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在仏外国人とフランス語

2013年秋季準1級合格
円谷 智子
研究員・福島県


私は長年フランスで生活し、大学に在籍していた経験がありますが、語学の勉強はかれこれ10年ぶりでした。日本に帰国後、昔友人からもらった仏検問題集2級と準1級を発見し、試しに解いてみました。日本語の解説を読み、各種辞書を引き、改めてフランス語に外国語として意識して向かい合い、フランス滞在時とは別な頭の部分を使っているような不思議な感覚でした。

特に、日本語からフランス語への変換の難しさを痛感すると共にフランス語表現の奥深さ、面白さを発見しました。日本の文化や社会情勢に関する意見を発表する経験も初めてで、日本でフランス語を話す妙な気恥ずかしさもあり新鮮でした。思い切って受験した結果、時制の弱点、細かいところのいい加減さ、訓練不足が即座に露呈しました。準1級合格後に成績優秀者に選出され、受賞に驚きましたが、久々に向上心が生まれました。

フランス人社会ではフランス語が話せて、読み書きができるのは当たり前です。しかし、フランス語が母国語ではない、生業でもない一般外国人にとって、常に正確なフランス語の運用が求められる生活は試練です。努力不足を認めつつ、私には諦めや苦手意識がありました。フランス生活では、無意識にフランス語で受信し、フランス語で発信していたはずですが、発信においては伸び悩み、むしろ時と共に崩れていきました。日本語の思考や運用レベルに対して、フランス語力が釣り合わないからなのでしょう。環境が変わった今、頭を意識的にリセットし、仏検での「対訳」の訓練も侮れないと感じています。

とはいえ、移民大国のフランスでは、様々な社会問題を抱えながら、多くの外国人がフランス語と母国語を場に応じて使い分け、たくましく生きています。街頭からはいろんな言語、いろんなフランス語が聞こえてきて、いろんな国の文化の共存がフランスという国に彩りを与えているのだと思います。私もいろんなフランス人と出会い、彼らの懐の深さを享受した外国人の一人ですので、今後、対外的に変わらざるを得ないであろう日本社会で、懐の深い日本人になれるように心がけたいです。

カンペール(ブルターニュ)のコルヌアイユ祭り

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