって、過去問題や音源を公開することは、学生数が減少するなか、社会人の受験者を増やすことに繋がると思う。サンプル問題さえWEB上にない現在の状況では、社会人の方へのアピール度が低いのは否めない。筆者は、ある文化センターでフランス語の講座を担当しているが、WEB上で過去問題と音源を公開すれば、公式問題集を購入し、受験を前向きに考える社会人の方は少なくないと思う。
 希望3 :3年次・4年次の学生は、仏検よりTOEICを優先するので、TOEICと試験日が重ならないようにしてほしい。TOEICは年に10回もあるので、学生が早目に計画を立てればよいのだが、そうも言ってられない。そこで、今年から「各言語の検定試験+TOEIC」のカレンダーを作成し、本センターのポータルサイトに置く計画を立てている。

 *よろしければ、4月以降、次のサイトをご参照ください。〈http://www.kilc.konan-u.ac.jp/modules/top/〉 「甲南+言語」の検索で出ます。

 数年後、仏検がさらに魅力的になっていることをお祈りしている。 

変わらぬ想い

2012年秋季準1級合格
橋本 佳奈
学生・東京都

準1級への挑戦は私にとって3度目で、まさに「3度目の正直」でした。合格できたことだけでもすごく嬉しいのですが、さらに成績優秀者として表彰して頂き、大変光栄に思っております。 

私は小さな頃から、何歳のときからかは覚えていませんが、気づいた時には「フランス語を勉強したい!」と思っていました。確かなことは15歳のときに初めて訪れた国際空港でエールフランスのカウンターを見つけ、乗りもしないのにそこで記念撮影をしたこと。あの時にはすでにフランスに対して漠然とした憧れを抱いており「いつかこの飛行機に乗って、フランスに行くんだ!」と強く思ったことをはっきりと覚えています。 

その想いは一度も変わることがなく、夢への第一歩として、大学の仏文科(学習院大学文学部フランス語圏文化学科)に入学しました。初めて受験した仏検は、大学1年次の秋季試験の4級。今回の準1級の合格も本当に嬉しいものですが、あの初めて合格証書を手にした時の喜びは忘れられません。 

その後、2年次の秋季に2級を取得できたことが私の背中を押してくれ、交換留学生として1年間、リヨン第2大学に留学することを決断しました。旅行でフランスへ行くことと実際にそこで生活することとの間には大きな差があり、渡航当初は戸惑うことも多々ありました。しかし、段々とフランス人の友達の助けがなくても自分のフランス語だけで出来ることが増えていき、そういう小さな成功の積み重ね、それは「ひとりで銀行に行って口座に関する問題が解決できた」や「スムーズにレストランの予約が取れた」など本当に些細なものでしたが、全てが自信につながり、留学生活が楽しめるようになっていきました。 

在学中から、将来はフランス語を使った仕事をして活躍したいと思っていましたが、自分の語学力がまだまだ足りないと感じ、昨年卒業後から今までの約1年間、語学学校(アテネフランセ)で徹底的に勉強しました。準1級に合格するためには文法・読解など全ての要素を全体的に底上げしなければならないと思い、基礎からやり直しました。

大学院などに所属しているわけではないので、自分の不安定な立場に心折れそうになったこともありましたが、合格するくらいの力がつけば、必ず道は拓けると信じていました。そして今、目標を達成したことにより、フランスの大学院への進学挑戦などを含めた、また次の目標を設定することが出来そうです。今後もさらなる高みを目指し、努力し続けたいと思います。




 

Le français pour tous (皆にフランス語を)

 2012年春季1級合格・エールフランス特別賞受賞*
嶋崎 裕子
Yuko SHIMAZAKI
主婦・埼玉県 

Des jeunes salariés ou des retraités? Des Tokyoites ou des provinciaux?
La disparité des occasions d’enseignement demeure au Japan. Certains trouvent sans difficulté les moyens d’étudier le français, d’autres n’arrivent pas à dénicher une telle opportunité. Dans les grandes villes, l’Institut franco-japonais nous fournit des programmes éducatifs de premier plan. Même hors des grandes villes, si on fait appel à Internet, il n’est pas difficile de se mettre au courant du français vivant. Par contre, quelle est la situation pour ceux qui ne peuvent pas profiter de tels moyens?

Je m’appelle Yuko Shimazaki. C’est l’archétype de la femme japonaise qui s’est dévouée aux tâches ménagères. J’ai filé une dizaine d’années heureuses auprès de mes enfants.

Il y a 5 ans, ma vie a connu un tournant. Une amie est morte d’un cancer de la poitrine. Soudainement. Sa mort précoce m’a fait réfléchir sur le vrai sens de vie.
« Qu’est-ce que je ferais, si je devais mourir demain? »
« Qu’est-ce que je ferais, si je devais mourir demain? »
J’ai répété la même question dans la tête. Il n’y a eu qu’une seule réponse.
« J’ai envie de recommencer les études du français! »
Jusqu’alors, j’avais interrompu tout ce qui me libère et m’épanouit. La langue française, entre autres, était délaissée au fond de ma mémoire.

