フランス語に感謝

2021年春季2級合格・文部科学大臣賞
赤城 みう
東北大学学生・宮城県

私は高校時代に1年間フランスへ留学をしました。非英語圏に行きたいなと考え、なんとなくフランスを希望しましたが、この経験は私に劇的な影響をもたらしました。

恥ずかしながら、私は Bonjour と Je m’appelle 〜 しか知らずに渡仏しました。その程度のフランス語力だったので、留学中には本当に苦労しました。言葉が話せないと、自分が赤ちゃんになった気分だったのを覚えています。伝えたいことがあっても伝えられないもどかしさと、みんなが話していることを理解したいという気持ちが、私のフランス語のやる気に火をつけました。初めは、よく耳に入ってくるフランス語をカタカナで書き取って、意味を後から確認することから始めました。フランス語を話せるようになればなるほど、留学先の高校の友達やホストファミリーとの距離が縮まって行くのを感じて、大きなモチベーションとなりました。フランス語は、私に留学先でのたくさんの素敵な出会いをくれました。フランス語という道具を通じてできた知った世界や、得た人々との絆は、私にとってかけがえのないものです。

現在、私は東北大学に在学しています。大学でも、フランス語の学びを継続しています。フランス語のおかげで大学でできた繋がりが2つあります。

1つは、一緒にフランス語を勉強する仲間たちです。高校まではフランス語を一人で勉強していたのですが、大学では、私たち学生のフランス語力向上のために尽力してくださる先生と、共に高め合える仲間がいます。とても心強いです。みんなが努力しているのを見て、私も仏検に挑戦しようと思えました。現在は、「日本の学生が選ぶゴンクール賞」のプロジェクトにみんなで取り組んでいます。フランス語の小説を読み味わうのは簡単なことではありませんが、とてもやりがいを感じています。


もう1つは、フランスからの留学生との出会いです。東北大学は留学生が多く国際性に力を入れている大学で、フランスの大学からの留学生も多くいます。コロナ禍にも関わらず、彼らのおかげで日常的にフランス語で会話をする機会を持つことができました。特に彼らとの会話を通して、フランス語に感情が乗るようになったのは大きな進歩です。前よりもずっと自分の言葉、気持ちとしてフランス語を話せるようになりました。また、日本で暮らしているフランス人から見た日本について考えを彼らから聞くのも、非常に面白いです。


私は、今年の夏からリヨンの大学に交換留学をします。この留学では「フランス語を学ぶ」だけでなく「フランス語で学ぶ」ことができるように頑張りたいと思っています。今からとても楽しみです。

留学以来ずっと私の人生を豊かにしてくれているフランス語に心から感謝したいです。そして、フランス語を通して私と出会い、良い影響を与えてくれた方々にもここで感謝したいです。ありがとうございます。Merci beaucoup !!

留学先、Evianで訪れたレマン湖畔





決済サービス会社におけるクレジットカード情報流出に関するご報告とお詫び

決済サービス会社におけるクレジットカード情報流出に関するご報告とお詫び

この度、弊会の仏検インターネット出願受付システムで利用している決済代行サービス(以下「本決済サービス」といいます)において、同サービスの提供元であり、個人情報保護マネジメントシステムに基づくPマーク取得事業者である株式会社メタップスペイメント(以下「MP社」といいます)の決済情報データベースに対する外部からの不正アクセスが発生しました。

MP社の報告によれば、仏検インターネット出願受付システムでクレジットカード決済を利用された一部の方の個人情報が流出した又は流出した可能性があるとされており、皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます。

なお、本決済サービスはMP社により運営されているものであるため、弊会ではクレジットカードに関する個人情報を保有しておらず、弊会からの個人情報の流出はございません。

MP社の決済情報データベースに対する不正アクセスの状況と調査経緯の詳細につきましては、 MP社のホームページ(https://www.metaps-payment.com/company/20220228.html) よりご覧いただけます。

以下では、MP社の決済情報データベースに対する不正アクセスによる個人情報流出の概要とその対応についてお知らせいたしますので、ご確認くださいますようお願い申し上げます。

1) 発生事象の概要について

MP社の決済データセンターサーバー内に配置された一部のアプリケーションの脆弱性を利用され、外部からの不正アクセスが行われました。この不正アクセスは、2021 年8 月2 日から2022 年1 月25 日にわたって以下の事項が複合的に行われ、決済情報等が格納されているデータベースにまで達し、個人情報を含む情報が外部に流出したことが判明いたしました。

なお、現時点におきましては、MP社での以下の各事項の防止や排除等の対策は完了しております。
・社内管理システムへの不正ログイン
・一部アプリケーションへのSQL インジェクション
・不正ファイル(バックドア)の設置

2) 情報流出の可能性のある方と流出した情報の項目について

仏検インターネット出願受付システムで利用されたクレジットカード決済に関して、不正アクセスのあったMP社の下記①②のデータベースに格納された個人情報が流出した可能性があるとのことです。

①トークン方式クレジットカード決済情報データベース

MP社の公表では2021年10月14日から2022年1月25日の間に利用されたクレジットカード決済にかかる「カード番号」「有効期限」「セキュリティコード」の情報が流出した可能性があるとされており、仏検については2021年10月14日から10月28日(出願受付終了日)の間にクレジット決済で出願を完了された方の個人情報が流出した可能性があります。該当する方には順次個別にご連絡いたします。なお、MP社ではすでに流出原因の防止や排除等の対策は完了しており、第三者調査機関より安全性が認められているとのことです。

※MP社において第三者調査機関による調査が行われた際、不正に取得された件数・個別のカード情報が特定されなかったため、該当の期間にクレジットカード決済を利用された方の取引全件が対象となります。よって「全件が流出対象」という確証はなく、あくまで「全件が流出懸念の対象」とのことです。

②決済情報データベース

2021年5月6日から2022年1月25日に利用されたクレジットカード決済にかかる「カード番号」「有効期限」の情報流出が確認されています。こちらはMP社および第三者調査機関の調査によって流出した情報が特定されておりますので、該当する方には順次個別にご連絡いたします。

3)仏検秋季試験を2021年10月14日から10月28日(出願受付最終日)の間にクレジットカード決済で出願された方へのお願い

誠に恐縮ではございますが、クレジットカードのご利用明細書に身に覚えのない請求項目がないか、今一度ご確認をお願いいたします。

万が一、身に覚えのない請求項目の記載があった場合は、大変お手数ではございますが、同クレジットカードの裏面に記載のカード会社にお問い合わせいただきますよう、併せてお願い申し上げます。

なお、お客様がクレジットカードの差し替えをご希望される場合、カード再発行の手数料につきましてはお客様にご負担をお掛けしないよう、MP社よりクレジットカード会社に依頼しております。

4) 公表が本日になった経緯

弊会は、MP社による報告を受け、すみやかに専門家に相談するとともに、皆さまへ出来る限り正確な情報を提供するために影響の範囲等について調査を開始いたしました。具体的には、MP社が公表している調査報告書の内容の吟味だけでなく、MP社およびインターネット出願受付システムを運営する委託会社の担当者へのヒアリング、情報流出の可能性のある方の調査を行い、その結果、本日の公表までにお時間を要することになりました。本日の公表まで大変なご心配をおかけいたしましたことを心からお詫び申し上げます。

5) 本件に関するお問い合わせ先

情報流出の経緯・原因・対策のご説明 などにつきましては、下記MP社のお客様電話窓口までお問い合わせいただきますようお願いいたします。

■ メタップスペイメント お客様電話相談窓口
・受付時間:9:00 ~ 21:00(土日祝日も受付)
・電話番号:0120-816620(フリーダイヤル)
・案内内容: 情報流出の経緯・原因・対策の説明/お客様へのお願い事項に関する説明

不正利用状況の確認ならびにカードの再発行 につきましては、カード発行会社にご連絡ください。カード会社へお問い合わせの際は、スムーズなお手続きのため「メタップスペイメント不正アクセスの件」である旨をお申し出いただきますようお願いいたします。

■ 各カード会社連絡先
・電話番号:カード裏面に記載されている連絡先
・受付時間:カード会社によって異なります。
・案内内容:不正利用確認/カード再発行/カード利用停止に関するご説明


あらためまして、この度は仏検をお支えくださる皆さまにご迷惑とご心配をおかけする事態となりましたことを心よりお詫び申し上げます。弊会といたしましても、被害に遭われた方へ真摯に対応するとともに、信頼回復に向けた取り組みを進めてまいります。

2022年度 合格基準点・合格率

級(季)出願者数1次試験1次試験免除者数2次試験
受験者数合格者数合格基準点合格率受験者数合格者数合格基準点最終合格率
1451名415名53名94点12.8%5名53名45名30点10.8%
1889名747名198名62点26.5%40名222名180名23点23.3%
2()999名872名322名66点36.9%37名342名290名19点32.5%
()1,114名933名322名61点34.5%38名343名303名19点31.8%
2()1,215名1,039名636名56点61.2%60名673名579名18点53.8%
()1,289名1,084名636名55点58.7%55名661名579名16点52.2%
3()2,229名1,994名1,055名55点52.9%     
()2,689名2,388名1,527名60点63.9%     
4()1,704名1,541名1,148名60点74.5%     
()2,867名2,611名1,993名60点76.3%     
5()1,353名1,255名1,011名60点80.6%     
()2,078名1,902名1,710名60点89.9%     

2021年度 合格基準点・合格率

級(季)出願者数1次試験1次試験免除者数2次試験
受験者数合格者数合格基準点合格率受験者数合格者数合格基準点最終合格率
1460名413名48名83点11.6%7名54名46名31点11.0%
1918名811名218名74点26.9%30名231名184名23点22.3%
2()1,232名1,065名398名63点37.4%53名434名358名19点32.5%
()1,313名1,155名404名60点35.0%57名424名384名18点32.7%
2()1,234名1,066名658名59点61.7%48名684名596名19点54.6%
()1,412名1,232名710名55点57.6%50名719名628名18点50.6%
3()2,164名1,929名1,079名60点55.9%     
()2,811名2,520名1,414名59点56.1%     
4()1,719名1,571名1,305名60点83.1%     
()2,905名2,695名2,013名60点74.7%     
5()1,292名1,173名1,043名60点88.9%     
()1,987名1,842名1,576名60点85.6%     

2021年度春季仏検 3級 選択肢での誤植について

2021年6月20日(日)に実施された仏検春季1次試験・ 3級筆記試験におきまして、選択肢中に誤植がございました。

 3級 筆記試験問題冊子10ページ 大問 [9]
選択肢④

【誤】 comfortable  ⇒  【正】 confortable

公的な性格をもつ検定試験としての仏検への信頼を揺るがしかねない事態に、関係者一同、深く反省いたしますとともに、問題作成の諸段階での校正チェック体制を強化し、このような失態を繰り返すことのないよう努めて参る所存です。今回の件につきましては何卒ご寛恕くださいますよう、お願い申し上げます。

仏検実行委員会 

短期集中講座「リモート同時通訳ワークショップ」

開講コース案内(2022年度)

