特派員の私の仕事
古山 彰子(NHKヨーロッパ総局)
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特派員の私の仕事
古山 彰子(NHKヨーロッパ総局)
私は今、パリにあるNHKヨーロッパ総局で特派員をしています。記者になって9年目。2011年に記者職でNHKに入局し、広島で5年間、警察や司法、行政、原爆の取材などをし、その後2年間は渋谷の報道局国際部でヨーロッパを担当し、2018年夏から特派員になりました。フランス語との出会いは高校1年生の春。静岡県の私立高校で、毎週土曜日に希望者のみが中国語、スペイン語、フランス語を学べる授業がありました。英語が好きだった私は、2つめの外国語も学んでみたい、スペイン語が楽しそうかななどと考えていたら、英語の補修の授業と重なってしまい受講できません。中国語は、漢字が苦手だし・・・(笑)、などと消去法をし、最後に残ったのがフランス語でした。フランスがどこにあってどんな国なのかを想像することもなく、何の憧れも抱くことなく学び始めましたが、すぐにその美しい響きに魅了され、フランス語を自分の言葉にしたいと強く思うようになりました。
仏検を受けたのは高校1年生の冬が初めてで、5級に合格した時はすごく嬉しかったのを今でも鮮明に覚えています。その後、大学では文学部英文学科に進学したものの、どうしても諦めきれず、4年生から1年間、大学の交換留学制度でパリ政治学院で学びました。特派員になってからは、ニュースで使われる単語や表現が分からず苦戦し、例え分かっても、さあどうやって日本語に訳そうか、意義づけしようかと、日々試行錯誤しています。この1年間、私が向き合ってきたフランスの国政について、振り返ります。
マクロン政権を窮地に!?半年あまり続いた黄色いベスト運動
この1年間、日本のメディアで最も報じられたフランスのニュースは、間違いなく「黄色いベスト運動」だったと思います。きっかけは、マクロン政権が打ち出した2019年1月からの燃料税の引き上げ。2018年11月17日に行われた初回のデモには、全国で24万人あまりが参加しました。年の瀬が近づき寒さもいっそう厳しくなる中、デモはその後も毎週土曜日に呼びかけられます。私も毎週のように早朝のシャンゼリゼ通りに取材に出かけ、デモの様子を撮影したり参加者にインタビューしたりして、夜の「ニュース7」や朝の「おはよう日本」に向けて原稿を書きました。
たくさんの人にインタビューしましたが、私が出会った人たちは全員、地方からパリまでデモをしに来ている人たちでした。中には、金曜日に仕事が終わったあと、夜通し運転してパリまで来て、早朝からデモに参加しているという人も。マクロン大統領は、燃料税を引き上げることで、なるべく車を使わない社会を実現し、電気自動車などにシフトすることで地球温暖化対策を強化したいという考えでした。しかし、地方で暮らす多くの人たちにとって車は必要不可欠で、電気自動車に買い替える金銭的余裕もなく、大統領が掲げる温暖化という崇高な理想にはついていけないというのが現実なのです。

「エリートで、地方の人たちの気持ちが分からない」とたびたび批判されるマクロン大統領は、時折「私も地方出身だ」などと発言し、こうした批判をかわそうとしています。しかし、車、そして燃料税という地方の人たちの生命線とも言える部分にメスを入れようとした姿勢は猛反発を買い、結局12月には燃料税の引き上げの 見合わせを発表。しかし、年が明けてもデモは収まりません。そこでマクロン大統領は、地方の人たちの声に耳を傾けようと、1月から地方都市に出向いて自治体の代表などと対話する国民対話(débat national)を始めます。私は初回の北西部ウール県、パリ近郊、コートダルモール県での集会を取材しました。 「国民対話」と聞いた時、きっと日本でも多くの政治家がするように、地方を訪れ、数分間地元の代表と面会し、「対話した」ことにするのだと考えていました。しかしふたを開けてみると、初回は600人近くの自治体のトップと7時間近くにわたって対話。その後、別の集会もテレビの中継を見ていると、1回の集会は6時間〜7時間は当たり前に続き、集会が終わったのがちょうど深夜0時という時もありました。
集会中、休憩時間はありません。どれだけ長時間であっても、マクロン大統領は市民と肩を並べて座り、1人1人の発言をメモを取りながら聞き、質問者の目を見て回答します。発言がヒートアップして、真冬にもかかわらず途中上着を脱いでシャツを腕まくりする姿も何度も見られました。こうした姿を、「マクロンが得意なパフォーマンスだ」という日仏関係者もいます。ただ、日本で生まれ育った私は、国のトップが地方自治体を訪れ、市民と何時間も対話する、市民がぶつけてくる医療福祉や公共サービス、中には携帯電話の電波が悪いなどという政府とは関係のない問題にまで1つ1つ耳を傾ける、という姿はこれまで一度も見たことがありません。自分が選んだ、もしくは選ばなかった けれど多数決で選ばれた国民の代表に直接意見をぶつけたい人たち、それを受けて立つマクロン大統領。集会の中で、どれだけ不満をぶつけた参加者であっても、終了後にインタビューすると「意見の違いはあるけれど、これだけ聞いてもらえてよかった」と笑顔で話し、民主主義とはこういうことなのではないかと感じた瞬間でした。
