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人生を通じたフランス語 ― 現在5合目、山頂を目指して

2015年春季1級合格・在日フランス大使館賞
S.Y. (フリーランス翻訳者)


私は、中学校2年の時、パリの華やかなイメージとフランス語の美しい発音に魅了されて、外国語大学でフランス語を勉強する目標を掲げました。
将来の夢はフランス語の通訳になることでした。
そして、高校では目標の大学に合格するため、受験勉強に専念しました。

高校生になると、私の内気な性格から、通訳よりは翻訳の方が向いているのではないかと思い始め、将来の目標を翻訳へと切り替えました。

念願の大学に合格後、フランス語を勉強しましたが、私の努力不足で、大学卒業時には、まだ仕事で使えるという自信はありませんでした。
地元の企業に就職し、英語を使う仕事で勤務していましたが、やはり私の一番の夢はフランスに行き、フランス語力を高めることだと思い、数年後、会社を辞めて渡仏しました。

« Petit à petit, l’oiseau fait son nid. » 

オンタリオ州にて現在は翻訳の仕事をしていますが、それまでの道のりは容易いものではなく、どうやってたどり着けるか分からない模索の日々が続いた時期もありました。そんな状況の中でも夢を諦めなかったのは、フランス語への愛着と、フランス語を使う仕事をしたいという強い願いを持っていたからだと思います。

フランス語の勉強を通して得られたものは、フランス語力だけではありません。

大学生の頃、何度か訪れたモントリオールでは何人かの親しい友人ができ、その後も長年、友人関係が続きました。
フランスでは翻訳の仕事仲間もできました。
私の人生は、フランス語を通じて出会った友人と得られた経験により、豊かなものになったと思います。

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ロレンシャンの紅葉

先日、福岡のホテルの受付でインド人の方が働いていらっしゃり、少しお話ししました。英語を解する外国人のお客様には英語で、日本人には流暢な日本語で対応していらっしゃったので、随分前から日本に住んでいらっしゃるのですか、と質問をしたところ、昨年、日本に来ました、というお返事で、とても驚きました。

短期間の滞在なのに物怖じせず、上手な日本語をお話しになっている姿を拝見して、長い間フランス語に携わっている私は、もっと自信を持って、最初の夢である通訳に一歩踏み出してもいいのではないか、と思い始めました。
フランスにも数年滞在し、リスニング力も上がった今、以前の私では到底叶えられないと思っていた夢に立ち向かう勇気が持てるようになったと思います。

これからも私のフランス語人生はまだまだ続きそうです。
皆さんも、心引かれるままに、有意義なフランス語人生をお送りになられますようにお祈りしております。

追伸:先日の表彰式ならびにレセプションにご招待頂き、ありがとうございました。めったにないこのような機会に、他の合格者の方々ともお話ができ、今後の人生に資する有意義な時間になったと思います。