D’abord, j’ai commencé à écouter les émissions éducatives du français de la NHK. Ces programmes n’étaient pas inutiles, mais loin d’être satisfaisants. Du fait que les enseignants et les méthodes changeaient tous les trimestres. Cela me semblait manquer de cohérence et d’uniformité.

Ensuite, j’ai suivi les cours de l’Institut franco-japonais de Tokyo. Les professeurs de haute volée et les cours variés m’ont fascinée. Pourtant, j’habitais loin de l’Institut. Et les frais scolaires n’étaient pas négligeables. Le temps et le coût requis m’ont écartée de cet établissement.

Et puis, j’ai cherché un club d’études du français près de chez moi. Il y en avait deux, mais là, le français n’était considéré que comme un passe-temps.

Finalement, je me suis décidée à étudier toute seule. J’ai acheté régulièrement des journaux et des revues en français. En plus, Internet m’a offert des occasions d’écouter le français vivant et de connaître l’actualité de la société française.

4 ans se sont écoulés. Je me suis lassée d’étudier toute seule. J’ai passé un examen de DAPF dans le but de me lier avec la communauté des francophiles. Mon succès à l’examen du « 1 kyu (NIVEAU 1) » m’a étonnée et encouragée à continuer mon chemin.

Une autre surprise a suivi. Les membres du club que j’avais renoncé à fréquenter m’ont demandé d’enseigner le français, dès qu’elles ont connu mon acquisition du diplôme « 1 kyu (NIVEAU 1) ». Ellles voulaient organiser un autre club pour satisfaire leur appétit de savoir intarissable. Elles étaient dans la soixantaine. Elles ne pouvaient plus aller à l’Institut franco-japonais ni mettre en valeur des sites Internet pour raison d’âge et de santé. Elles vivaient humblement dans la communauté locale.

Je me suis demandé : « Le français, est-ce que c’est la langue exclusivement pour les jeunes salariés intellectuels? Pour ceux qui habitent dans les grandes villes et qui ont accès aux occasions d’études? »« Non! »
J’ai créé un nouveau club du français. Je travaille pour « le français pour tous ». Je suis honorée de contribuer à la promotion de cette langue dans ma petite ville.

* 2012年度成績優秀者表彰式当日に実施されたエールフランス特別賞選考会のために提出されたエッセイを、ご本人の許可を得て転載させていただきました。

フランス語を通して出会った価値観

2011年春季2級合格 
井田 明日香(会社員・東京都)

学生時代に交換留学を通して、フランスの高等教育機関に留学する機会を得ました。

元々、語学に関心を持ちフランス語を学習していたのですが、留学先ではフランス語を通して政治・社会問題について議論する多くの機会を得ました。中でも、女性の社会進出、家事、労働時間等の話が多く議題に上がり、一人の人間として仕事を充実させ、且つ女性として幸せな人生を送ることが可能であるということを教えられました。

また、自分がどうしたいか、どう考えるか、何を発したいかが大事で、周りがどう考えるかは二の次。「空気を読む」という言葉が全く相応しくない空間で、全く異なる価値観の人とぶつかり、主張し合い仲良くなるという不思議な瞬間を体験しました。

個人の権利が尊重されるフランスの価値観は、時に集団を尊重しなければいけない日本の価値観と相反するところがありますが、行き詰った時に自分を強く支えてくれる重要な価値観となりました。フランス語を学習しなければ、決して出会うことのできなかった価値観だと思います。

これからも、フランス語は私の中に生き続け、私を前に進ませてくれるかけがえのない言語となっていくことと思います。














 

ミュージカルでフランス語!

2011年秋季4級合格
北郷 礼奈
中学生/白百合学園中学高等学校・東京都



私はフランスは勿論海外渡航全くの未経験者です。小学校からフランス系カトリック校に通っており、そこでフランス語やフランスの文化に触れる機会があり、フランスは私にとってまだ見ぬ憧れの国となりました。中学ではフランス語と英語のどちらかを選択するシステムの為、私はフランス語を選択し、中学からようやく本格的な勉強が始まりました。

中学入学時には迷わずC.C.F(Club de Culture Françaiseの略)というフランス語ミュージカル部に入部し、二年間で「アイーダ」「グリース」「マルグリット」「ガイズアンドドールズ」を上演してきました。

C.C.Fのミュージカルはまさに女子校の宝塚という感じです。歌・セリフ全てフランス語の為、英語や日本語とはひと味違うフランス語独特の抑揚や発音が、より大人っぽいムードを醸し出します。 

しかし、フランス語の「溶ける」ような発音が発声に厄介さをもたらします。溶ける発音になって大きな声が出しにくいのは主に、[j][s][r]の発音で終わるものです。空気が抜けやすいのです。よく台詞で使われるものでは「changer」「chance」「chéri」などです。