4月上旬にすべての地域を回り終えたマクロン大統領は、4月25日、大統領府で異例の記者会見を開き、「私の政策は、市民に十分に寄り添ってこなかった」と述べ、所得税の減税や2000ユーロ未満の年金受給者については2020年1月から物価上昇率に応じて支給額を増やすなどの新たな対策を打ち出します。一方で、高額所得者への富裕税の廃止といった2017年の就任当初からの政策の方針には大幅な修正は加えない考えを示しました。この発表を、マクロン大統領が譲歩したと伝えるメディアもあれば、何も変わらなかったと伝えるメディアもあり、評価は分かれています。それでも、一時20%台前半まで落ち込んだマクロン大統領の支持率は、7月には30%台半ばまで回復。「黄色いベスト運動」の規模も大幅に縮小しました。「パリが燃えている」と、一時は毎週騒がれたデモを、マクロン大統領は抑えるのに成功したといえると思います。
3年後の大統領選挙の前哨戦となった欧州議会選挙
今年5月に行われたEU=ヨーロッパ連合の議会選挙。普段は日本ではまったく注目されることのない選挙ですが、今年はひと味違いました。イタリアやハンガリーなど、ヨーロッパ各国でEUに懐疑的な政党が支持を伸ばす中、ヨーロッパ議会でもこうした勢力が議席を増やせばEUの重要な政策の審議に影響を及ぼしかねないという見方が広がったからです。フランスでも、マクロン大統領の中道政党「共和国前進」とルペン党首率いる極右政党「国民連合」の支持率は当初からきっ抗していました。4月、「共和国前進」のパリのメンバーがカフェに集まって選挙活動について話し合うと聞き、私も参加してみました。集まったのは老若男女10人ほど。選挙対策会議と言っても、カフェで、赤ワイン片手にチーズやハムをつまみながら話すという、一見かなり楽しそうな会です。しかし、皆口をそろえて示すのは、極右政党の躍進に対する危機感。「国民連合」は、今回の選挙で23歳のバルデラ候補を筆頭候補に指名して「反マクロン」を鮮明に打ち出し、若さと勢いで「共和国前進」の筆頭候補・ロワゾー氏は押され気味だとメディアも繰り返し伝えていました。
会議に参加していた1人が、ピエール・ロメさん(37)。パリの経営コンサルタント会社で働いています。学校では、EUこそがヨーロッパを一体的に発展させる理想の集合体だと学び、通貨統合や単一市場は生活に欠かせないものだと信じてきました。平日の仕事が終わったあとや、休日は、仲間とともにビラ配りをします。2017年の大統領選挙の決選投票で、マクロン大統領がルペン氏に圧勝したパリ。しかし、路上でロメさんに不満をぶつけてくる人も少なくありませんでした。マクロン大統領が就任直後に導入した、高額所得者への減税措置などは、いまだに「金持ちを優遇している」などと、強い反発があるのです。「黄色いベスト運動」を受けて、今年4月に所得税の減税などを打ち出したものの、就任後の2年間でマクロン大統領への風当たりが厳しくなっていることが伺えました。
今回のヨーロッパ議会選挙は、フランスでは結果的に、2022年の大統領選挙の前哨戦となったという見方もあります。なぜでしょうか。第1党となったのは「国民連合」(23.33%)、第2党は「共和国前進」(22.42%)、第3党は「ヨーロッパエコロジー・緑の党」(13.48%)、そして第4党が「共和党」など(8.48%)。つまり、与党「共和国前進」が、2年前の大統領選挙の決選投票で打倒したはずの「国民連合」に第1党を譲っています。選挙戦が始まった早い時期から、「共和国前進が負けるのではないか」という世論調査は多くあり、私自身も結果に驚きませんでした。しかし、開票日に「共和国前進」の集会場で取材していてどうしても腑に落ちなかったのが、候補者と支援者の反応でした。「『国民連合』に負けた」と分かった時点で、記者の私は「残念です」とか「悔しいです」といった反応がほしくなります。しかし実際に話を聞くと、「私たちは2016年にできたばかりの政党で、3年という短い期間で、ヨーロッパ議会選挙でもフランスで第2党になれて光栄です」など、好意的な声しか聞こえてこないのです。その反応は、筆頭候補のロワゾー氏の表情からも読み取れました。
公共放送France2の開票速報が大画面に映された会場で結果予測が流れる瞬間、私はロワゾー氏の目の前で取材していました。まず、「国民連合」が第1党だという情報が流れた時、ほかの支援者と同様、落胆した様子を見せました。しかしその後、他の政党も含めた結果予測を目で追い、一瞬、ニコリと笑顔を見せたのです。翌日以降、専門家や日仏の政府関係者に取材をしていく中で、ようやくその意味が分かってきました。今回の選挙では一時、2017年の大統領選挙で大敗した「共和党」が再び支持を集めるのではないかという見方が広がったものの、ふたを開けてみれば10%にも満たず惨敗。つまり、現段階では、「国民連合」と「共和国前進」が他の政党を大きく引き離して絶大な支持を得ており、「共和党」が大幅な立て直しをはからない限り、 2022年の大統領選挙も「国民連合」と「共和国前進」が決選投票に残る見通しがきわめて大きい、そして、2017年に「国民連合」(33.9%)にほぼダブルスコアで勝利した「共和国前進」(66.1%)は、よほどの地殻変動が起きない限り、「国民連合」に逆転を許す事態にはならないだろうということなのです。なるほどと思いました。とは言っても、2017年の大統領選挙では、前の年に発足した「共和国前進」が一気に支持を伸ばし、マクロン大統領が誕生したのがフランスです。何が起きるか予測不可能なことも多く、そこがフランスの国政の面白さだと思います。
終わりに