講座概要


・応募資格:仏検1級以上/通訳実務経験3年以上(兼業可)
・定員:10名
・受講料:27,500円(税込み) ※入学金不要

【開講日程】2022年2月27日(日), 3月6日(日), 3月13日(日), 3月20日(日)
      ※全4回
【開講時間】14:00~16:00(2時間)
【会場】オンライン(ZOOM)

キャンセル待ちについて


「リモート同時通訳ワークショップ」にご関心をお寄せくださり、誠にありがとうございます。

本講座は定員に達したため、お申込みを締め切らせていただきました。

ただいまキャンセル待ちで受け付けております。

お席に空きが出ましたらご連絡差し上げますので、 cours@apefdapf.org まで、メールにてお申込みください。   

※お席に空きが出た場合のみ、キャンセル待ちのお申込み順にメールでご案内します。 
※大変恐れ入りますが、お席に空きが出なかった場合はご連絡いたしません。

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会
APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 
〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F
TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157
E-mail:cours@apefdapf.org

2次試験当日の緊急連絡先について

1月23日(日)の仏検2次試験当日、緊急連絡先を下記のとおり開設いたします。


【2次試験当日のお問い合わせ】仏検受付センター

TEL:03-5778-4073 
受付時間:1月23日(日)9:00~16:00


・受験票が未着または紛失された方はヘルスチェックシートをこちらからダウンロードしてください。
試験を欠席される場合、事前連絡は不要です。なお、欠席された方への結果通知の発行は行いません。
 2次試験を欠席された方に対する来季の1次試験免除については、こちらをご覧ください。

・試験開催にかんする最新の情報は「2021年度秋季試験の開催について」のページでご案内しています。(1月22日追記)新型コロナウイルス感染等による欠席予定者・欠席者への対応を同ページに追加しました。

2023年度春学期 受講者募集のお知らせ

2022年度秋学期からの継続受講に加えて、全コースで新規受講者を若干名募集します。
受講資格をご確認のうえ、以下の要領でお手続きください。

春学期 受講申込方法

【受講申込期間】2023年3月1日(水)から3月24日(金)まで

※締切後の申込も場合によって受け付けますのでご相談ください。

● 継続受講の方

上記期間内に受講登録を終えてください。

● 新規受講希望の方

申込書(word)をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、cours@apefdapf.orgまでメール添付でお送りください。折り返し受講対象クラス、入学テスト受験の要不要などをお知らせします。

wordフォーム申込書(word) pdf申込書(pdf)

入学テストは下記の要領で実施します。

2023年度春学期 入学テスト 実施要領

●日 時:2023年3月25日(土)11:00開始 16:00終了予定
      <筆記試験>11:00~12:00 <面接>14:00より順次
●会 場:オンライン
●受験料:3,300円(税込み)
  ※銀行振込(下記参照)による事前支払い
  ※いったん納入された受験料は一切ご返金いたしかねます

◎ 出願期間:2023年3月1日(水)から3月24日(金)まで

<入学テスト受験料 振込先 > 
みずほ銀行  九段支店(店番号532) (普)1805436
(口座名義)公益財団法人 フランス語教育振興協会 教育口

※入学テストの免除について

  • 2008年秋季以降の仏検1級、準1級(および対応するDELF・DALF)取得者で、「通訳準備科」、「翻訳(基礎科・本科)」を希望される方は入学テスト免除になります。免除を希望される場合は、申込書をお送りいただく際に当該レベルの合格証書またはディプロムの写しを併せて提出してください。
  • 「通訳基礎科・本科」を希望する方への入学テスト免除はありません。

入学テストの結果はテスト実施後3日以内にメールでご連絡いたします。

入学テスト合格者およびテスト免除*で受講決定の知らせを受けた方は受講登録にお進みください。

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会
APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 
〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F
TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157
E-mail:cours@apefdapf.org

2021年度 年末年始の休業期間についてのお知らせ

公益財団法人フランス語教育振興協会は、2021年12月28日(火)より新年1月4日(火)までを休業期間とさせていただきます。

仏検・翻訳・教育の各業務についてのご依頼・お問い合わせは1月5日(水)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。

ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

1次試験当日の緊急連絡先について

11月21日の仏検1次試験当日の緊急連絡先を下記のとおり開設いたします。


【1次試験当日のお問い合わせ】仏検受付センター

TEL:03-5778-4073 
受付時間:11月21日(日)9:00~16:00


・受験票が未着または紛失された方はヘルスチェックシートをこちらからダウンロードしてください。
試験を欠席される場合、事前連絡は不要です。なお、欠席された方への結果通知の発行は行いません。
感染対策の一貫として今季も試験終了後の正解例の配付は行いません。正解例は試験当日11月21日(日)の20:00過ぎに当ホームページにて公開予定です。

仏検秋季1次試験 沖縄会場での感染対策について

2021年度秋季仏検1次試験沖縄会場は、受験票でお知らせのとおり 沖縄国際大学 13号館 にて開催いたします。
試験開催にあたっての当協会の新型コロナウイルス感染症対策は当ホームページでご案内していますが、沖縄会場として当協会が施設を借用する沖縄国際大学では、独自の感染対策を取られています。積極的なPCR検査・抗体検査の受検または2回のワクチン接種にご協力をお願いいたします。

なお、沖縄国際大学の新型コロナウイルス感染症対策に関するご質問は、直接会場にお問い合わせくださいますようお願いいたします。

【お問い合わせ】
沖縄国際大学 グローバル教育支援センター
〒901-2701 沖縄県宜野湾市宜野湾2丁目6-1
TEL:098-893-7668 FAX:098-893-8932
E-mail:ircchr@okiu.ac.jp
※受付時間 9:00-17:00、土日祝を除く

第32回 準1級の書き取り試験—文法知識の再チェックを—(上級)

慶應義塾大学准教授 井上 櫻子 

 


仏検では、 準2級から書き取り試験が登場しますが、準1級、1級レベルになるとその内容もかなり複雑になってきます。このレベルの試験対策としては、聴解力アップのために、France Info や RFI など、生のニュースを視聴できるインターネットのサイトを活用したり、語彙力を高めるためにフランス語圏の新聞、雑誌のサイトに親しんだりすることが有効であることは言うまでもありません。しかしそれと同時に、細かいミスによる失点を防ぐためにぜひとも求められるのが文法知識の再チェックです。ここでは、2020年度秋季準1級書き取り試験を例にみていきましょう。



                

この書き取り試験では、両親の勧めにしたがって画家になる夢をあきらめ、将来の安定した生活を保証する学校に進学したものの、それから30年たってもいまだに家賃の支払いに苦労するほど困窮している人の話が取り上げられました。そのなかから、多くの受験者がつまずいた箇所をピックアップしてみます。なお、音声は1つ目がポーズなしのもの、2つ目がポーズと句読点指示ありのものです。

 

     

(ポーズなし)

 

(ポーズ、句読点指示あり)

 

(解答)

Mais mes parents se sont opposés à ce projet et m’ont dit qu’il fallait que je m’inscrive dans une grande école pour gagner suffisamment bien ma vie.

(和訳)

「しかし両親はこの計画に反対し、十分な生活費をかせぐためにグランド・ゼコールに登録しなくてはならない、と私に言いました。」

「この計画」とは、画家になるという語り手の計画です。また、「グランド・ゼコール」は、大学とは別のフランスの高等教育機関を指しますから、本文には明言されていませんが、舞台はフランスということになります。

この文ではまず、qu’il fallait という一節について、qui fallait 、qui il fallait といった誤答が数多く見うけられました。確かに qu’il のように音節の短い単語がエリジオンしている場合、音声情報のみにたよるだけでは読み上げられているのがどのような語なのかなかなか見当がつかないかもしれません。しかしそこであせらずに、義務を表わす動詞 falloir は非人称主語 il を必要とするという基本的な文法知識を思い出せば、自信をもって答案を作成することができたでしょう。

またこれにつづく que je m’inscrive も難所だったようです。無回答の答案がめだったほか、m’inscrire とした答案もかなり確認されました。しかしここでも、義務を表わす表現 il fallait は従属節で接続法を要求するという文法知識をふまえれば、正答をみちびけたのではないかと思われます。

最後に、suffisamment bien という一節は今回の書き取り試験でもっともできが悪かった箇所のひとつです。かなりの数の受験者が suffisamment という副詞について m を2つ重ねることをおこたり、失点していました。ただ、フランス語には形容詞から作られる副詞がすくなくないこと、さらに男性形の末尾が -ant あるいは -ent である形容詞は、多くの場合、副詞になったときに -amment 、-emment という形になるという文法知識——これは、やや発展的な知識ですが——を知っていれば、まよわなかったかもしれません。

 

      

もうひとつ、例をみてみましょう。

(ポーズなし)

 

(ポーズ、句読点指示あり)

 

(解答)

Mon existence est devenue plus dure.

(和訳)

「生活はいっそうつらいものになりました。」

この文は、グランド・ゼコールに登録するようにと言われた語り手が、家族でパリに引っ越したときの印象を語ったものです。ここでは、半数近くの受験者が動詞 devenir の直説法複合過去 est devenue について、過去分詞を女性単数の主語 Mon existence と性数一致することを忘れていました。もしかすると、existence は女性名詞ではあるものの、母音で始まる名詞であることから1人称単数の所有形容詞が mon という形で用いられているため、男性名詞と錯覚したのかもしれませんが、全体的に手ごわい問題ばかりの準1級レベルの試験では、こうした細かいミスが合否を左右しかねません。「できたはず」のところでの取りこぼしは避けたいところです。

 

                

学習のツボ 第31回」では、3級の聞き取り問題 [1] (会話の部分書き取り問題)をもとに、確かな文法知識の習得の必要性が示されていますが、同じことは準1級、1級(上級)レベルにも当てはまります。試験直前には文法事項を再確認し、あやふやなところがあればしっかり補強しておきましょう。

 

(仏検事務局より)上で抜粋、解説されたもの以外の箇所は、2022年4月発行予定の『2022年度版 仏検公式ガイドブック』でご覧ください。2022年度版では、2020年度秋季・2021年度秋季の2季分の実施問題と解説が掲載される予定です。

 

仏検インターネット申込 お取扱いの一時停止について(10/25)

仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、
以下の期間中、各種お取り扱いを一時停止いたします。

※期間中は申込システムへのアクセスが不通となります。
※お申込完了後のコンビニ店頭でのお支払いは可能です。
※作業の進捗状況により、終了時間は前後する可能性がございます。


仏検インターネット申込 お取り扱い一時停止期間

対象 : インターネット申込システムでのID取得・出願情報入力、
マイページでの各種操作

停止期間 : 2021年10月4日(月)AM 1:00 ~ 7:00
         10月25日(月)AM 1:00 ~ 7:00


 