また発音しにくいのは「on」「en」など鼻にかかるものです。「garçon」は発音しにくいです。このような音を発音すると、通常の8割程度の声量になる為、腹筋と発声練習がより重要になってきます。しかし「belle」など「ウ」の段で終わるものは比較的歌いやすいです。私も高校生の先輩方の圧倒される歌声を目標に日々頑張っています。 

どの作品も大切な思い出ですが、印象に残っているのは「アイーダ」と「グリース」です。「アイーダ」は一年生で初出演、無我夢中で「Aimer」「Duel」「Vérone」(仏版ロミオとジュリエットの曲)や「Laissons entrer le soleil」(フランスのポップス)を歌いました。「グリース」は初めて台詞を頂いた特別な作品です。「Salut les copines!」私はこう言って舞台に飛び出、高校二年の先輩を思いきり突き飛ばします。出る直前までの緊張感と飛び出した瞬間伝わってきた熱気は今でも鮮明に覚えています。私にとってフランス語は、常に私に夢と目標を与えてくれる、かけがえのない親友です。

                  

「名古屋造形大学」のフランス語教育

牧 博之(名古屋造形大学教授)

 本学は美術系大学です。『APEF通信』において大学・短大別出願状況欄でたびたび掲載されています。なぜ美術系大学でありながら仏検受験者がこれほど多いのかと思われる方も多いと思います。以下に私の考える理由を挙げてみたいと思います。

 私は1985年本学の短期大学部(2008年廃止)にフランス語担当非常勤講師として着任し2008年度から本学の教授としてフランス語、哲学などを担当しております。本学の外国語教育の特徴は卒業必修要件の外国語科目(6単位必修、8単位まで履修可)が「英語」または「フランス語」の選択制であることです。すなわち、フランス語も第一外国語として履修されるということです。授業は各教科とも一年次・週二コマ(通年)と二年次・週一コマの演習授業(通年)があります。二年次には週一コマの自由選択科目(半期1単位×2)が開設されています。

 履修選択は次のように行います。毎年新入生全員に対しオリエンテーションの期間中に語学選択のためと英語クラス編成のために「英語実力テスト」を実施し、その折語学選択についてのアンケートをとり英語とフランス語の振り分けおよび英語の実力別クラス分けをします。この結果、新入生総数の毎年概ね3割が希望通りフランス語を履修しております。

 フランス語検定試験は2000年頃からの導入だと記憶しております。当時、語学担当者による合同外国語会議で仏検を単位認定に利用することを決めました。英語は検定試験による単位認定は行っておりません。仏検受験は当初は大学の学生のみを対象に行っておりましたが2003年頃から短期大学でも指導し始めました。短期大学の授業は各学年通年週一回の授業であり、かなり厳しい受験ではありましたが、毎年5級はもちろん、数こそ少ないのですが4級合格者も出しておりました。仏検受験は大学においては担当教員の指導で毎年一年次の秋に5級、二年次の春、秋に4級を受験させておりました。当時の受験者数は毎年延べ人数で100名近くいたと思います。

 しかし、2008年カリキュラムの再編により必修外国語単位が8単位から6単位になったことにより二年次の授業が通年週一コマとなったこと、また私が受験を完全自由化指導したこともあり受験者数は減少しました。近年では春の受験は無理な状況となっています。本学の単位認定の基準は一年次秋の仏検で5級合格、二年次秋の4級合格が基準となっております。後期が始まると昼休みに過去問題を利用した勉強会を始めます。通常授業履修者の半数近くの学生が仏検を受験しないので平常授業中には特別な受験勉強は行っておりません。仏検受験・合格を目指すという動機付けはかなり有効で勉強会に参加する学生はこの時期に一気に実力をつけてきます。また、フランス語に興味を持つ学生も一気に増加します。近年フランスへ行きたいという学生の希望も多くなってきており、実際春・夏休みや卒業旅行でフランスへ行く学生も多くなってきております。

 ところで、クラス数と受講者数の都合で英語は通常の教室で、フランス語はCALLシステムを導入したマルチメディア教室(MM教室)での指導が行われます。私はMM教室の改修を任されておりましたのでCALLシステムを導入いたしました。また、外国語担当教員としてカリキュラムの再編にも関与し、2008年大学に移籍と同時に自由科目として平常授業より進んだ内容の授業を行う仏検4級及び3級の対策を兼ねた上級クラスを立ち上げました。上級クラス開講とCALLシステムの導入が仏検受験で効果を上げた一因と考えております。

 また、私は専任に就任以来一年次での辞書の購入をやめさせました。辞書はMM教室(40ブース)に十数冊を常時置き、必要な時に自由に使って良いこととしました。学生の経済的負担を減らすのが主な目的です。またMM教室ではネットでの翻訳サイトも利用可能だからです。基本的に予習は課していませんからテキストの単語帳で十分のようです。それでも一年次後期以降、仏検の勉強会開始の頃から自分の辞書を持ちたいとの相談が来るようになります。自主的に学習したい学生の増加の現れであると考えます。さらに一年次の2コマで同じ教科書を二人の担当教員で分担して指導するなど、ここでも学生の不要な金銭的負担を減らしています。様々な負担減が「授業アンケート」の自由記述欄に「フランス語は難しかった」という回答を多く見る割にはフランス語選択者数が減少しない要因ではないかと考えております。