パリに来て1年あまりが経ち、特派員としての自分の役割は何だろう?とふと考えることがあります。今の私は、原稿を書き、特派員の同僚や東京の上司と日本語でやりとりする以外は、フランスのメディアを読み、現地のスタッフとやりとりし、取材に出かけ、私生活ではパリで暮らし、スーパーで食料を買い、時には現地の友人たちとフランス社会について語り合うというフランスにどっぷりつかった生活をしています。ここで暮らしている人たちが日々何を感じているのか、どうすれば日本から遠く離れたフランスを身近に感じてもらえるか、フランスの人たちからそのヒントをもらいながら仕事をしています。きっと私自身、16歳でフランス語に出会わなければ、こんなにフランスを身近に感じることも特派員を目指すこともありませんでした。そして、フランス人以外の、フランス語を外国語として話す人たちと友人同士になれることもなかったと思います。私の書いたニュース原稿やリポート、関わった番組を見て、「フランスを身近に感じた、もっと知りたくなった」と思う人が少しでも増えれば、特派員としてこれ以上嬉しいことはありません。これからも現地の人々の思いに寄り添い、取材には妥協せず、仕事を続けていきたいと思います。私に世界を開いてくれたフランス語を使って。

仏検インターネット申込 お取り扱いの一時停止について
仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、
以下の期間中、各種お取り扱いを一時停止いたします。
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仏検インターネット申込 お取り扱い一時停止期間
対象 : インターネット申込システムでのID取得・出願情報入力、
マイページでの各種操作
停止期間 : 2019年10月7日(月)AM 1:00 ~ 7:00
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。
2019年度秋季試験 受験案内を更新しました
2019年度秋季試験 受験案内を更新しました。
・年間実施日程・受付期間
・受験票・結果通知発送予定
・受験地と受験級
・検定料
・試験時間
・パリ会場受験
郵送申込用の願書・受験要項の無料送付をご希望の方は請求フォームに必要事項をご記入ください。
なお、仏検では、前回・前々回(2019年度春季・2018年度秋季)に出願された方を対象として、予めお名前等を印字した願書・受験要項をクロネコDM便でお送りしております(8月26日発送)。
「合格者の声」を更新しました
ファッションと映画と仏検と
2018年度秋季 2級合格
土谷 脩一(会社員・東京都)
ファッションと映画と仏検と
2018年春季準2級合格・全国検定振興機構理事長賞
2018年秋季2級合格
土谷 脩一
会社員・東京都
私にはフランス語を学ぶきっかけとなった2つの大きな出来事があります。
1つは1998年フランスW杯決勝直前に、スタッド・ドゥ・フランスで行われたイヴ・サンローランのショー(*)です。ボレロのリズムに乗せて300人ものモデルが艶やかに歩く姿は、当時10歳のサッカー少年だった私に鮮明な印象を残しました。
2つめは、大学の授業で観た『シェルブールの雨傘』です。ミシェル・ルグランとジャック・ドゥミが次から次へと繰り出すメロディと色彩に心を奪われ、私はフランス語学習を始めました。そして気付いた時には専攻科目を放り出し、南仏の大学へ留学していました。現地でDVDを買い漁り、毎晩音声と字幕を照らし合わせながら学習したことを今でも覚えています。帰国後は仏映画に携わる仕事を希望していましたが、縁あって現在は仏アパレルブランドの広報をしています。初めてフランスを意識したあのファッションの世界が今の職業につながっています。
私は仕事でフランス語を使用する機会に恵まれています。しかし働き始めると様々な業務に追われ、フランス語に費やす時間は徐々に減っていきました。学生時代に培った語学力は貯金を切り崩すように乏しくなり、次第に自己表現する事を苦手に感じるようになっていきました。この状況に危機感を抱いた私は、約10年ぶりに仏検を受験しました。
正直、留学前に準2級を不合格になった経験から、仏検に対する苦手意識と“仏検なんて受験しなくても”という気持ちがありました。ところが仏検対策をはじめると語彙や表現方法の幅が広がり、ビジネスでのコミュニケーションも円滑になっていきました。仏検が仕事に好循環をもたらし、今では自信をもって仕事に取り組めるようになりました。
さらにある時、担当ブランドのショーにカトリーヌ・ドヌーヴが招待客として現れました。『シェルブールの雨傘』の主人公ジュヌヴィエーヴに、フランス語で挨拶を交わした時はとても幸せな瞬間でした。語学の勉強は困難ですが、継続していけばきっと良いことがあります。
私はファッションと映画を通じてフランス語に出会いました。もちろん言語を学ばなくても洋服や作品を楽しめます。しかし言葉を学ぶことにより、デザイナーや映画監督の考えを直接理解できるようになります。また芸術の世界ではフランス語の専門用語が多く、フランス語が出来ることは大きなメリットです。フランス語は私に豊かな知識を与え、仕事の幅を拡げてくれました。
もし仏検を受けるか迷っている人がいたら、是非勇気を出して受験して欲しいと思っています。私は合格を目指していく過程でフランス語との距離が縮まり、より生活に身近なものへ変化していきました。仏検はフランス語と私を、再び結びつけてくれた3つめの大きな出来事です。これからも大好きなファッションと映画に関わりながら、準1級と1級にチャレンジしていきたいと思っています。
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(*) 参考:サンローランのショーを伝えるニュース(1998年7月12日)
フランス国立視聴覚研究所アーカイヴより
2次試験当日の緊急連絡先について
7月21日の仏検2次試験当日の緊急連絡先を下記のとおり開設いたします。