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。  

フランス語が見つけてくれた宝物

2020年度秋季3級合格・在日ベルギー大使館賞 / 2021年度春季準2級合格
M.I.
学生(茨城キリスト教大学現代英語学科)・茨城県

私がフランス語と出会ったのは、大学1年生の春でした。私の学科ではドイツ語、フランス語、中国語、韓国語のなかから第二言語としてひとつ選び、専攻の英語とあわせて2言語を学ぶことが必修とされています。当時私はK-POPが大好きで、何と歌っているのか知りたいと思い、韓国語にしようと決めておりました。しかし韓国語を希望する人は多く、抽選になることを知りました。私は、せっかく大学で学ぶのならコミュニケーションができるレベルまで頑張りたいと思い、他の言語から選ぶことにしました。フランス語は約50か国で公用語になっていること、なんとなくオシャレというイメージがあったことから、「将来の役に立つかもしれない」「話せたらかっこいいな」と思い、フランス語の履修を決めました。

はじめは単語の最後の子音は基本的に読まないことや動詞の活用形の複雑さなどに混乱しましたが、これもフランス語の魅力であり面白さだと思い、学習を進めました。フランス語同好会にも所属し、フランス語での映画鑑賞や先輩方とルノワールやクリムトといった画家たちの絵画パズルの作成を通して、言語だけでなく文化にも興味をもつようになりました。やがてフランスに留学したいと考えるようになり、現地で簡単な会話はできるようにしておきたいと大学2年生の秋に3級を受けることを決意。フランス語力を向上させるべく、オリジナルの単語ノートを作りました。今も、問題を解いている時に意味が分からなかった単語や本やポスター等をみて気になった言い回しを書き留めています。自分に足りないものと自分が知りたいと思ったものが詰まっているので、日々鍛えられています。教科書を読んでも分からないことや自分が疑問に思ったことは、参考書やインターネットで調べました。『北鎌フランス語講座―文法編』と『ぺぎぃのフランス語講座』は特にお世話になっています。どちらもとても分かりやすく解説されているのでぜひリンクから見てみてください。

仏検は、自分の頑張りに背中を押してくれる存在だと思います。明確な目標があるおかげで勉強を続けていけるし、周囲の友人と学ぶ喜びを共有することができます。フランス語同好会では、仏検が近づくと勉強会が開かれます。違う学科や学年の友人と交流ができ、分からないところを教え合いながら問題を解いています。お菓子をつまみ、時に雑談をはさみながら勉強する時間はとても楽しく、あっという間に過ぎてしまいます。

またフランス語を学べる環境が整っていることも、とてもありがたいことです。実はわが校にはフランス語専攻学科がありません。それでもフランス語を頑張る学生のためにとフランス語の先生方が、他の人が過去に使った仏検の問題集の貸出や単語力を競うコンクールを行ってくださいます。また私事ですが、これを書いている間に準2級にも合格することができました。受験するにあたって、先生方には放課後遅くまでご指導いただきました。このような先生方や、一緒に勉強して高め合える友人たちなど側にいる人たちの存在が、私を合格へと導いてくれました。もし他の言語を履修していたら今までの経験や出会いはなかったので、あの時フランス語を選んでよかったと思っています。自分が努力できる環境にいられること、個人と学校ですばらしいをいただけたことに感謝して、これからも同好会のメンバーやフランス語を学ぶ仲間たちと学び合っていきたいです。

母校、茨城キリスト教大学のチャペルと葉桜

 

 

フランス語と私

松浦 晃一郎(第8代ユネスコ事務局長)

1.フランス語をしっかり使った15年半

私はパリで駐仏大使を1994年の夏から5年半近く務めて、続いてパリに本部をおく国連の専門機関ユネスコの事務局長を1999年11月から10年間務めた。駐仏大使時代の5年半は当然のことながらフランス語で仕事をした。

大使の役割は首都でフランスの外務省をはじめフランス政府の関係者、さらには民間の各界の要人と接触することが重要な仕事であったが、同時にフランスの地方で講演するのも重要な仕事のひとつであった。私は5年半の間にフランス各地の主要な都市を訪れて、日仏関係の歴史、現状および今後の見通しに加えて日本が抱える外交上の諸問題についてもフランス語で講演した。講演のためには事前に原稿を用意していたので、その原稿にさらに手を入れて二度にわたってフランスの出版社から私の講演集を出版した。最初は日仏関係の歴史、現状および今後の見通しについての講演集で、二つ目は日本の外交が抱える諸問題についての講演集を出版した。ユネスコ時代になってからアフリカのフランス語圏のユネスコ代表や本国の外務大臣、文化大臣、教育大臣等からこれらの講演集を読んで大変勉強になったと言われたのは非常に嬉しかった。

ユネスコは公用語が英語・フランス語・スペイン語・アラビア語・ロシア語及び中国語の6か国語であるが、通常の使用言語は英語とフランス語である。しかしながら、ユネスコ本部がパリにあることもあり、フランスの影響力が強く、伝統的にはフランス語が一番使用される言語であったが、国際的なグローバル化の進展で、ユネスコの会議でも次第に英語の使用が増えてきた。

ユネスコは教育、文化、自然科学、社会科学およびコミュニケーションの分野を担当している国際機関である。私は第8代事務局長であるが、前任の事務局長はスペインの教育大臣を務めた方で、フランス語がほとんど母国語のようなものであった。その前の事務局長はセネガルの教育大臣を務めた方で、セネガルがフランスの植民地であったこともあり公用語はフランス語で、彼のフランス語はまさに母国語であった。その前の事務局長、すなわち第5代事務局長は1960年代から1970年代にかけて世界遺産条約の採択等を含めて文化関係で非常に重要な実績を残された方であるが、その方はフランスの文化大臣を務めた人であった。

しかしながら第二次大戦後アメリカが国際的な存在感を強め、更には東西冷戦終結後アメリカの主導のもとに1990年代に国際的なグローバル化が急速に進んだ結果、英語が第一の国際用語になってきた。逆にフランス政府は、パリに本部を置くユネスコにおいて英語が第一使用言語になることは許さないということでフランス語の使用を強く主張した経緯がある。

ユネスコでの国際会議では私はその時の状況に応じて使用言語の英語とフランス語を使い分けた。また、ユネスコの事務局内の会合では英仏いずれの言語でも発言できることになっている(通訳なし)。また、ユネスコの事務局は本部で約2000名、海外事務所で約1000名、合わせて3000名のスタッフが働いていたが、その一番の中核をなす組織は事務局長とその補佐官(約15名)、その助手等(約20名)で構成される補佐官室(合わせて約35名)であった。

これはフランス的な組織であり、フランス語でキャビネと呼ばれた。私はキャビネのトップにフランス人の女性、ナンバー2にレバノン人の女性を雇ったこともあり、補佐官達との会合は常にフランス語を使用した。

上記のような次第でフランス大使時代の5年半の公的な使用言語はフランス語、それからユネスコ時代の公的な使用言語はフランス語および英語であったが、フランス語の使用の方が多かった。

しかしながら私が日本の中学校で学びだした最初の外国語は英語であり、外務省に入って研修先として選んだのもアメリカの大学であったので、若い頃の第一外国語はなんといっても英語であった。そういう状況のもとで外国語が非常に好きであった私にとっても、フランス語で仕事ができるようになるまでには非常に苦労したので、その苦労話を以下に書きたいと思う。

2.日本での学生時代

私は小学校5年生頃から小説を読むのが好きになり、父が持っていた夏目漱石全集や島崎藤村全集を貪るように読んだ。中学2年生になった時に国語の先生から、小説を読んで感想文を書くべし、という宿題を出された。当時私はこの機会に外国の文学を読みたいと思い、先生に何か一つ推薦してほしいとお願いしたところ、フランスのジョルジュ・サンドという女性作家の『愛の妖精』を紹介してもらった。早速本屋で文庫本を買って読むと、フランスの田舎を舞台に十代半ばの双子の兄弟と彼らをめぐる二人の少女の交流の物語であった。先生には私が山口県の島地村という田舎で小学校に通っていたことをお話したことがあるので、その小説を推薦してくれたものと思う。非常に感激して島地時代を思い出しながら感想文を書いた。(フランス勤務時代に改めて同小説をフランス語で読み直してみて、4人の少年少女の微妙な感情の動きを当時の私が深く理解したとはとても思えないが)。残念ながらその感想文は残っていない。

それを契機としてフランス文学に非常に関心を持ち、中学生時代さらには高校生になってからスタンダール、フローベール、モーパッサン、バルザック等のフランス人作家の小説を読み漁った。

日比谷高校の2年生になると、第二語学の授業をとれることになったので、私は早速フランス語をとることにしたが、父は私の将来の職業としてお医者さんを目指したらどうかと提案し、ドイツ語を勉強すべしと強く主張した。そこで私はフランス語に加えてドイツ語を学びだしたが、大学受験を1年後に控えた高校2年生で英仏独3か国語を同時に勉強するのは厳しいので、父の進言に従いドイツ語は続けることにした。そしてフランス語は諦めた。しかし当時NHKの朝の放送で前田陽一先生がフランス語の講座を放送しておられたので、それはずっと続けて聴いていた。後から考えるとそれが私のフランス語の基礎を学ぶことに大変役立った。

東大の教養学部に入って私はドイツ語の既習組に入り、英語、ドイツ語に加えてフランス語、ラテン語、ギリシャ語のクラスをとった。しかし5か国語を続けるのは難しいので、ギリシャ語は途中で諦めた。いずれにせよドイツ語のクラスではドイツの小説をドイツ語で読む機会に恵まれたが、私としてはやはりフランス文学の方により関心があった。しかし当時の私のフランス語の力ではフランス語でフランスの小説を読むことはできなかった。したがって、中学生時代にまだ読んでいなかった18世紀及び19世紀の小説に加えて、20世紀のロマン・ロラン、マルセル・プルースト、アンドレ・マルロー、ロジェ・マルタン・デュ・ガール等を日本語で読み漁った。

3.西アフリカで仏語猛勉強

東大法学部に進むと、専ら法律の勉強ばかりで外国語を勉強する機会はなくなった。しかし引き続き私は小説を読むのが好きで、英文学に関しては当時ペンギン文庫で英語の小説が手軽な値段で買えたのでいくつもの小説を原語で読んだが、フランス文学に関しては残念ながらフランス語では無理であったので、引き続き日本語で読んだ。

幸い外交官試験に受かり、希望通りアメリカの大学で2年間研修することになったので、私はフィラデルフィアの郊外にあるハヴァフォード大学を選び、そこで経済学を専攻することにした。5科目選ぶことができるのでフランス語を選びたいと思ったが、中級に入るには自信がなかったし、他方初級からやるのは馬鹿馬鹿しいと思った。そこで新しい外国語としてスペイン語を選んだ。ハヴァフォード大学の授業はもちろん全て英語であったが、スペイン語初級をとったのでスペイン人の先生について2年間徹底的にスペイン語を学んだ。後から考えると、スペイン語とフランス語は同じラテン語のグループに属しており非常に関係の深い言語であるので、スペイン語を学んだことはフランス語をより深く理解する上でもプラスになった。当時予期していなかったが、ユネスコ時代、中南米諸国の外交官や大臣との接触にあたって、又これら諸国の訪問にスペイン語の知識が非常に役に立った。