 もともと本学に入学してくる学生は語学(英語)学習が苦手な学生が多いという事実があります。入学当初の英語実力テストの結果がそれを示しております。フランス語を希望した学生に時々聞くのですが、履修理由で一番多いのは「必修科目だから」というものです。では、なぜフランス語かというと「英語が嫌いだから」「英語が出来ないから」という理由があげられます。今年フランス語を履修している学生は履修希望で「どちらでもよい」を選んだ学生が29名、「フランス語」を希望した学生は28名です。また、英語実力テストの成績は50点満点で25点以上の学生はわずか20%です。問題のレベルも含めて考えると決して英語の成績が良い学生たちではありません。もちろん、英語の成績が非常に優秀な学生もいることは付け加えておきます。

 以上、美術系大学である『名古屋造形大学』でなぜ仏検受験者が多いかということを考えてきました。これらをまとめると①フランス語が第一外国語として履修可能であること、②単位認定に仏検を採用しまた比較的容易なレベルで基準を設定したこと、③授業形態など履修しやすい環境へと改革してきたこと、④より効果的なシステム(MM教室でのCALLシステム)の導入が挙げられると思います。また、準会場として大学が利用できるということも大きな理由となっていると思います。これまで何回となくフランス語を第二外国語にするという話が持ち上がりました。その都度本学での外国語教育の意味を説明し今の状態を維持してきております。大学の理解・協力もとても大切な要因だと考えます。しかし、「学生は『造形』に語学を勉強したいと思って入学したわけではない」という前任教授の言葉がすべての改革の原点にあったからできたことだと私は考えております。

仏検:最近の受験生事情

塚越 敦子(慶應義塾大学他)

 今回の執筆依頼を受けて、自分がなにかしら仏検にかかわるようになって随分とときが流れたことに気がついた。準会場を開いたり試験監督や2次試験の試験官を担当したりと15年近く経ってしまった。

 フランス語教師として誰もが考えるように、フランス語学習者にとって仏検は一番の具体的な動機付けになると私も思っている。いつも、ひとりでも多くの学生にフランス語を好きになってほしいと願いながら通常の授業を行っている。熱心に授業に参加する学生をみつけると仏検受験を勧めるのが常になってしまった。残念ながら仏検受験用の授業を担当していないので、希望者がいる場合には時間をつくって自主的に補講を行うことになる。それももう10年以上続いている。

 最近、その自主補講に変化が起きてきたように思える。世の中の実学優先指向が反映して、学生たちも「資格取得」ということばに敏感である。昔は、「腕試し」が受験目的であったのか、受験生たちも自分ひとりで勉強に取り組んでいた。過去問題を渡して1回ぐらいの模擬試験を行えばそれで十分であった。しかし、ここ2、3年は2ヶ月ぐらい前から学習塾のような補講をするようになっている。なぜなのだろう。最近の学生は、まず、受かる見込みがあるかないかという見極めをしてから申し込む。「腕試し」などというおおらかな考え方はないようである。そして、受験を決めた者は、授業内容よりも上のレベルの級を志願する傾向がある。これは、先に述べた「資格取得」にこだわっていることのあらわれであろう。自分にとってより有利な資格=級をねらうのである。それゆえ、彼らは丁寧な指導を必要とするのである。自分で蒔いた種であるから、もちろん彼らにきちんと対応するようにしているが、正直、準2級から5級までの級を同時にフォローしなければならないときは、引き受けたことをついつい後悔してしまう。しかし、学生の受験動機が変わってきたとはいえ、合格したときの喜ぶ顔をみると私までうれしくなり、すべてが報われた気持ちになる。それは、今も昔も変わっていない。思わず、『次は、どうする?』などと連続受験を勧めてしまう。大学のカリキュラムの一部である単位取得教科とは関係なく、学生にとってフランス語学習のモチベーションのひとつである仏検は、教師である私にとっても純粋に「教えること」の成果を実感できるツールであるともいえる。そのため、仏検になんらかの形で自ずと参加し続けているのだろう。

 いつも接している学生たちの受験態勢の様変わりとは別に、1次試験の宇都宮会場の試験監督をしていて気がついた変化がある。ここ数年、準2級と2級の受験者の中に年配の方の数が増えていることである。しかも、そういう方たちは決して欠席しない。ある大学のカルチャーセンターのドイツ語講座が年配層に人気があるという朝日新聞の記事を読んだことを思い出した。それは、かつて大学などで学んだドイツ語をもう一度学び直したいという団塊の世代の人たちのことであった。また、同じ頃、テレビで日本経済を建て直すのは団塊の世代であるという特集番組も目にした。これらのことが何か関連があるのかと関心を抱き、仏検事務局から2005年度(準2級設置前年)以降の受験者に関する統計資料を送ってもらった。果たして、それらの数字からいくつか興味深いことが見えてきた。