【2次試験当日のお問い合わせ】仏検受付センターTEL:03-5778-4073 |
2019年度 夏季休業期間についてのお知らせ
公益財団法人フランス語教育振興協会は、8月13日(火)より8月16日(金)までを夏季休業期間とさせていただきます。休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせは8月19日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
仏検1次試験大阪会場に係わる代替措置について
2019年度春季仏検1次試験で一部中止となった大阪会場の1次試験に関し、以下の措置を決定いたしましたのでお知らせいたします。
- 中止となった1級、2級、3級の試験に出願された皆さま、ならびに同会場で実施された準2級、4級、5級の試験を欠席された方々に2019年度秋季試験または2020年度春季試験への振替受験をご案内いたします。詳細につきましては、該当する全ての方に7月9日付でご案内を郵送しております。万一未着の場合は仏検事務局までご連絡ください。
- 大学の推薦入試や留学等の要件として仏検に出願されながら、今回の事件により受験がかなわなかったことについて公的な証明を必要とされる方々には、「中止証明書」の発行を承ります。ご希望の方は仏検事務局までご連絡ください。
一部の方からご要望をお寄せいただいた今季中の再試験につきましては、試験準備に要する物質的・時間的困難により、実施を断念せざるをえませんでした。ご希望に沿うことができないのは誠に心苦しい限りですが、上記の措置につきまして皆さまのご寛恕ならびにご理解を賜りますよう伏してお願い申しあげます。
仏検実行委員会
プロフェショナルコース 秋学期受講者募集のお知らせ
2019年度春季仏検1次試験 大阪会場について
さる6月16日、大阪会場である関西大学千里山キャンパスにて実施を予定しておりました春季1次試験は、同日早朝に千里山駅前交番で発生した事件を受け、午後の1級、2級、3級の試験を中止といたしました。午前開催の準2級、5級、4級の試験につきましては、予定どおり実施いたしました。
仏検は公的な性格の試験であり、実施には社会的な使命がともないます。午前の試験にあたっては、多数の受験者の皆さまが早朝から会場に到着されておりましたので、現地の当協会試験実施責任者が、会場および周辺の状況、試験の中止にともなう混乱の可能性等、様々な条件を考慮した上で試験の実施を判断いたしました。実施に際しては、受験者の方々の誘導や出入口における不審者のチェックなど、安全の確保に最大限努めたことは申しあげるまでもありません。その後、事件のすみやかな解決が見込めない状況下で、午後の試験は中止との判断に至りました。受験に向けて準備を重ねて来られた学習者の方々のご心中は察するに余りあり、多くの方々が受験の機会を奪われた今回の事態は、当協会にとって痛恨の極みと申しあげるほかはありません。
前代未聞の不測の事態であったとはいえ、午前実施・午後中止の決定につきまして、受験者の皆さまが必要とされる情報をすみやかに提供することができず、来場を断念された方々、ならびに混乱のなかで会場へと足を運ばれた皆さまには、多大のご心配とご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申しあげます。また、関西大学の関係各位には、現地での対応と来場された方々の安全の確保のために多大のご協力をたまわりました。あつく御礼を申しあげますとともに、ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申しあげます。
今回の反省を心に刻み、当協会では、緊急時における危機管理体制の整備を急務と捉え、今後の試験運営の改善をはかってまいります。日本のフランス語学習者を対象とした国内唯一の検定試験として、仏検が皆さまの信頼にこたえられるよう、協会一丸となって努めてまいる所存です。
なお、中止となった1級、2級、3級に出願された皆さま、ならびに準2級、4級、5級の試験を欠席された方々への代替措置の詳細につきましては、現在も検討を続けております。最終的なご案内まで今しばらくの猶予をたまわりますようお願い申しあげます。
公益財団法人フランス語教育振興協会
仏検1次試験大阪会場の実施について(6月18日更新)
(6月16日11時45分公開)
関西大学千里山キャンパス近辺で発生した事件を受け、第1学舎で本日午後実施予定の仏検1級、2級、3級の試験は、安全上の理由により中止いたします。なお受験できなかった場合の再受験等の代替措置は協議の上後日ご案内いたします。
仏検実行委員会
(6月16日19時30分追記)
関西大学千里山キャンパス近辺での事件の影響で、同会場にて実施を予定しておりました春季仏検1級・2級・3級の試験を受験できなかった方々へは、2019年度秋季試験、2020年度春季試験への振替受験をご案内さしあげたく、検討を進めております。
詳細につきましては、2019年度春季1次試験結果公表日(7月10日)までにお知らせいたします。
なにとぞご理解を賜りますようお願い申しあげます。
(6月18日19時00分追記)
お問い合わせをいただいております準2級・4級・5級に欠席された方への代替措置につきましては、中止となった午後の級と同様のご対応を検討しております。
仏検実行委員会
「合格者の声」を更新しました
サンティアゴ巡礼とフランス語
2018年度春季 4級合格
坂原 三郎(無職・千葉県)
芸術の国フランスへの旅立ち
2018年度春季 4級・5級併願合格
K. K. (画家・京都府)