ハヴァフォード大学での2年間を終えたところで、外務本省より西アフリカのガーナ勤務を命ぜられた。ガーナに赴任すると、私の上司の中川進大使より「在ガーナ大使館は従来英語圏ガーナのみの担当であったが、リベリア、シエラレオネの英語圏2カ国に加えて、ギニア、マリ、コートジボアール、オート・ボルタ(現ブルキナファソ)、ニジェール、トーゴ、ダホメ(現ベナン)の7か国、合わせて10か国を担当することになったので、英語とフランス語両方で仕事のできる若手外交官を派遣してほしいと本省に稟請していたところ本省が君を選んだようだ。したがってガーナを含めてこれら10か国の政治情勢をしっかりフォローし本省への報告を随時書いてほしい。加えてこれらの国々に対して日本のことをPRする広報文化関係を担当してほしい」と指示された。

私はそのように在ガーナ大使館の守備範囲が広くなっていることを全く知らされてなかったのでびっくりしたし、英語ではしっかり仕事ができる自信があったが、フランス語は正直なところ自信がなかった。そこで大使に対し、フランス語の国々をカバーするにあたって私を補佐してくれるフランス人の秘書を雇ってほしい旨をお願いした。大使のおかげでガーナに住んでいるフランス人を秘書として雇うことができ、彼女には私のフランス語の仕事を手伝ってもらうだけではなく、何かにつけて私のフランス語学力をつけることを助けてもらった。

そして私自身もフランス語のレッスンを受けたいと思い、新聞に広告を出した。すると直ちにガーナ放送局でフランス語の国々に対して放送を担当しているトーゴ人が応募してきて面接をしたところ、非常に感じが良いので早速彼を雇って週2回徹底的な個人レッスンを受けることにした。

以上の次第で西アフリカ時代はフランス語を学び、それを仕事に使うことに非常に力を入れた2年間であった。正直言ってその際力を入れて学んだフランス語が、外務省時代、さらにはユネスコ時代に非常に役に立つということは全く予想していなかった。ただし、私が力を入れて学んだのはフランス語の「話す」と「聞く」であり、それに合わせて適宜「読む」にも力を入れた。しかし「書く」はしっかり学ばなかった。それはその後の外務省時代およびユネスコ時代の仕事上大きなマイナスにはならなかったが、もっとフランス語の「書く」を学ぶべきだったと今になって後悔している。

4.西アフリカで学んだ仏語、その後の仕事に役立つ

西アフリカから帰国後、外務省経済局に5年勤務し、最初の3年間は中近東課に、次いでその後の2年間は経済局全体のとりまとめをする総務参事官室に籍を置いた。中近東課といっても中近東諸国に加え、旧英国領のアフリカを除くすべてのアフリカの国々(旧仏領を含む)を担当した。したがって多少はフランス語を使う機会はあったものの、一般的に言って東京での勤務時はもっぱら日本語ばかりで、英語を含めて外国語を使う機会は少なかった。

唯一良い思い出になっているのは、中近東課時代1960年代の官民提携の経済外交の動きを反映し、北アフリカ6か国に経済使節団(団長は小泉幸久古河電工会長)を派遣した時で、私がお世話係で同行し、旧仏領のモロッコ、アルジェリア、チュニジアの3か国ではフランス語の通訳などを務め、フランス語の知識がしっかり役に立った。しかしそのような機会はあまり多くはなかった。

5年間の本省勤務後、パリのOECD日本代表部勤務を命ぜられ、4年間総務書記官を務めた。私の主たる役割は、OECDの中核機関である執行委員会および理事会に大使のお供をして出席することであった。OECDでは使用言語は英語とフランス語であったので、事前にフランス語の文献はフランス語でしっかり勉強し、会議でもフランス語の発言はフランス語で聞き、私の役割である外務省本省に対する報告電報をしっかり書いた。

しかしながら私のフランス語は5年間の東京勤務の間に明らかに退化していたので、ベトナム人女性からフランス語の個人レッスンを週2回くらいのペースでとった。

OECD日本代表部勤務ののち日本に帰ってからは東京やワシントンで日米関係を担当したので、フランス語を使う機会は全くなかった。しかし1980年代に入って外務本省での経済協力局勤務が始まり、ODA対象国であるフランス語圏のアフリカの大使と接触する機会が出てき、またフランス語を使う機会が生まれた。

 次に私がフランス語を仕事の上でしっかり使うことになったのは、1990年代に外務審議官(経済担当)になってからである。G7サミットのフランスのシェルパ、アンヌ・ロベルジョン女史とEU代表のパスカル・ラミー氏(後でWTO事務局長に就任)とは常にフランス語で対応した。唯一の問題は、ロベルジョン女史とは非常に親しくなったので、「チュトワイエ」する仲になったが、「チュトワイエ」のフランス語には全く慣れていなかったので、苦労した。しかしながらロベルジョン女史は当時のミッテラン大統領の副首席補佐官をしており、私は1994年にフランス大使としてパリに赴任してから電話連絡を含めて常時接触を保った。通常大使は外務省の担当局を窓口として仕事をするものであるが、私はこのように大統領府の幹部と直接連絡を取ることができ、大変プラスだった。

5.むすび

以上のような経緯を経て、冒頭に述べたようにフランス大使として5年半フランス語で仕事をし、さらにはユネスコ事務局長として英語とフランス語を両方使いながらかなりフランス語に重点を置いて仕事をした10年を送ることができた。

ユネスコ事務局長時代を終え、帰国後11年を越え、その間フランス語を使う機会は非常に少なくなった。しかし駐日フランス大使をはじめとするフランス大使館の幹部、さらには在京のフランス人の方々と接触する機会がかなりあり、私のフランス語は残念ながら退化してきてはいるもののなんとか維持してきている。例えば昨年在京のチュニジア大使と1時間近くフランス語で対談し、前半は日本とチュニジア関係について話をし、後半は来年チュニジアで開かれることになっているTICADについて話をした。その録画がチュニジア大使館のホームページや私が名誉会長をしているルネサンス・フランセーズ日本支部のホームページで動画として流され、嬉しく思っている。




一部コンビニ決済におけるお取り扱いの一時停止について

仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、以下の期間中、一部のコンビニエンスストアでの検定料納入のお取り扱いを停止いたします。なお、作業の進捗状況により、終了時間は前後する可能性がございます。


仏検インターネット申込 コンビニエンスストア決済 不通期間

2021年9月16日(木) 午前0:00~午前6:00
対象コンビニ : デイリーヤマザキ/ヤマザキデイリー

内容:仏検インターネット申込「出願情報選択」画面操作中、対象コンビニを
 コンビニ決済でのお支払い店舗として選択することができません。
また、対象コンビニ店頭で検定料をお支払いいただくことができません。
 

出願受付開始直後のメンテナンスによりご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。  

公益財団法人 フランス語教育振興協会
仏検事務局

 

仏検 受験要項 表紙記載の日程について(お詫びと訂正)

全国の取扱書店・生協の各店舗、学校・団体、および過去2季のご出願時にDMを希望された方に宛てて9月7日に発送いたしました2021年度秋季試験 受験要項パンフレットの表紙におきまして、記載された1次試験実施日に誤りがございました。心よりお詫び申し上げますとともに以下のとおり謹んで訂正いたします。


2021年度秋季 受験要項 表紙記載
秋季1次試験 開催日

(誤)11月15日(日) → (正)11月21日(日)  

なお、当ホームページでは誤りを訂正した受験要項のPDF版をダウンロードいただけます。広くご周知いただけますようお願い申しあげます。

【短期集中講座】アフリカ・セミナー

アフリカ・セミナー 仏語圏サブサハラ アフリカへの誘い

フランス語圏サブサハラ アフリカを 身近に感じてみませんか?

J I C A(国際協力機構)のンジャイ林恵美子さんを講師にお迎えし、豊富なお仕事・生活経験に基づいて仏語圏サブサハラ諸国の魅力を分かりやすくご紹介いただきます。

※通訳のトレーニング講座ではありませんので、フランス語の学習歴がない方や、アフリカ諸国に興味があって、いつかアフリカで働いてみたい…!という方も、ぜひご参加をお待ちしております。
◇ このコースはオンライン(Zoom)で開講します。

 

講座の詳しい内容は 左の画像をクリック してご覧ください。

講座概要


・定員:30名

・受講料:3,000円(税込み)※入学金不要

【開講日程】2021年10月3日(日)・10月10日(日) ※全2回

【開講時間】10:30~12:00(90分)

【会場】オンライン(ZOOM)


キャンセル待ちについて


アフリカ・セミナーにご関心をお寄せくださり、誠にありがとうございます。

本講座は定員に達したため、お申込みを締め切らせていただきました。

ただいまキャンセル待ちで受け付けております。

お席に空きが出ましたらご連絡申し上げますので、 キャンセル待ちフォームにご入力のうえ、送信してください。   

※お席に空きが出た場合のみ、キャンセル待ちのお申込み順にメールでご連絡差し上げます。   
※大変恐れ入りますが、お席に空きが出なかった場合はご連絡いたしません。

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会
APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 
〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F
TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157
E-mail: cours@apefdapf.org

第31回 3級の聞き取りに挑戦!でもその前に(中級)

 白百合女子大学客員所員 池田 潤

filleauxecouteurs 聞き取り試験では、3級になるとマーク式ではない記述式の問題が入り、初級から中級段階に進むためのひとつの関門となっています。とはいえ、リスニングの勉強をどうやってするか、悩む人は多いでしょう。「結局フランスに行かなければだめだ」、「とにかく音に慣れることが大事」、といった「助言」を見聞きすることもありますが、どちらも今すぐシステマティックに取り組めるアプローチとは言い難いものです。

一方、『仏検公式ガイドブック』の「聞き取り試験」総合解説では、対策としてむしろしっかりとした基本的知識の習得が強調されています。ここでは、3級の聞き取り [1]で出題される部分的な書き取り(ディクテ)を例に、着実に聞き取りの力を高めていくためにどのような「仕込み」をするべきかを分析します。

書き取りについては、2級の問題を扱った 第18回「書き取りに強くなるには?(中級)」 でも詳しく解説されています。そこでまとめられているのは、文法的知識が正解への鍵となるということです。3級でも、聴解の前提となる基本的な知識を固めておくことが効果的です。

                      

2020年度秋季の3級聞き取り[1]を例にとりましょう。この問題は、聞こえてくる会話文中の空欄を埋める形式になっています。音声は3回繰り返され、2回目はゆっくりと読まれます。

今回は、5つの空欄のうち3つに注目します(全問の解答は画面の一番下にあります)。

Thomas : Camille, tu sais qu’il y a un ( 1 ) dans la classe ?
Camille : Non. Tu l’as déjà vu ?
Thomas : Oui, je lui ai parlé un peu ( 2 ) l’entrée de l’école.
     Il ( 3 ) en classe tout à l’heure.
Camille : Il est comment ?
Thomas : Il est ( 4 ). Il porte ( 5 )… Il sourit beaucoup.
Camille : Il a l’air sympa !


 

      

まずは(1)です。


Camille, tu sais qu’il y a un ( nouveau ) dans la classe ?