 まず、準2級を2006年度春季から設置したことによって生じた変化である。2005年度と2006年度の2級受験者数の差と2006年度の準2級受験者数を比較し、2007年度以降の数にそれほどの違いがないことを考えると、2級受験者のうちの20%~25%が準2級を受けてからステップアップしていると思われる。

 年代別にみた場合、年配の層の合格率が意外と高いことが目を引く。もちろん圧倒的に10~29歳の受験者数が多いので合格者数もその層が厚くなる。しかし、合格率に換算すると、50歳以上の確率の方が10代20代の層の確率よりもおしなべて高いのである。これは、年配層が確実な学習をものにして、成果をあげたことを意味するのであろう。

 また、2級と準2級の受験者の中で、一番大きな割合を占めているのは、当然10代20代の層である。しかし、30歳以上が占める割合も、ここ7年間、2級はだいたい40%、準2級は35%前後と健闘している。さらに50歳以上の割合を出してみよう。2級は2007年度まで受験者の内ほぼ6%で、準2級は2008年度まで7~8%であったが、その後、2級は10~13%に、準2級は10~11%に伸びているのである。今や、2級・準2級の受験者の10人に1人は50歳以上なのである。このことは、注目すべきことであると思われる。いわゆる「生涯学習」の意識が高くなったためであると言ってしまえば簡単なことだが、もう少し建設的なことがらに結びつけたい。

 準2級の設置のおかげで2級受験への敷居が低くなり、全体的に中級レベルのフランス語学習へ誰もが抵抗なく移行できるようになったと考えられる。そこに、今の50歳以上の層も徐々に加わってきているのであろう。かつて学んだフランス語をもう一度始める場合でも、はじめてフランス語を学ぶ場合でも、合格率を鑑みれば、彼らの確実なフランス語習得力は大いに期待できる。最近では、少子化現象も手伝ってか、フランス語学習者数が減少したと言われている。そのような状況を打破するためにも、今後、50歳以上の年代の勉学に対する向上心を刺激するような「仏検」、さらに受験したいと彼らに思わせるような「仏検」に発展していってほしいと強く願っている。

フランスといえば、『フランス研修旅行』

渡邊 里江(中部コンピュータ・パティシエ・保育専門学校教員)

私ども、中部コンピュータ・パティシエ・保育専門学校にとり、フランスと言えば、『フランス研修旅行』です。

当校の学校行事には、遠足や球技大会、フェスタ、修学旅行のかわりの研修旅行など多々ありますが、やはり『フランス研修旅行』が学生にとっても一番思い出深い行事のようです。数年前は、学科別にイタリアとフランスに分かれて行っていましたが、今は全学科でフランス研修旅行をおこなっております。

「パティシエ」イコール『フランス』!!ですが、フランス研修旅行の実施に至るまでにはいろいろな縁がありました。実は、最初、パティシエ・ベーカリー科2年制は、イタリアのジェラートの研修をおこなっていました。ところが、数年前の3月、突然、フランス商工会議所日本支部の方から、当校の見学をしたいとの連絡があり、4月にお見えになりました。その時、同行されたのが、国立高等フランス製菓学院(ENSP)の校長先生とフランス菓子組合長さんと製菓雑誌編集者さんでした。もともと、ENSPの校長先生がフランス伝統菓子関連で専門学校の見学を希望していらっしゃったとのことで、そんなご縁から話が発展しまして、その年、パティシエ・ベーカリー科2年制のみ、フランス研修旅行が行われたのです。初心者向けの研修でしたが、学生もフランス国家最優秀職人(MOF)の方から指導を受け、喜んでおりました。宿泊も雰囲気が素敵で、食事もおいしくて、パンやデザートなども抜群と好評でした。

その後、パティシエ・ベーカリー科2年制は、フランス研修旅行に毎年行くことになりました。それまでは、フランス語の授業といえば、お菓子や製菓用具の種類くらいしか覚えていなかった学生が、フランス研修旅行のための日常会話まで身につけるようになり、授業への学生の集中度が違ってきました。最初の年は通訳の方がいないと、まるで話ができず、通訳待ちだったのが、いまはちょっとしたことなら、ボディランゲージとたどたどしい単語会話でなんとか作業等ができるようになりました。やはり、「フランス研修旅行でMOFから直接指導を受ける」という目標のためなら、学生も張り切るようで、それまでは正直言って出席率はあまりよくなかったのですが、目標があると違うなと思いました。

学生は、韓国やハワイ・グアム以外は行ったことがなく、特にヨーロッパにはほとんど行ってないため、うれしいようです。がしかし、やはり12時間の飛行機は長くて、疲れるようです。飛行機の機内食の回数も多く、美味しく食べる学生もいれば、口に合わない学生もいたり、とバラバラです。出入国検査でも、言葉が伝わるかドキドキ。手荷物検査でも金属チェックやボディチェックを受けるなど、学生たちはフランスに行くまでにもいろいろな経験をします。フランスについたら、ものすごくテンションが上がりっぱなしで、空港からホテルまでの風景も、見るものすべてがめずらしく、クリスマス前だったため、イルミネーションもとてもきれいで、喜んでおりました。ノートルダム寺院や凱旋門、エッフェル塔等の観光もしましたが、学生には、やはり世界遺産の「モンサンミッシェル」が一番のようです。パリからの日帰りでしたので、時間的に制限があったため、早めに集合をかけてしまいましたが、学生からは「もっとゆっくり回りたかった」といわれました。