サンティアゴ巡礼とフランス語
2018年春季4級合格・在日フランス大使館賞
坂原 三郎
無職・千葉県
私がフランス語を学習するきっかけとなったのはサンティアゴ巡礼であった。サンティアゴ巡礼とはキリスト教の三大聖地であるスペイン北西部の都市サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela、仏語ではSaint-Jacques-de-Compostelle、以下SCという)の大聖堂に眠る聖ヤコブの墓を詣でること。この巡礼路はヨーロッパ中を網の目のようにつなぎ約1200年の歴史がある。スペインとフランスの“道”は世界遺産に登録されている。
この巡礼路を歩きたいとずっと思い続けてきた私は60歳で定年退職になった2010年秋、サンティアゴ巡礼に旅立った。初めての海外長期一人旅は不安だらけ。まずは言葉の壁、日常会話程度は話せるようにと2009年からスペイン語学校に通い学習を開始した。
数ある巡礼路から選んだ“道”は最もポピュラーな「フランス人の道」。スペインとフランスの国境バスク地方のフランス側にある小さな町サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(Saint-Jean-Pied-de-Port、以下SJPPという)からSCまで850 km、34日間の旅。重さ約10 kgのリュックを背負い、1日平均25 km歩くため、足のマメ、肩の痛みは毎日続いた。しかし世界中からやってくる多くの人々との楽しい交流は心と体の疲れを忘れさせてくれた。
こんな冒険は一生で一度きりと思っていたが、これが病みつきになり毎年のように巡礼路を歩くようになった。まずスペイン国内の幹線ルート4本を5年で歩いた。スペイン語も徐々に会話の幅が広がり、年々旅を楽しめるようになった。このころはフランス語がまったくわからず、フランス人との会話はしたくてもできず、その結果友人はスペイン語圏、英語圏の人に偏っていた。
その後、巡礼の旅への興味が深まり、次はフランス国内の“道”を歩くことを計画。そのためにフランス語学校に通い2016年1月から学習を開始した。フランス語は « pie », « tranquilo », « comenzar » などスペイン語と似ているところもあるが、発音がとても難しかった。
フランス国内の幹線ルートは4本。主な出発地はル・ピュイ、アルル、ヴェズレー、パリで、いずれもSJPP付近で「フランス人の道」に合流され、距離は約900 kmある。フランス語は全くの付け焼刃だったが、2016年7月ル・ピュイからフランス国内の“道”に最初の一歩を踏み出した。SJPPまで900 km、40日間をかけて歩き通した。その後2017年はアルルからプエンテ・ラ・レイナまで、2018年にはヴェズレーからSJPPまでを歩いた。
フランス国内の“道”を歩く巡礼者の8割はフランス人で、当然フランス語が飛び交う。最初の年は私のフランス語はとても通じるものでなく、結局はスペイン語ないしは英語で対応していただき何とかコミュニケーションをとることができた。その後フランス語の勉強に力を入れる。仏検は学校の友人に刺激を受けたのと自分の力を確認するために2018年に受験した。
フランス南西部は田園地帯で自然が豊かだ。宿の多くは個人の家(ジット)で5~10人程度の宿泊者を受け入れている。夕食はこの家の家庭料理をゆっくりと2時間かけて共にする楽しいものだ。食事の時の « Bon appétit » の掛け声は今もよみがえる。年毎にフランス語にも慣れ、今ではフランス人の友人ができメールの交換ができるようになった。
今年2019年夏にはパリ(ノートル・ダム大聖堂)からSJPPまで歩く計画だ。サンティアゴ巡礼は世界中の人との交流を通して多くの出会いと発見があり、これからも続けていきたいと思う。そしてフランス語、スペイン語の学習はまだまだ続く。
芸術の国フランスへの旅立ち
2018年春季4級・5級併願合格
K.K.
画家・京都府
きっかけは2018年の春頃、フランスへ旅行したいと思いたったことでした。私は絵を学んでおりますが、日本の美術館ですと、海外の限られた名品がまとめてみられる機会が少ないのを感じており、フランスで美術をみることが必要と考えるようになりました。
フランスへ行くならまずはフランス語を多少は話せるようになりたいと思いました。
フランス語教室へ通い始めたのが4月からでした。フランス語は知らないことだらけで、戸惑いながら、発音の美しさや、フランス語を勉強することで相手の国の文化をも知ること、そして、フランス語文法の特殊なルールがなにやら謎解きのようで、それらすべてが楽しく、とても意欲的に学べたことを思い出します。徐々に単語や文法を覚えていきながら、フランス人講師となんとなくではあっても会話が通じつつあることがうれしくありました。
フランスに旅立ったのは、5月末でした。なにもかもが新鮮の連続で、勉強したフランス語が、街中のあちこちに溢れているのが楽しかったのを思い出します。
美術館はルーブル、オルセー、オランジュリー、ポンピドゥーセンター、ドラクロワ美術館、マルモッタン・モネ美術館を見ることができました。そのどれもが日本の美術館にない充実度で、ルーブルでは古典の作品、ダ・ヴィンチやすぐれた彫刻群たちをみることができ、オルセーでは近代の作品、オランジュリーではモネの睡蓮の大作、ポンピドゥーでは数多くの現代美術を楽しむことができました。
美術館に行くためにパリのメトロを活用しました。学んだフランス語を活用する機会は残念ながらさほどなく、ちょっと街角で立ち寄ったチェーン店系カフェなどでは店員さんに「観光客だな」と思われたのでしょう、英語で話しかけられてしまったのには笑ってしまった覚えがあります。