という文のうち、空欄の nouveau を書き取らせる問題でした。「新しい」という形容詞が、ここでは名詞として「新入り」の意味で使われているところが少し変化球です。誤答の中では、nouvel と男性第二形にしてしまったもの、nouvelle と女性形にしてしまったものが目立ちました。また、 neuveau や noveau といった、フランス語の単語にはないつづりを書いたものも相当程度みられました。

ポイントとなるのは、nouveau という形容詞についての正しい知識です。すなわち、nouveau (nouvel) – nouvelle のそれぞれの発音をきちんと覚えていれば、聞こえていないはずの l のつづりを入れる間違いは避けられます。ただし、「聞き流す」だけの対策では、たしかに nouveau, nouvel, nouvelle のそれぞれの音に「慣れる」ことはできるでしょうが、それらがどのように使い分けられているのかを正しく理解するまでにはおそらく膨大な時間がかかってしまうでしょう。それぞれの形がどのような場合に用いられるのかを知っていることが正解への決め手となるのです。また、形容詞の前に冠詞を置くと「〜な人、もの」という名詞として使われることがあるということを知っていれば、un (nouveau) のあとに名詞が来ていないからといって、(  )には何か自分の知らない名詞が入るのではないかなどと考えこまずにすみます。

      

次に(3)です。


Il ( viendra ) en classe tout à l’heure.

と、venir の単純未来形を書かせる問題でした。動詞の活用形を問う問題としては、3級には筆記の[2]があり、「学習のツボ」第26回「動詞に強くなるには?(中級)」でポイントが整理されています。聞き取り問題では、自分で動詞の活用形を作ることが求められるわけではありませんが、聞こえてきた動詞を正しく書き取るためには活用形の知識が必須です。

たとえば、viandra という誤答が少なからずみられましたが、そういう人は直説法現在の je viens はじめ、venir のほとんどの活用形のつづりがあやしいのではないでしょうか。また、viendrai や viendras としてしまった誤答もみられました。こちらの場合は、venir に限らず一般に動詞の単純未来形語尾をきちんと覚えていないであろうことがうかがえます。

      

もうひとつ、(5)です。


Il porte ( des lunettes ).

と、不定冠詞も含めて書き取る問題でした(問題用紙の指示文には「(  )内に入るのは1語とはかぎりません」とあります。注意しましょう)。フランス語で、名詞の前に前置詞や限定詞(冠詞、指示形容詞、所有形容詞)が何もつかないのは例外的です。J’ai faim.「お腹がすいた」などがそうした表現ですね。

さてこの問題では、もちろん lunettes「めがね」という名詞を正しいつづりとともに知っているかどうかが問われているわけですが、おさえるべきポイントはかなり一般化できます。

たとえば、des と複数の不定冠詞を書き取るべきところを、de としている誤答がかなりありました。des と de では発音が異なります。初級レベルの学習者にはこの発音の区別ができていないケースがよくみられますが、細かいようでこれは非常に大事な点です。というのも、フランス語の名詞は単数形と複数形で名詞そのものの発音は変わらないことが多く、そういう場合、聞き取りでは名詞の前に置く語の発音の違いで単数・複数の判別をすることになるからです。定冠詞のついた名詞を例に挙げると、le chien と les chiens では、発音の上で異なるのは le と les の部分のみで、名詞の chien と chiens はまったく同じ発音をします。したがって、le と les の発音を区別できてはじめて、名詞 chien が単数か複数かを判断することができるわけです。

                      

3級聞き取り[1]は、1級まで続くディクテ問題の導入であり、リスニングの基礎力を試すものです。そして、さまざまな品詞を書き取りの対象とすることでこの問題が問うているのは、語の発音を含めた基本的な知識であるといえます。ここでとりあげた例に即してより具体的にまとめると、それは ① 名詞や形容詞、また限定詞の性数変化を正しいつづり字と発音で覚えているか。② 動詞の活用形や、現在分詞・過去分詞を正しいつづり字と発音で覚えているか。ということになります。

こうした知識の習得にあたっては、筆記試験のためにしている勉強がそのまま有効です。筆記の勉強を丁寧にすることがリスニング力の向上に大きく寄与するということですね。また逆に、なんとなく単語を拾うのではなく、細かいところまで正確に理解しつつリスニング教材を聞くことで、文法や表現の知識をいっそう定着させていくというサイクルを作ることができれば理想的です。

 

【 解答 】
(1) nouveau  (2) devant  (3) viendra  (4) blond  (5) des lunettes

 

(仏検事務局より)上で解説されたもの以外の問題は、2022年4月発行予定の『2022年度版 仏検公式ガイドブック』でご覧ください。2022年度版では、2020年度秋季・2021年度春季・秋季の3季分の実施問題と解説が掲載される予定です。

日仏逐次通訳講座〈短期集中・オンライン〉

開講コース案内(2021年度)

フランス語アウトプットを磨くための日仏逐次通訳講座


【満員御礼】本講座は定員に達したため申込受付を終了しました。


フランス語を母語に持つ講師による、フランス語アウトプットを磨くための逐次通訳講座です。
聞き手にわかりやすい自然な訳出をめざして、日→仏の逐次通訳練習を集中的に行います。
◇ このコースはオンライン(Zoom)で開講します。

日仏逐次通訳講座

講座内容の詳しい紹介は 上の画像をクリック してご覧ください。

講座概要

<8/3更新>定員に達したため、本講座の申込受付は終了しました。

・対象レベル:仏検準1級以上/DELF B2
・定員:12名
・受講料:20,000円(税込み) ※入学金不要

【開講日程】2021年8月22日(日), 8月29日(日), 9月5日(日), 9月12日(日)
      ※全4回
【開講時間】10:00~12:00(2時間)
【会場】オンライン(ZOOM)

● 申込方法:下記申込書に必要事項をご記入のうえ、メール添付でお送りください。

wordフォーム 申込書(word)   pdf 申込書(pdf)

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会
APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 
〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F
TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157
E-mail: cours@apefdapf.org

2021年度 夏季休業期間についてのお知らせ

公益財団法人フランス語教育振興協会は、8月10日(火)より8月13日(金)までを夏季休業期間とさせていただきます。8月6日(金)17時以降、休業期間中にお寄せいただいた各業務についてのご依頼・お問い合わせは8月16日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。

ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2次試験当日の緊急連絡先について

7月18日の仏検2次試験当日の緊急連絡先を下記のとおり開設いたします。


【2次試験当日のお問い合わせ】仏検受付センター

TEL:03-5778-4073 
受付時間:7月18日(日)9:00~16:00


・受験票が未着または紛失された方はヘルスチェックシートをこちらからダウンロードしてください。
試験を欠席される場合、事前連絡は不要です。なお、欠席された方への最終結果通知の発行は行いません。

2021年度春季試験の開催について

公益財団法人フランス語教育振興協会では、昨季に引き続き新型コロナウイルス感染症への防止対策をとったうえで、2021年度試験の開催を準備しています。このページでは2021年度春季試験の開催に関する情報を随時更新してお伝えします。(2月19日初掲、7月14日更新)

試験日程と出願受付期間について

■ 試験日程:1次試験 6月20日(日)2次試験 7月18日(日)
■ 出願期間:4月15日(木)~[願書郵送]5月19日(水)[インターネット]5月26日(水)

※要項・願書の無料送付をご希望の方は ご請求フォーム からご連絡ください。
※要項・願書に印刷された情報は今後変更される可能性があります。最新の情報を当ホームページにて随時ご確認ください。

新型コロナウイルス感染症対策について(2/19初掲、6/22更新)

仏検開催にあたっての感染症防止対策と来場される全ての方へのお願いを下記リンク先にてお知らせしています。受験される方は出願の前に必ず内容をご確認いただき、同意のうえご出願ください。なお、今後の状況によっては内容を更新する可能性もございますことをご了承ください。

「お願い」に記載された「ヘルスチェックシート」は、受験票の裏面に印刷されています。受験票が未着の方や、受験者にやむを得ず同伴される方は、下記のPDFファイルを印刷し、お名前をご記入ください。試験当日、来場前にヘルスチェックを行い、ご来場が可能な場合はチェックシートを会場にご持参ください。※6月22日より、2次試験会場用のチェックシートを公開しています。

pdf ヘルスチェックシート(pdfファイル)

国内会場の開催が中止された場合の対応について(2/19初掲、7/14追記)

日本国内で感染拡大の状況によって国や自治体からの要請等が発令された場合には、一部もしくは全ての会場での開催中止を余儀なくされる可能性もございます。開催を中止した場合、出願された方には、返金ではなく次季試験への振り替えをご提案させていただく予定です。ご出願にあたってはこの点についてもご承知おきくださいますようお願い申し上げます。
2021年7月14日現在では、全ての会場が無事に開催を終えた1次試験に続き、2次試験についても全ての会場で予定通りの試験開催に向けて準備を進めております。

国内会場での受験地と試験会場について(4/14初掲、5/26更新)

全国各地の関係者の協力のもと、開催に向けて力を尽くしておりますが、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発令や延長、あるいはワクチン大規模接種会場の設営等にともなう行政や施設貸出団体の指示判断によっては、当初予定していた会場が急遽変更になる場合もございます。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。受験予定の方への最終的な会場のご案内は受験票の発送をもって行います。また、最新の情報は当ホームページ「 受験地/実施級・試験会場 」で可能な限り随時お知らせいたします。

2次面接試験のオンラインでの実施について(4/14初掲、5/17更新)

仏検実行委員会では、2021年度春季試験の特例として、以下に該当する方を対象に、Zoomによるオンラインでの面接試験(1級・2級・準2級)を提供することを検討しています。実施の可否は個別に検討のうえお知らせしますので、ご希望の方は出願の前に仏検事務局までメールでご相談ください。なお、ご相談の受付期限は5月12日(水)とし、それ以降はご対応いたしかねます。【5月17日追記】本件のご相談の受付は終了しました。

(1) 日本国外に居住する(かつそのことを書面で証明できる)1次試験免除の有資格者で、以下の条件のすべてを満たす方。

・仏検事務局が指定する試験実施日時(事前に告知した本試験日から変更される場合があります)に、身分証の提示による受験者の本人確認ができること
・適正な環境でオンライン面接試験が受けられるパソコン等の機器と、安定した通信環境を準備できること

(2) 日本国内に居住し、1次試験免除の有資格者もしくは1次試験合格後に2次試験のオンライン受験を希望し、以下の条件のすべてを満たす方。

・居住する県で受験を希望する級の2次試験が開催されていないこと
・所属する企業・機関・大学・学校が県外への移動を禁じており、そのことを証明するものを出願時に提出できること
・仏検事務局が指定する試験実施日時(事前に告知した本試験日から変更される場合があります)に、身分証の提示による本人確認ができること
・適正な環境でオンライン面接試験が受けられるパソコン等の機器と、安定した通信環境を準備できること

振替受験対象者の皆さまへ(2/19初掲、4/14更新)