学科別の研修も、フランスと日本の比較ができるバラエティに富んだ研修内容になっております。コンピュータコースはコンピュータ関連への見学、ペットコースはトリマー美容室への見学実習、保育科は保育園等への見学、医療事務情報科はクリニックや社会保険事務所への見学でした。研修先で、学生たちは「コンピュータは、日本もフランスもほとんど変わらない」とか、犬のトリミング技術はフランスのプードルからスタートしたはずだったのに、「いまは大型犬が主」といわれ、「プードルやダックスは時代遅れ」ともいわれたそうです。医療に関しては、医療博物館があったり、医療制度が日本とフランスは全く違ったり、「フランスでは医療事務という職種がない」ということに、その都度驚きました。保育も医療と同じで、制度や規定が全く違って驚きました。母乳と人工乳の対応、保育園と幼稚園などかなり違いがありました。そして、それらの違いは、人から教えてもらうのではなく、自分で知ることが重要になってくるのかなと思います。

ただ、日本に戻ってきた後、フランス研修旅行のアンケートをおこなうと、「挨拶が大事」「笑顔が一番」「体調を整えておかないと体力が持たない」「日本の常識が非常識のときもある」等の感想のなかに、「もうすこし、話ができればよかった。」「フランス語じゃあなくてもいいから、英語でもいいから、話せたらもっとよかったのに…」と外国語への希望がありました。パティシエ・ベーカリー科2年制はフランス語の授業を定期的におこなっていますが、それ以外の学科に関しては、外国語の授業がないため、やったほうがいいのかと、少々悩んでおります。

今回、学生は、フランス研修により日本以外のことを少し知ることができたと思っております。今後は、外国語を含めて、もっといろいろな違いや共通点などを身体で感じ取り、視野を拡げていってほしいと考えております。

杉野服飾大学 準会場へ

山尾 聖子(杉野服飾大学フランス語講師)

杉野服飾大学は、毎回5級、4級合わせても10名前後の受検者しかいないが、準会場にしていただいている。20年ほど前から、3,4年次の選択授業でフランス語を続けている学生に、4級、3級の受検をすすめており、個別指導と語学学校の集中講座参加で3級合格者も数名出ていた。ある年、一人の女子学生が受検のため訪れた他大学の広い構内で迷子になり、開始時間に遅れ、周囲のデキそうな学生さんたちの中で気後れしたまま失敗した、という涙ながらの事後報告を聞いた。通い慣れた本学で受検できれば、と思い始めたが、そのためには少なくとも10名の受検者を確保しなければならない。

一方、大学としての団体申込と学内受検は、大学事務方の協力があって初めて実現する。本学では、ファッション色彩、ファッションビジネス、秘書、パターンメイキングなど数多くの検定を実施しているため、受検者の少ない仏検のために、さらに年に2回の日曜日、事務職員2名に出勤していただくということは、言い出しにくいことであったが、さいわい、事務方の好意的な了承を得ることができた。次には受検者を増やすべく、1,2年生の実力底上げに数年を要したが、2006年にようやく18名の希望者が出て、準会場申請が叶った。

杉野服飾大学のフランス語は、英語、中国語と並んで1,2年の選択必修、週に2コマ、2001年から念願のフランス人講師による会話クラスも実現しており、基礎フランス語学習の体制としては充分である。

ただ、各学年約100名のフランス語選択学生の学習意欲にはかなりの差がある。本学の学生にとっては服飾に関する知識、技術を身につけることが第一目的であり、座学の苦手な人も多い。そもそもフランス語選択の動機は英語で失敗したから、という学生もおり、まずは、視覚に訴えるさまざまな資料を提供し、フランスの文化やファッションフランス語に関心を持ってもらうことから始めている。

毎回、約10分程度の動画、学生をモデルにしたファッション用語スライド、先輩学生が作成したレポート、フランスで出版されている MANGAのファッションに関わる場面の抜粋など、とにかく短時間で数多く見せる。

映画については、文法の進度に合わせて選んだ20作品を服飾に関する場面に絞り込んで見せているが、ここ数年は、YouTubeによる、旬のニュース、映画の予告編、ファッションショー、デザイナーインタビュー、ブランドCMなども合わせて活用している。

大学図書館には多くのファッション関連資料があるが、洋書はなかなか手に取りにくいようなので、1年では図書館でのフランス語資料探しとその紹介、2年後期では各自関心のあるテーマのフランス語資料を選び、翻訳し、関連情報も盛り込んだレポートを作成してもらう。レタリングやイラスト、フォトコラージュは、本学の学生たちの得意分野なので、これらも含め「見せるレポート」として評価している。学生は、先輩たちの作成したレポートを見ると俄然やる気を出してくる。