また、美術館の入場券売り場で « Un ticket, s’il vous plaît ! » など間違えたフランス語を使ってしまったのも、恥ずかしいがいい勉強となりました。そんなことがありながら、楽しい7日間のフランス滞在も過ぎていきました。滞在中に感じたことは、これだけ美術館の充実ぶりをみても、素晴らしく美術の理解が深い国なのだから、今後もフランスを訪れるような機会を作りたいし、そのためにはなにより今回の滞在で話せなかったフランス語をいつかは話せるようになり、フランス人と意思疎通をしていつかはフランス人と芸術の話ができるくらいになれれば、と思いました。
帰国してから、フランス語教室に戻り、レッスンの際土産話をしまして、たいして話せない自分でも、少しずつ少しずつ話せるようになっていったことが楽しくてしょうがなく、フランス語の勉強がなんて楽しいことなんだろうと感じていました時に、フランス語教室で、仏検受験申込案内書をふと目にしました。それまでは仏検なんて、私には無理だろうと考えていたのですが、こんなに楽しいことなら、自分の実力はどれだけのものか、試すつもりで、駄目でもいいじゃないかと、挑戦することにしました。
受験対策は公式ガイドブックを繰り返し頭のなかで解いていくのを繰り返しました。仏検の勉強をすることは、フランス語教室でテキストに沿って会話していったり、フランス現地で生でフランス語に触れることに加えて、さらに原点にもどって文法的なことを学ぶことが大事だと感じました。あらためて文法書籍を読んだり、公式ガイドブックを読みながら、いままで気づかなかったことを新たに発見していって、そういった発見の喜びが楽しかったように思います。
そうして、6月に仏検4級・5級を併願受験しました。あまり自信がなかったのですが、試験終了時に配られた正答で自己採点すると、5級がまさかの100点。まさかとはおもいましたが、学んで2ヶ月でこの結果を出せたことが嬉しかったです。4級も、90点で合格できました。
今度は、3級の合格を目指してフランス語の勉強を楽しみながら頑張っています。そして、2019年10月に再度フランスに行くことにいたしました。いままではツアー会社のツアーに頼っていただけでしたが、今度は完全に自己責任での旅行のため自分のフランス語力も問われると思います。今度こそはきちんとしたフランス語を現地で話せるようにと、今から楽しみです。
「合格者の声」を更新しました
最後の灯台を背に
2018年度春季 1級合格
志村 響(フランス語教師・東京都)
最後の灯台を背に
2018年春季1級合格・在日フランス大使館賞
志村 響
フランス語教師・東京都
仏検との出会いは2012年の秋、僕が大学一年生の時でした。ふとしたきっかけで翌年春にフランスでの短期滞在が決まり、大学で履修していたドイツ語の傍ら、独学でフランス語の勉強をスタートしました。
始めたばかりの頃はひとり寄る辺なく、先生もクラスメイトもいなかったので、自分のフランス語がどの程度なのか、いくら勉強しても計りかねていました。何か目印になるものが欲しかった。そんな自然な流れで、仏検を受けることに決めたんだと思います。最初に受けたのは4級。無事、合格でした。
そして2013年3月、二週間ほどフランスに渡りました。海外に行くのもこれがはじめて。何かが開けるような感覚があったものの、当たり前のように、半年独学で勉強しただけのフランス語などほとんど何の役にも立ちませんでした。でも、参考書で見たことのある単語や耳にしたことのある表現に出会う度、それを使いこなせるとは言えないまでも、フランス語にじかに触れる嬉しさがあったことも見逃しませんでした。
「なんだか自分の言葉にできそうな気がする」
あえて言語化するならこんな頼りない直観だけで、僕はフランスへの語学留学を決心しました。出発は同年秋。それまでにできることをやろうと、今度は仏検準2級を受けることにしました。出国前に文法の勉強をしっかりやっていたことは、今振り返ってもよい選択だったと思います。準2級も合格でした。
それからの一年をフランス、ブルターニュ地方にあるレンヌという街で過ごし、2014年の夏に帰国しました。この一年間、フランス語のことしか考えていなかったように思います。おかげで帰るころにはそこそこ話せるようになっていました。
しかし、せっかく「自分の言葉」になりかけていたフランス語も、8月の日本の猛烈な湿気とともに押し寄せた日本語の波に洗い流されそうになりました。なんとかこれを守らなくては…。その時も、仏検が僕の灯台になってくれました。あれを目指して進めばいいんだ。帰国後間もなく秋の準1級を受け、合格。フランス語は逃げませんでした。
残すは1級です。正直、ここまで来るともう「仏検はいいかな?」という気分でした。より“実用的”とも言われるDELF/DALFのC2を先に取り、仏検の存在もやや霞んでしまっていました。ただ、この時、僕はもうただの学習者ではありませんでした。フランス語を学ぶだけでなく、教える立場にあったのです。
僕は教師として、フランス語を勉強している人に「試験は、受けなくてもいいなら受けなくていい」と伝えています。それはもちろん、試験だけを目標にしてほしくないからです。ことばの深さは灯台ではなく、海の方にあります。試験に受かることはもちろん素晴らしいことですが、それだけが語学のゴールになるのは少し寂しい…。
とはいえ僕自身、それまでの道のりを、仏検の合格証書がもたらしてくれた達成感と安心感、そして誇りに支えられながら歩んできたのです。それに当時の僕にとっても、仏検1級の灯台はやはり大きく壮麗で、とても目立っていました。教師として、学習者として、立ち往生しているくらいなら行ってみよう。そう思い去年、受験を決めました。