以下に該当される方は、2021年度春季試験に振替受験をご利用いただくためのご案内を4月初旬にメールないし書面にて個別にお送りしました。未着の方は仏検事務局までお問い合わせください。なお、 受験クーポン・振替コードの有効期限は今季出願受付最終日 2021年5月26日(水)です のでご留意ください。
振替受験のご利用にあたって受験級の追加・変更をご希望の方は こちら をご覧ください。

・2019年度春季1次試験大阪会場または2020年度春季試験の中止による振替受験対象者で、2020年度秋季試験に出願されなかった方
・2020年度秋季1次試験終了後、振替受験のご案内を受け取られた方

1次試験免除について(2/19初掲)

以下に該当する方は、2021年度春季試験に1次試験免除でご出願いただけます。

【1級】
・2019年度春季試験の1次試験に合格後、2次試験が不合格または2次試験を欠席し、2020年度秋季に出願されなかった方(2020年度春季の出願の有無は問いません)
・2020年度秋季で1級の1次試験に合格後、2次試験が不合格または2次試験を欠席された方
【2級・準2級】
・2019年度秋季試験の1次試験に合格後、2次試験が不合格または2次試験を欠席し、2020年度秋季に出願されていない方(2020年度春季の出願の有無は問いません)
・2020年度秋季で2級・準2級の1次試験に合格後、2次試験が不合格または2次試験を欠席された方

※なお、2019年度秋季試験の準1級に合格後、2次試験が不合格または2次試験を欠席し、2020年度秋季に出願されていない方は、1次試験免除の資格が2021年度秋季まで延長されます。

1次試験免除に必要な情報を紛失された方は仏検事務局までお問い合わせください。

パリ会場の開催中止について(2/19初掲)

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続くなか、パリでの試験開催は実施およびその準備を安定的に行うことが依然として困難であると考えざるを得ません。誠に遺憾ながら パリ会場は2021年度春季も開催を中止いたします 。どうかご理解を賜りますようお願い申し上げます。なお、秋季試験の開催有無については7月末頃に決定し次第お知らせいたします。

1次試験当日の緊急連絡先について

6月20日の仏検1次試験当日の緊急連絡先を下記のとおり開設いたします。


【1次試験当日のお問い合わせ】仏検受付センター

TEL:03-5778-4073 
受付時間:6月20日(日)9:00~16:00


・受験票が未着または紛失された方はヘルスチェックシートをこちらからダウンロードしてください。
試験を欠席される場合、事前連絡は不要です。なお、欠席された方への結果通知の発行は行いません。
感染対策の一貫として今季も試験終了後の正解例の配付は行いません。正解例は試験当日6月20日(日)の19:00頃に当ホームページにて公開予定です。

希望の道〜フランス語

2020年秋季5級合格・APEF賞
永森 理仁
小学6年生(暁星国際小学校)・千葉県

僕は、この春から6年生になる海外経験のない日本人の男の子です。言語は、人生を切り拓く力です。言語が大好きな僕にとってフランス語は、ヨーロッパの言語や文化へと続く希望の道です。

僕たちの学校はルーツであるフランス語・文化を大切にし、式典では日の丸と共にフランス国旗を掲揚し、また君が代と共に La Marseillaise を歌います。95歳のFr.D.田川校長先生は、必ずフランス語でご挨拶をして下さるので、僕はフランス語の会話が続く努力をしています。彼はレジオンドヌール勲章を受勲した方なので、僕は誇らしく思っています。週3時間あるフランス語の授業では、ベルギー人とフランス人に英語でフランス語を教わってきました。先生方は単にフランス語を教えて下さるだけではなく、フランス語文化圏の生活や考え方を紹介して下さいます。この様に、僕は学校教育環境の中で、フランスを身近なものと感じています。

仏検準備は、丸山教頭先生の補講をお友達と一緒に受講しました。僕は塾に行ったことはなく、学校と家庭学習のみでお勉強をしています。理由は、大好きな本を読んだり、家族とゆっくり過ごしたいからです。また、僕は自分が受ける検定試験とそのタイミングは必ず自分で決意します。だから僕にとって検定試験は楽しくて、正直嫌になることもあるけれど、挑戦する勇気や新しい力や知識を身につけるチャンスをくれるものです。だからこそ、初挑戦の仏検で満点を取れたことやAPEF賞の受賞は、飛び上がって喜び、言葉に表せないほど嬉しかったです。今回の受賞を弾みに、更にハイレベル級を目標にします。

フランス語が出来て良かったと思った3つの経験を紹介します。1つ目は、フランス語でお誕生日の歌を歌うと、皆さんが大喜びして下さること。2つ目は、学校の授業でフランスの小学生とお手紙交換交流をしたこと。人生初フランス語で書いたお手紙にフランス人らしい素敵な文字のお返事を頂きました。そして3つ目は、フランス人とフランス語で大好きな科学のお話できたこと。僕は、3歳の頃から科学と数学の虜です。これまでに元素周期表、免疫、虚数、ペアノの公理等の研究集を日本語と英語でまとめています。4年生の冬に、僕の大好きな玉尾皓平先生(京都大学名誉教授)が実行委員長をなさったClosing celebrations of IYPT2019(世界中で元素周期表150周年を祝う国際的な科学の式典)に参加。世界中の科学学会の代表者やノーベル賞受賞者が集う中、Periodic Table for the next generationというセッションで英語で数分間のスピーチをさせて頂きました( 当日の動画はこちらから見られます / my speech starts at about 5 hours 17 minutes )。僕の人生を大きく飛躍させたこの日、フランス人の先生とフランス語で簡単な会話をした時の reaction が忘れられません。彼は、僕の英語のスピーチと僕のフランス語会話を、綺麗な優しいフランス語で褒め、そして親交の証にと貴重な本やカードを下さいました。その瞬間、「フランス語を自由自在に駆使したい」と、僕の気持ちに火がつきました。僕は、フランス語も日本語や英語のように自由自在に使える様になったら、大好きな科学の論文や、数学の原書を読みたいし、そしてフランス人の科学者と専門的なことを熱く議論して科学に貢献したいです。このように言語は、僕の希望の道を豊かに彩ります。

以下、フランス語で僕の気持ちを書きました。春休みなので先生に確認出来ないし、僕の家族は誰もフランス語が出来ないので、添削無しの自力作文です。間違えがあったらすみません。

À un / une personne à APEF

Bonjour ! Je m’appelle Licht. J’ai gagné le prix de vous sur 5 kyu. Merci beaucoup pour le prix : je suis trop heureux !!!!!!!!!!! Mon école fait des cours de français. Depuis les temps CP ( ichi-nensei ), il y avait des cours de français. Un professeur belge nous a appris pendant 2 ans : une professeure française nous a appris pendant 3 ans. J’adore français, et qu’on fait des classes de français, je les adore !!!!! Je pense que les langues créent des rues pour la vie. Je suis un garçon complètement japonais. Je voudrais lire des livres de sciences et mathématiques en français. C’est ce que je voudrais faire quand je pourrai parler plus français.

Au revoir et merci !!!!

De Licht

P.S. Cet e-mail n’est pas un poisson d’avril !!!!!

 

「合格者の声」を更新しました

「合格者の声」を更新しました。


フランス語学習が導いてくれたもの
2020年秋季準2級合格 ケベック州政府在日事務所賞
阿部 玲子


攻めの姿勢で、敢えて目標を高くしたことが功を奏したのだと思います
2020年秋季1級合格 文部科学大臣賞
友重 山桃


偶然に身を任せ
2020年秋季準1級合格 日仏会館賞
橋爪 健


希望の道〜フランス語
2020年秋季5級合格 APEF賞
永森 理仁

偶然に身を任せ

2020年秋季準1級合格・日仏会館賞
橋爪 健
大学生・埼玉県

僕の言語との関係が深まったのは高校二年生の夏でした。(英語ですが)当時、学校主催のスピーチコンテストがあり、それに参加するか迷っていました。参加申し込み締め切り日の放課後、「やっぱり自分には合わないから参加しないでいいか」と思いながら廊下をぶらついていたら偶然ポジティブな友達に会い、その10分後には参加の申し込みを済ませていました。今振り返ってみると、心の中では参加したかったけど誰かに背中を押してもらうのを待っていたんだと思います。スピーチコンテスト以降は学校の授業を通り越した英語、ひいては言語全般に少しずつのめり込むようになりました。もしあの時友達に会っていなかったら人生は違ったものになっていたかもしれないと時々想像します。また、運が良かったとも思います。

フランス語に出会った経緯も偶然でした。大学に入る際に言語を1つ選ばなければなりませんでしたが、言語学を勉強したかった僕には特定の勉強したい言語がありませんでした。スペイン語は先生が厳しいと言われていたので避け、ロシアは寒いので避け、、、ととにかく面倒を避けていたら最後にドイツ語とフランス語が残りました。どうしてフランス語を選んだのかは正確には覚えていませんが、おそらくフランスの方がおしゃれなイメージがあったという大したことのない理由だったと思います。ただ今となっては、偶然フランスにおしゃれなイメージがあって、それを理由に選んだ自分に感謝しています。フランス語は、ずっと前から勉強していた英語と違って、言語化するのが難しいですが体にすっと染み込んでくる感覚があるのです。人にはそれぞれ向き不向きのある言語があり、偶然選んだフランス語は自分に向いている言語だったのでしょう。また、フランス語には包容力があります。バイト先でフランス語圏の方が来た時に、カタコトでもフランス語で話しかけてみればほとんどの人が喜んでくれたり(逆に全く関心を示さないマダムにも会いましたが)、大学で一緒に勉強している友達も生き急いでいる人が少なくてのびのび学べます。

そして2020年。僕は2020年の秋からフランスに留学する予定でしたが、留学する年と疫病の流行が偶然重なり、あっさり中止になりました。中止の連絡が来てからはオンライン授業ということもありとても腑抜けた日々を過ごしていましたが、このままではすぐに就活が始まってしまうと危機感を感じ、とりあえず自分のフランス語力を証明できる資格が欲しいと思い仏検の受験を決めました。一次試験は無事に通過したものの問題は二次試験。会話能力もそうですが何よりも問題が難しかったです。対策として聞き始めたフランスのニュースは仏検が終わった今でも日課です。大学の先生や語学塾の先生の協力のおかげでなんとか二次試験にも合格でき、なおかつ成績優秀者に選んでいただき、フランス語を始めてからのふわふわした3年弱が認められた気がしました。何も問題がなく留学に行けていたら仏検に出会うこともなかったかもしれないし、二次試験のように難しい問いについて議論するということもなかったでしょう。

今後は、周りの協力もあり再び留学のチャンスをもらえました。フランスに行っても、自分の意志や考えと共に僕をここまで運んでくれた偶然に身を任せながら生きていきます。





攻めの姿勢で、敢えて目標を高くしたことが功を奏したのだと思います

と言えばかっこいいですが、これは、自分に甘い崖っぷち人間がなりふり構わぬ形で受験した体験記です。

2020年秋季1級合格・文部科学大臣賞
友重 山桃
通訳翻訳業・東京都

コロナ禍は、多くの方々の仕事や日々の暮らしに大きな変化をもたらしました。通訳翻訳業界も、特に人の移動の停止と共に経済的・文化的交流が一気に引いた2020年3月以降は、大変厳しい状況が続きました。そんななか、自粛の流れに乗った私はNetflixやゲームや読書三昧の巣ごもりライフに耽っていたのでした。