さて、このように文法と発音の大変さを面白さでくるみつつ落ちこぼれが出ないようにし、おもむろに仏検の話をする。

受検をすすめる場合、いきなり過去問を配布したりすると、最初から拒否反応が出てしまうので、「私がみなさんの努力に対してよい評価を出しても、世間では信じてくれません。仏検なら、たとえ5級でもちゃんと勉強をしたということを学外でも認めてもらえます」と学生を説得する。受検者は、合否にかかわらずその努力を期末評価に反映させます、と以前は言っていたのだが、それを期待してか学期末の課題や提出物に手抜きがみられたこともあったので、最近は言わないようにしている。

短期大学部は、1年次のみ週1回しかフランス語の授業がないので、これまで、受検呼びかけはしていなかったが、構内の仏検ポスターを見た短期大学生たちから、私たちでも受けられるでしょうか、と、昨年の夏休み前に相談があった。短大では、大学2年用のファッション関係の資料も簡単に説明し、フランス人講師による会話もあり、文法解説に取っている時間は、11月の受検日まで15時間程度。しかし、彼らの受検してみようという意欲に応えるべく、過去問や聞き取り演習用CDなどを貸し出した。おそらく後期が始まったら、やっぱり無理ですというのではないかと思っていたところ、10月からの週2回の昼休み補習には、大学1年、2年の受検希望者より真面目に参加し、11月の学園祭後の休日を利用して補習の要望もあった。目黒駅前のカラオケボックスで過去問解説をするという体験は、20年余りの教師生活で初めての喜ばしいできごとだった。このようながんばりで短大生3名のうち2名が5級に合格、1名は全国平均を上回る得点だった。学年や授業時間数に関わらず、本人の努力次第ということではあるが、おおぜいの学生に同じように期待はできず、いかに個々の意欲を引き出すかに腐心している。仏検受検が最終目的ではないが、仏検への挑戦が、授業全体を牽引していることは言うまでもない。

1926年に創立されたドレスメーカー女学院では、当初からフランス語の授業が行われていた。1930年代の同窓会報に、当時20代後半の朝倉季雄が「佛語科講師」として「佛蘭西語の讀み方」「ファッション・ブックが讀めるまで」という記事を連載している。1950年に開学した杉野学園女子短期大学では、辰野隆、鈴木信太郎、渡辺一夫がフランス文学を講じ、その後1964年の杉野女子大学開学からは、今尾哲也、佐々木孝次、中原好文が中心となってフランス語を担当。開学当時は短期大学、大学とも、英語とフランス語の2ヶ国語が必修であり、演劇部は「シラノ・ド・ベルジュラック」を上演したという。時代を先取りする女性教育への意欲と、幅広い教養に裏付けられた服飾研究を目指した先人たちの志の高さを忘れないようにしたい。

現在のパリコレの共通言語は英語であるが、それぞれのメゾンでは日常まだまだフランス語が飛び交っている。ファッションフランス語を足掛かりに、フランスならではのエスプリを学生たちに伝えたいと日々試行錯誤している。  

歴代理事長・副理事長

財団法人フランス語教育振興協会/公益財団法人フランス語教育振興協会
歴代理事長・副理事長

  理事長 副理事長
1986遠山  一行福井  芳男
1990安川 加壽子福井  芳男
1992安川 加壽子鈴木 昭一郎
1996澤田   徹鈴木 昭一郎
1998澤田   徹朝比奈  誼
2002澤田   徹加藤  晴久
2004長谷川 善一加藤  晴久
2011長谷川 善一柏木  隆雄
2013長谷川 善一平野  隆文
2015西澤  文昭北村   卓

新理事長からのご挨拶

2015年9月16日

今年6月に長谷川善一理事長の後を受けて理事長に就任しました。長谷川先生は11年の長きにわたり当協会の理事長として、協会運営の責任を担ってこられました。なかでも2011年の公益財団法人化の際には文部科学省での経験を生かされて内閣府と交渉を持たれ、速やかな新法人化を成し遂げられました。そのご尽力に対して心からのお礼を申し上げます。そしてここで特記したいのは、理事長のもと、仏検担当副理事長として比類のない実行力と深い洞察力をもって、仏検実行体制を率いてこられた故平野隆文氏への感謝の気持ちです。

さて、実用フランス語技能検定試験を主催するフランス語教育振興協会はその前身から数えるとすでに48年目を迎えています。その事業のありようは時代とともに少しずつ変わり、現在では英語一辺倒ではないグローバル化の推進が大切な務めとなっています。とりわけ2020年のオリンピック開催は英語以外の外国語を日本国内で盛り立てるよい機会になります。