そして2018年春、いよいよ1級を取り、フランス語の資格試験という意味では(通訳案内士などを別にすれば)目標になるものはなくなりました。もう、僕の視界に灯台はありません。けれどある意味では、ここがスタートとも言えます。灯台はそこに辿り着くためではなく、海を照らし、海を渡るためにあるのです。これからも、僕の航海は続くでしょう。
初めてのフランス滞在、最終日に見た空
一部コンビニ決済におけるお取り扱いの一時停止について
仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、以下の期間中、一部のコンビニエンスストアでの検定料納入のお取り扱いを停止いたします。なお、作業の進捗状況により、終了時間は前後する可能性がございます。
仏検インターネット申込 コンビニエンスストア決済 不通期間
2019年5月20日(月) 午前0:00~午前8:00
対象コンビニ : ローソン/ミニストップ/セイコーマート
内容:仏検インターネット申込「出願情報選択」画面操作中、対象コンビニを
コンビニ決済でのお支払い店舗として選択することができません。
また、対象コンビニ店頭で検定料をお支払いいただくことができません。
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。
公益財団法人 フランス語教育振興協会
2018年度 文部科学大臣賞団体賞 受賞のことば
文部科学大臣賞団体賞は2013年度に創設され、その年度における出願者数とその増加率および試験結果等を勘案し、年度を通じたフランス語教育への取り組みを総合的に判断した上で、特に優秀と認められた3団体に授与されます。2018年度は、山形大学、金城学院大学文学部コミュニケーション学科、大妻中野中学校・高等学校が選出され、賞状と記念の楯が授与されました。表彰団体の先生方からお寄せいただいた受賞のことばをご紹介します。
山形大学 合田 陽祐 先生

この度は栄誉ある賞を賜り幸甚の至りに存じます。フランス語教育振興協会の皆様に篤く御礼申し上げます。
2018年度の秋季試験より本学が準会場となり、試験監督を務めました。真剣に取り組む学生たちの姿を見て、その熱意に心を打たれました。この受賞を本学のフランス語履修者の皆さんに報告できることを、大変嬉しく思っております。昨今、第二外国語の履修に関して厳しい状況が続いております。これを励みに、同僚の柿並良佑先生、大久保清朗先生とさらに協力し、フランス語教育の存続と発展に貢献できるよう、努力を続ける所存です。
今後も本学は仏検と歩みを共にして参ります。ご指導賜りますよう皆様にお願い申し上げます。
(写真左より)大久保清朗先生・合田陽祐先生・個人受賞された山形大学のおふたり・西澤理事長
金城学院大学 文学部 外国語コミュニケーション学科 北原 ルミ 先生

この度は文部科学大臣賞団体賞を賜り、フランス語教育振興協会の皆様、仏検事務局の皆様に深く感謝申し上げます。本学科のフランス語選択者は、1〜2年では各35名前後、3年以上の選択では各15名前後と例年小さい母数ながら、学生たちが精力的に受験し、結果を出してきてくれたゆえの受賞と喜ばしく存じます。フランスへ渡航する学生が増える傍ら、渡航できなくとも検定で力を測ろうと頑張る学生もいます。数日前の卒業パーティでは「仏検でさらに上を目指します!」という声が聞こえ、働きながらの学習の励みになることを実感しました。フランス語を通して世界の多様な窓口を知る学生が育つよう、今後も力を尽くしてまいります。
(写真左より)北原ルミ先生・西澤理事長
大妻中野中学校・高等学校 島田 幸子 先生

このたびは栄誉ある賞をいただき、教職員一同、心より感謝申し上げます。大妻中野中学校・高等学校では、平成11年度から選択でのフランス語が始まり、平成28年度にはGLCクラスも新設されました。中学1年生からフランス語が必修となるクラスもできたことで、現在では320名以上の履修者をかかえます。第2外国語ですので進度はゆっくりしたものですが、生徒のモチベーション維持として、仏検は今まで以上になくてはならないものになってきていると感じます。グローバル教育の一環としてフランス語を学ぶ意義を伝えるべく、担当者としましても真摯に取り組んでいきたいと思っております。仏検の更なるご発展をお祈りいたします。
(写真左より)外国語課主任教諭 片岡孝治先生・西澤理事長
「仏検だより」を更新しました
2018年度 文部科学大臣賞団体賞 受賞のことば
山形大学・金城学院大学・大妻中野中学校高等学校
フランス語を学ぶ環境づくり―大東文化大学でフランス語を学ぶ
野澤 督(大東文化大学外国語学部英語学科)
第2外国語として、あるいはお試しで――都立高校でのフランス語
大熊 陽子(都立高校フランス語準常勤講師)
フランス語を学ぶ環境づくり―大東文化大学でフランス語を学ぶ
野澤 督(大東文化大学外国語学部英語学科)
「フランス語の先生なのに英語学科にいるんですね」。私が自己紹介をすると、よくこのように言われます。たしかにフランス語の先生が英語学科に所属していることは不思議なことなのかもしれません。しかし、ここにはフランス語を教える上で大切なことが含まれていると私は考えています。
「英語学科所属のフランス語教員」のからくりを簡単に説明しましょう。大東文化大学外国語学部には日本語学科、中国語学科、英語学科があり、私は英語学科に所属しています。英語学科には2つのコースが設置されています。様々な分野から英語をしっかりと学べる英語コースと、英語とともにフランス語またはドイツ語をしっかりと学べるヨーロッパ2言語コースになります。私はこのコースの英語とフランス語を学ぶ「英仏系」で主に仕事をしており、この特性を活かしたフランス語の学びを提供しようと心がけています。