我に返ったのは8月の終わり頃、ふと目覚めた明け方の空に秋の気配を感じたのが引き金となりました。「今出来ること・これからやりたいこと」を自己分析した結果、今のうちに仕事の量よりその内容・難易度を高めることに全力を注ぐべきだと判断しました(難易度、例えば商談通訳→二国間会議通訳)。しかし、私には「フランス語が出来る」というスキルしかありません。色々やることがあるなか、ひとつは出来ることをもっとアピールしようと考えました。これで方向は決まったものの、これまで楽な方へ流されてきたツケは大きく、追い込まれた感は否めませんでした。そんななか、第三者が私の仏語能力をなるべく端的に具体的にイメージ出来るもの、と考えた時に浮かんだのが「仏検」でした。

調べると、コロナ禍で2020年度秋季に限り「1級」と「準1級」を同時に受けられ、その申込み期限が迫っていることが判明しました。これはもう神の啓示。受けるならワンチャンス。逃げ道を与えてはいけない自分の性格が分かっていたので、敢えて「1級」1本に絞りました。しかし。ここまで来て、私の悪い癖がまた出てしまいました。仕事でフランス語を使っていることもあり、「受ければ受かるだろう」と高をくくり、受験勉強を怠けたのです。そして1次試験1週間を切り、仏検公式サイトの過去問を解こうとして当然挫折。時間の無い恐怖と己に対する怒りで呆然としました。

でもやるしかない。余裕はゼロでしたが、目標を「なんとか合格」にすると、私の性格上本当にそれだけの分しか頑張らないと分かっていたので、敢えて「高得点で合格」とその為のルールを決めました。

まず勉強ツールと内容を大まかに①仏検公式ガイドブック「セレクション1級」と「仏検対策準1級・1級問題集」の2冊をやりつくすことと、②ネットコンテンツ(各種サイト・記事・ブログ・ニュース動画)から時事テーマの収集に絞りました。

①:出来なかったところも出来たところも何度でもやり直し、敢えて日仏辞典は使わず電子版Larousse1本にしました。定義・言い回し・動詞の活用・類語や反対語もこれひとつで賄えます。

②:勉強する時事テーマは2つ3つに絞りました(政治、経済、社会など)。情報は「これは自分が後からアウトプットする」と意識しながら収集しました。多少意識するだけでも、入ってくる情報の量と質はだいぶ変わりました。日本語とフランス語のコンテンツを見て・聞いて・読んで、良かった!と思ったものはその場で(必ず日本語とフランス語で)簡単な表や図をつくる作業を繰り返し行いました。得た知識の言語化・見える化=アウトプット作業です。今度はコンテンツを数本に絞り、それぞれ日本語とフランス語の文章でまとめる作業を繰り返し、最終的にはひとつのテーマが日本語とフランス語のレポート各A41枚分にまとまるようにしました。知らない単語はどんどん拾い、覚える時間が無くとも無駄にならないと信じて単語帳は作りました。また、ネット上の記事や動画にコメント項目があればフランス語コメントに挑戦しました。コメントは、元の内容をちゃんと理解していないとフランス人に容赦なく「バーカ」と評価されます。逆に「確かにそうだ」と返信があると、これからも勉強頑張ろう、と励みになりました(相手に「いいね」を忘れずに)。主に集中力を維持するためでしたが、敢えて脱線してゴシップネタにも走りました。これらには、娯楽要素以上に試験対策に活かせる情報がいくらでもあり(特殊な表現など)、それがまた勉強のスパイスになりました。

アウトプットを通して、フランス語の知識が自分のものになっていく成果が目に見えるのでいっそう面白く、面白いと思うほど吸収する知識の量も増えました。この感覚は最後まで続き、実は当日試験の問題を解きながらも問題を「面白く」感じてました。うまく言えませんが、「成し遂げてやるぞ」というやる気エネルギーに変換されていく感覚でした。

その結果。やり遂げたという高揚感に溢れていた私は、合格通知を見て「思っていたより点数が伸びなかった」と拍子抜けしました。随分うぬぼれたものですが、そのような発想が出来るほどなりふり構わずやれたからこそ、此度の賞を頂けたのかもしれません。フランス語の出来を評価してくださった方々、一緒に喜んでくれた家族や友人達に、心から感謝しております。敢えて目標を高くせざるを得なかった自分を反省します。崖っぷちはお勧めしませんが、この体験が誰かのお役に立てれば幸いです。



フランス語学習が導いてくれたもの

2020年秋季準2級合格 ケベック州政府在日事務所賞
阿部玲子
学生(東京大学)・神奈川県

 私がフランス語を習い始めたのは、大学1年生の時にフランス語の第3外国語の授業を半年間履修したことがきっかけです。フランス語の発音の美しさに惹かれたからです。そのときは半年の授業が終わった後はフランス語から離れてしまいました。ですが、再びフランス語を学びたいという気持ちが再燃したのは、2年前に参加したニュージーランドでの短期留学でフランス人の学生と友達になったからです。その時は、大学1年生のときに学んだフランス語などほぼ忘れていたので、その学生とフランス語で話したいという気持ちがありましたが、私がフランス語で言えたのは簡単な挨拶や自己紹介程度でした。それでもその学生は、私がフランス語を学んでいたと知ると、とても喜んでくれ、私たちはすぐに意気投合し、フランスの文化などの話題で盛り上がりました。私と彼女は留学後も交流を続け、去年の夏にはブリュッセルに一緒に旅行に行きました。仏検準2級の面接対策を手伝ってくれたのも、彼女です。

 私がフランス語を学び続ける理由は、ただ単にフランス語の美しさに惹かれたからというだけではありません。もう一つ、私がフランス語に病みつきになっている理由は、フランス語を理解できると圧倒的に情報量が増え、世界が開けるからということです。私は、生きたフランス語に触れるために、Le Monde の記事を読むことがあります。もちろん、私は準2級のレベルなので記事を完全に理解できることはありませんが、概要はなんとなく掴むことができます。私はフランス語を学習する前は、外国語は英語しか習っていなかったので、時々触れる海外のメディアといえば、BBC、The New York Times 、ABC News など英語の媒体のみでした。ですが最近はこれらに加えLe Mondeを読むようになり、フランスで話題になっていることを知ったり、Le Mondeと英語の媒体で取り上げられている内容の違いを比較したりできるようになりました。

 仏検のホームページに、Le francais m’ouvre le monde. (フランス語はわたしに世界を開いてくれる)とありますが、まさしくその通りだと思います。フランス語は国連公用語の一つであり、フランスは世界でも影響力のある国です。なので、フランス語は自分が見る世界の解像度を大きく変えてくれるはずです。

 私にとってフランス語は、新たな出会いへと導き、知見を広げてくれるものです。これからも、より上位級を目指して頑張ろうと思います。




七歳の詩人がいた街角

中地 義和(公益財団法人日仏会館 副理事長)

  大学入学時に選択した必修第二外国語がフランス語だった。法学部に進むコースに籍を置きながら、法学や政治学には興味がもてなかった。そんな一年生にとって数少ない救いの一つが、初級文法を終えるとすぐに本格的な講読に入るフランス語だった。語学の最難関は初級文法だ。動詞活用ほか煩雑だが有限の決まりをしっかり押さえる必要がある。その山を越えて読み物に移るころには早々に報いが訪れる。おもしろいように視界が開ける。今日ではそんな言語習得法は古いと言われるかもしれないが、20歳近くになって始める語学は赤ん坊が日々言語を習得するようなプロセスを踏めない。理を詰めないと自分のなかに効率的に入ってこない。
 最初にぶつかった壁が、二年生の後期に読んだランボーの散文だった。辞書を頼りに意味をとろうとしても、文と文がつながらない。順接なのか逆接なのかわからない。戸惑わせながらも若気を挑発する、得体のしれないテクストだった。挑発はされたが、卒論で取り上げる勇気はなかった。論じられるほど読みほぐせていないと感じた。
 大学院に進んで、腰を据えて取り組む決心がついた。ある作家が「好き」の内実は一様ではない。一読してすべてが透明に見える作家もあれば、抵抗感は大きいが語調や言葉の裏に透かし見える何かに惹かれる場合もある。私にとってのランボーは明らかに後者だ。不可解さのなかに牽引するものがある。だからこそ関心が持続したとも言える。しかし相手は十代後半の五年間だけ詩を書き、あとは実業の世界に身を投じた人間だ。こちらは当初ランボーと同年齢だったのが、歳の差は開くばかりで、今や孫と祖父のような倒錯的構図になっている。ただ、「ランボーは若くないと読めないからしっかりやりなさい」と昔ある先生から頂戴した助言は、必ずしも当たらないとだけは言える。若いころには思い至らず、年齢とともにじわじわとわかってくることが確実にあるからだ。


 コロナ・ウィルス感染症の世界的蔓延が始まる直前の昨年1月末、アルチュール・ランボー(1854‐91)の生まれ故郷シャルルヴィルにごく短い滞在をした。ここをはじめて訪れたのは1980年秋、パリに留学してまもなくだった。次いで91年の没後100年記念の国際集会、2004年の生誕150年記念の国際集会の折りにも来たが、初回は右も左もわからず、続く二回はどこに移動するにも他の研究者たちと同行して、自由行動とはいかなかった。今回はささやかな評伝を書く計画があり、その準備のつもりで出かけた。気の向くままに歩き回って、少年詩人の生活空間を肌で感じたいと思っていた。
 シャルルヴィルはパリから直線距離で約200㎞、フランス東北部、ベルギーとの国境に近いアルデンヌ県にある。近隣の村落が集まって17世紀に創設された小さな町だ。ランボーの少年時代には1万人を少し超す程度の人口だったが、1966年に南隣の、こちらははるかに歴史の古いメジエール市と合併してシャルルヴィル=メジエール市となり、現在の人口は5万人弱、近代の主な産業は製鉄業である。1870年9月1日に皇帝ナポレオン三世が普仏戦争に敗北し、プロシア軍に降伏したことで知られるスダンの町から西に約20㎞の位置にある。16歳のランボーは幼時を振り返る詩のなかで、「子供は12月のどんより曇った日曜日を恐れた」と語る。それは、日がな一日、厳しい母親の監視下で聖書を読まされるからだが、季節の別なく曇天の下でくすんだ佇まいを見せている町の駅舎に降り立つと、旅行者も独特の暗鬱な空間に足を踏み入れる感覚にとらわれる(写真1)。