私が理解する当協会の目標の一つは「日本人のfrancophoneを増やしていくこと」です。この場合の francophoneは「母語でなくても、必要な状況においてフランス語でコミュニケーションが取れる能力を持つ者」という意味です。そのために、当協会は設立以来つねに大学をはじめとする全国の教育機関と協力してフランス語教育の振興に力を注ぎ、また各地のフランス語教授法研究会やコンクールなどを支援してきました。34年の実績をもとに緻密な問題作成プログラムを作り上げ、全国規模な検定試験を実施して、フランス語修得の後押しをしています。

また今年6月には、フランス大使館/アンスティチュ・フランセと協定を結び、フランス政府公認の検定試験(DELF/DALF、TCF)と文部科学省後援の私どもの検定試験(DAPF)が相互に協力すること、両者が補完し合う関係にあることを確認しました。

当協会が発足以来願ってきたことですが、さらに多くの方々にフランス語の修得を通じて豊かな人生を送っていただきたいと祈念しています。どうか皆さまの変わらぬご支援とご鞭撻をお願いいたします。

公益財団法人 フランス語教育振興協会
理事長 西澤 文昭
 

フランス大使館での調印式(左はフランス大使館文化参事官・アンスティチュ・フランセ日本代表Claire THUAUDET氏)

理事長からのご挨拶

2015年9月16日

今年6月に長谷川善一理事長の後を受けて理事長に就任しました。長谷川先生は11年の長きにわたり当協会の理事長として、協会運営の責任を担ってこられました。なかでも2011年の公益財団法人化の際には文部科学省での経験を生かされて内閣府と交渉を持たれ、速やかな新法人化を成し遂げられました。そのご尽力に対して心からのお礼を申し上げます。そしてここで特記したいのは、理事長のもと、仏検担当副理事長として比類のない実行力と深い洞察力をもって、仏検実行体制を率いてこられた故平野隆文氏への感謝の気持ちです。

さて、実用フランス語技能検定試験を主催するフランス語教育振興協会はその前身から数えるとすでに48年目を迎えています。その事業のありようは時代とともに少しずつ変わり、現在では英語一辺倒ではないグローバル化の推進が大切な務めとなっています。とりわけ2020年のオリンピック開催は英語以外の外国語を日本国内で盛り立てるよい機会になります。

私が理解する当協会の目標の一つは「日本人のfrancophoneを増やしていくこと」です。この場合の francophoneは「母語でなくても、必要な状況においてフランス語でコミュニケーションが取れる能力を持つ者」という意味です。そのために、当協会は設立以来つねに大学をはじめとする全国の教育機関と協力してフランス語教育の振興に力を注ぎ、また各地のフランス語教授法研究会やコンクールなどを支援してきました。34年の実績をもとに緻密な問題作成プログラムを作り上げ、全国規模な検定試験を実施して、フランス語修得の後押しをしています。

また今年6月には、フランス大使館/アンスティチュ・フランセと協定を結び、フランス政府公認の検定試験(DELF/DALF、TCF)と文部科学省後援の私どもの検定試験(DAPF)が相互に協力すること、両者が補完し合う関係にあることを確認しました。

当協会が発足以来願ってきたことですが、さらに多くの方々にフランス語の修得を通じて豊かな人生を送っていただきたいと祈念しています。どうか皆さまの変わらぬご支援とご鞭撻をお願いいたします。

公益財団法人フランス語教育振興協会
理事長 西澤 文昭

フランス大使館での調印式(左はフランス大使館文化参事官・アンスティチュ・フランセ日本代表Claire THUAUDET氏)

過去問題サンプル

2015年度(1級は春季、準1~5級は秋季)の実施問題をご紹介しています。
問題形式の確認やレベルチェックにご活用ください。
最新の試験問題は 『仏検公式ガイドブック』 で詳しい解説と共にご覧いただけます。

準2級 2015年度実施問題

1次試験

pdficon_large 準2級 筆記試験問題冊子 pdficon_large 準2級 筆記試験解答用紙
pdficon_large 準2級 聞き取り試験問題冊子 pdficon_large 準2級 書き取り聞き取り試験解答用紙  

準2級 書き取り試験(ふつうの速さ)

準2級 書き取り試験(ポーズ入り)

準2級 聞き取り試験[1] 会話

準2級 聞き取り試験[1] 質問文

準2級 聞き取り試験[2] 話

準2級 聞き取り試験[2] 内容について述べた文


pdficon_large 準2級 正解例と吹き込み原稿

2次試験

※2次試験方法の案内(別画面で表示)

問題[A]

pdficon_large 準2級 2次試験問題カード[A]

問題 [A] イラストカード 本文の音読
問題 [A] 質問1
問題 [A] 質問2
問題 [A] 質問3
問題 [A] 質問4
問題 [A] 質問5

pdficon_large 問題[A] 質問と正解例

問題[B]

pdficon_large 準2級 2次試験問題カード[B]

問題 [B] イラストカード 本文の音読
問題 [B] 質問1
問題 [B] 質問2
問題 [B] 質問3
問題 [B] 質問4
問題 [B] 質問5

pdficon_large 問題[B] 質問と正解例