 ランボーの父親は当地に駐留中の陸軍大尉で、母親は30㎞ほど南に位置するロッシュ村に農地をもつ自作農家の跡取り娘だった。夫婦仲は悪く、任地を転々とする父親はランボーが6歳のころを最後に家庭に寄りつかなくなる。男女二人ずつ四人の子供のシングル・マザーとなったしっかり者の母親は、寡婦を名乗り、子供たちを厳しく育てる。当時、庶民の子供の就学率は著しく低かったが、二人の息子には初等、中等の教育を受けさせる。 アルチュールは一歳違いの兄フレデリックとは対照的に、幼いころから秀才で、シャルルヴィル高等中学に入学すると、学区のラテン語作文コンクールで何度も優秀賞を獲得し、学校の誉れとなる。しかしその頭脳には、烈しい反骨精神と途轍もない想像力が宿っていた。   
 母親は、夫と事実上の離縁の状態になって以後、何度も転居している。今回の私の目的は、それらの住居を突き止め、現存しない当時の高等中学校と市立図書館の跡を見定め、これらの場所相互の位置関係を確認したうえで、高等中学時代の友人ドラエーの一家が住んでいたメジエールにも足を運ぶことだった。ランボーが生まれたのは、町の中心をなすデュカール広場(写真2)から、町の創設者シャルル・ド・ゴンザーグ公爵像の立つ泉に向かって200mほど南に下った右手、ナポレオン通り12番地の二階のアパルトマンである。その窓の上部には、「ジャン=ニコラ=アルチュール・ランボー/詩人にして探検家/1854年10月20日この家に生まれる」というプレート(写真3)が掛かっている。小さな町のメイン・ストリートであるこの通りはその後ティエール通りと改称され、今日ではミッテラン政権時代に首相や蔵相を務めた政治家の名を冠したピエール・ベレゴヴォワ通りになっている。


 夫婦が離縁状態になった直後の1860年末には、おそらく倹約の必要からだろう、母親は町外れの貧しい労働者の住むブルボン通りに転居している。その二年後、今度はなぜか、ブルジョワ地区であるシャルルヴィルとメジエールを結ぶ広大なクール・ドルレアン通り(現クール・アリスティド・ブリアン通り)に移っている。そして69年には、ランボー一家の住まいとして最も有名なムーズ川沿いのマドレーヌ河岸5番地(今日のアルチュール・ランボー河岸7番地)の二階を占めるアパルトマンに引っ越す(写真4)。一家は、アルチュールがパリやロンドンを放浪していた時期を含めて75年までそこで暮らす。この期間はランボーが詩を書いていた時期をすっぽり覆う。この住まいは数年前から « Maison des Ailleurs » という名の記念館として公開されている。放浪者ランボーにふさわしく、「いくつもの〈他所〉を収めた家」というほどの意味だろうか。「想像のなかにのみ存在する現実ならざる場所」でもあるだろう。アルチュールが使っていたとされる中庭に面した25㎡ほどの部屋に入ると、何とも言えぬ感慨が湧いた(写真5)。

 
 
 子供時代のランボーの生活圏は、一家が暮らした複数の住まい、中学校や市立図書館を含めて、デュカール広場を中心にほぼ半径500mほどの範囲だった。やがてランボーは家出を繰り返し、ベルギー一帯を歩き回り、晩冬の寒気のなかをパリから数日かけて徒歩でシャルルヴィルまで戻る。ドイツや北欧にも行き、オランダ傭兵としてジャワ島まで行くが、たちまち脱走する。キプロスの石切り場で現場監督を務めたあと、紅海沿岸のイエメンとアビシニア(エチオピア)を往来しながら交易に従事するようになる。その「風の足裏をもつ男」の行動範囲を思えば、じつにつつましい小空間である。
 ランボーは生涯、故郷に対して、母親に対するのと同様に、疎ましさと愛着の両面感情をもちつづけた。母親に宛てて頻繁に出されるアフリカ書簡は、遠心力に駆り立てられる彼を「古い胸壁の並び立つヨーロッパ」(「陶酔の船」)につなぎ留める唯一の紐帯だった。今回の訪問で何より確かめたかったのは、二つ目の住まい、彼が6歳から8歳までの時期を過ごした場末街の雰囲気だった。というのも16歳のランボーが7歳の自分をモデルに書いた驚くべき自伝詩「七歳の詩人たち」には、詩人の天職の萌芽が具体的な生活感覚と遊離することなく素描されているからだ。この詩は、威圧的な母親の前で模範的な息子を演じながらじっと耐えている7歳の「苦い偽善」を冷徹に再現する。幼児に特有の無意識なチックや、屋根裏部屋に閉じこもって夢想にふけり架空の物語を次々と編み出す空想の遊戯に加えて、近所の労働者一家のお転婆娘との取っ組み合いのなかで味わう幼いエロスや、「鹿毛色の夕暮れ時に見る仕事着姿の/黒い影、場末街の労働者」への共感など、のちのランボーの萌芽が出そろっている。
 しかし150年も前の話だ。通りの名はそのままでも、街並みはすっかり変わっているに違いない、期待とあきらめが半々だった。ところが、街のメイン・ストリートとの交差点を起点とする現実のブルボン通りは、300mほど西に進んでランボー一家の住まいのあった73番地あたりまで来ると、一挙に場末のわびしさを漂わせはじめる。商店はまばらになり、番地すら記されない古い建物が増え、荒廃の印象が強くなる(写真6, 7)。さらに100mも進めば、街道の向こうは新興住宅が立ち並ぶ郊外だ。今も73番地界隈は、中心街と郊外にはさまれた下町だ。73番地の二階建て家屋の内部を観ることはおろか、それがランボーの時代の建物か後年建てられたものかを確かめるすべさえなかったが、満足だった。街角から不意に七歳の詩人が飛び出してきそうな気さえした。


 二日だけの慌ただしい滞在の最後に、ランボーがよく出入りした駅前の「カフェ・ド・リュニヴェール」で昼食をとってから、午後一時半のTGVに乗るつもりだった。正午のカフェは閑散として、テーブルに着いたとたんに若い娘が近づいてきた。注文を訊くかと思うと、「本日は満席です」という。「団体の昼食会でもあるの?」と問うとそうだという。釈然としないまま、荷物を抱え、駅のスタンドで堅いサンドイッチをかじった。電車がパリに近づくころにようやく思い至った。武漢から来た中国人がフランスで死亡したというニュースを、パリを発つ直前に読んでいた。きっと中国人に間違われたのだ、あるいは危険なアジア人ということで追い払われたのだ。それが私にとってコロナ騒動の始まりだった。



2020年度 文部科学大臣賞団体賞 受賞のことば

文部科学大臣賞団体賞は2013年度に創設され、その年度における出願者数とその増加率および試験結果等を勘案し、年度を通じたフランス語教育への取り組みを総合的に判断した上で、特に優秀と認められた団体に授与されます。2020年度は、順天堂大学国際教養学部、茨城キリスト教大学フランス語研究室、アサンプション国際中学校高等学校が選出され、APEF役員が各校にお伺いして表彰の場をもちました。表彰団体の先生方からお寄せいただいた受賞のことばをご紹介します。


順天堂大学国際教養学部フランス語科目担当 Chloé Viatte 逸見先生

 

 このような栄誉ある賞を頂き、順天堂大学国際教養学部のフランス語担当者一同、大変嬉しく感じております。2015年に新設された本学部では、「仁」の精神を基本として、「豊かな教養」「卓越した外国語の運用能力」そして世界を舞台に活躍できる真の国際人たる「グローバル市民」の育成を教育目標に据えています。
 言語力の総合評価をはじめ、キャリア形成に資する能力の可視化に至るまでメリットを誇る仏検は、大学入学後初めてフランス語に触れる初級や中級の学生の学習意欲を刺激するとともに、励みにもなっており、日本におけるフランス語教育の礎として、とても重要な役割を果たしています。
 フランス語を通じて異文化理解を深め、知的好奇心を刺激することは大切だと考えております。これからも、受賞を励みにそのための教育環境づくりに取り組んでいきたいと思います。最後に、このような厳しい状況下で試験を準備してくださっているAPEFの皆様に、心より感謝申し上げます。
写真:ニヨンサバ フランソワ先生・西澤文昭APEF理事長・クロエ ヴィアート 逸見先生・加藤洋一学部長・フランス語の先生方と学生の皆さん


茨城キリスト教大学文学部教授 和泉涼一先生

このたび、文部科学大臣賞団体賞を、また本学学生が個人賞を賜りましたこと、まことに光栄の至りで心より感謝申し上げます。本学の場合、学生は第2外国語としてフランス語を学びます。それとともに授業科目としてフランスへの文化研修旅行や短期語学留学の制度を設けており、それらの科目と連携させることで学生の関心を持続させるようつとめております。ただ、あれこれ工夫を試みても現実にはさまざまな困難があるものです。そういう困難のなか、学生の興味をよびおこし持続させるうえで、仏検はきわめて有効な役割を果たしています。本学にはかなり以前より「フランス語の部屋」というサークルが活動していますが、創設したのは仏検の勉強会に参加する学生たちでした。誘い合って美術展を見学したり、映画鑑賞会や読書会を催したり、あるいはフランス旅行に出かけたりするなど、まことに仏検は「実用技能」を突き抜けて大学生活そのものを充実させる大切な機会となっているのです。仏検が世界へつながる扉であることを実感しております。ありがとうございました。
写真:上野尚美学長・和泉涼一先生・西澤文昭APEF理事長・二瓶恵先生と学生の皆さん


アサンプション国際中学校高等学校 菅沼浩子先生

 このたびは、栄えある文部科学大臣団体賞に選出いただき心より感謝申し上げます。本校は本部をパリにおく聖母被昇天修道会によって創立され、フランス語は第二外国語として1960年の開校当時から高校では必修でおこなっております。3年間、フランス語圏の国々やその文化にも触れながら様々な角度からフランス語を学ぶことで、生徒たちは仏検のスローガン通りフランス語が自分に世界を開いてくれると感じています。そして、高校生としては珍しい仏検を取得することは自信と誇りとなります。団体賞は、一生懸命頑張っている全ての生徒1人1人の努力が認められた証であり、何よりも嬉しい賞です。この賞が、今後の生徒たち、さらに後輩たちのフランス語教育への大きな励みになることは間違いありません。
写真:岡本弘之副校長・北村卓APEF副理事長・菅沼浩子先生・Maria Josefina Matias 学院長・丹澤直己校長と生徒の皆さん

「仏検だより」を更新しました

「仏検だより」を更新しました。

2020年度の式典は、昨年度に続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりあえなく開催を見送ることとなりました。しかしながら、文部科学省、フランス大使館、そしてフランス語とフランス語圏にかかわる主要な諸機関* からのご協賛をいただき、受賞者53名(個人、団体含む)に賞品をお贈りすることができました。今年度の受賞者は、最年少9歳から最高齢59歳までのフランス語を学ぶさまざまな経歴の方々でした。喜びを分かち合う式典の再開を願いつつ、関係各位にこの場を借りて御礼申し上げます。

*ご協賛:文部科学省/在日フランス大使館/ケベック州政府在日事務所/在日スイス大使館/在日ベルギー大使館/在日フランス商工会議所/日仏会館

2020年度 文部科学大臣賞団体賞 受賞のことば
順天堂大学国際教養学部
茨城キリスト教大学フランス語研究室
アサンプション国際中学校高等学校

七歳の詩人がいた街角
中地 義和(公益財団法人日仏会館 副理事長)