大東文化大学では1学年でおよそ25名の学生が英仏系に登録し、日本人の先生とフランス語を母語とする先生とともに4年間フランス語を学んでいます。また、英仏系に所属していなくても、大東文化大学の学生は、学部を問わず、週1回から週3回のペースでフランス語科目を選択できるようになっています。さらには第三外国語として3年次からフランス語科目を履修し始めることも可能です。様々な形でフランス語を学び始めたり、学び続けたりできる学習環境を整えることで、複数の言語を学んでほしいという大学からのメッセージを発信しています。
複数の言語を学べる環境は大東文化大学の外国語教育の根幹をなしていると言えるでしょう。ここで大事な点は、英語の代わりにフランス語が学べるのではなく、英語とともにフランス語が学べるという点です。どちらかを選択するのではなく、英語もフランス語も学ぶことであらたに見えてくるものがあるのではないでしょうか。複数の言語を学ぶことは、言語を道具ではなく、文化として見ることに通じています。外国語を学ぶ目的の一つはコミュニケーションの手段を増やすことだとよく言われます。私もそう思います。運用能力を高めれば高めるほど人との交流の機会が増えるでしょう。しかし、それは単なる意味の交換にとどまらず、考え方やものの見方の変化へとつながっています。言語はその言語を使用する人や、その言語が使用されている社会がもつ文化や価値観と切っても切れないものです。外国語を学び、使うことは、自己とは異なる文化や価値観と接触することになりますから、その分だけ世界が広がると言えます。
実際、グローバル社会と呼ばれる現代社会ではもはや英語では対処しきれない問題を抱えています。問題に向き合うためには英語以外の言語を駆使して情報収集するだけではなく、その言語が使われている社会の習慣や文化、歴史的背景などにも通じていなくてはなりません。また、複数の言語を学ぶことは多角的に社会を観察する目をもつことと同義です。例えば、フランス語で発信されている情報へアクセスできれば、英語圏が発信する情報とは異なる視点を得ることができます。そこに母語を加えれば3つの視点がもてることになりますから、より相対的にひとつの事象を分析することができるようになります。大東文化大学のヨーロッパ2言語コースでは「読む」「書く」「聞く」「話す」という4技能の向上だけでなく、異文化との向き合い方も含めた外国語教育の実践を目指しています。
こうしたフランス語学習のあり方はなにも高等教育機関に限られるわけではありません。近年でも200校を超える中学や高校でフランス語科目が設置されていると言われていますし、実用フランス語技能検定試験に挑戦する高校生以下の年齢層も少なくありません。国境や言語による区分が意味を持たない現代社会、――こうした社会はどこか遠い国の話ではなく、日本でもすでに見受けられます――、で生きる力を培い、異なるものや人への寛容さをもつためにも、中等教育レベルで複数の外国語を学べる環境を整えることは非常に意味があることです。さらに言えば、学びは一生ですから、世代にとらわれることなく、こうした視点からの外国語の学びがあってもよいのではないでしょうか。
語学学校では老若男女を問わずフランス語を学んでいます。学校へ行かずとも、多くの方がラジオやテレビの講座で複数の言語を学んでいますし、独学でフランス語を勉強し、フランス語で書かれた本を読んだり、フランス映画を鑑賞したり、インターネット上でフランス語のニュースを聴いたりしているでしょう。そこから世界が広がっていきます。だから私たちの身近にフランス語に触れられる機会があり、学びたいと思ったときに学べる環境があることがとても大事なのです。仏検などの検定試験もその一翼を担っています。学びの到達度を確認するために仏検を活用している人は多いですし、検定合格が次の学びのステップへと後押ししてくれます。学び続けることでますます世界は広がり、様々な人と出会えるわけですから。

フランス語の学びを介して人と人とがつながっていく環境を作ることはフランス語教育に携わる者の使命です。つながりを生み出す力こそがことばがもっている力だと伝えたいと思っています。私が担当したNHKラジオ講座「まいにちフランス語」では、入門編ではありますが、話し相手を意識してフランス語を使うことを目標に掲げました。相手がいてこそのことばであり、ことばは他者とともに行動するためにあるというメッセージを届けたかったからです。
教室、ラジオ、検定試験など、フランス語の学びの形は様々で、学びの目的も人それぞれです。しかし、一つ確かなことがあります。それは、フランス語を学んでいる人たちは色々な人と出会い、交流し、ともに生きていく、ということです。大仰なことかもしれませんが、他者とともに生きていることをイメージできるようなフランス語の学びの場を学生たちと築いていきたいと考えています。
第2外国語として、あるいはお試しで――都立高校でのフランス語
大熊 陽子(都立高校フランス語準常勤講師)
東京都立高校で、フランス語を教える。
私は、東京都・準常勤講師。フランス語を教えに、朝から夜まで東京都内方々の高校に赴いています。まずは、私の仕事の概要について、みなさんにご紹介します。
東京都の非常勤講師はふつう時間講師と呼ばれますが、通年で12コマ以上担当すると準常勤という区分になります(待遇が良くなります)。フランス語の授業は、他の英語以外の言語と同様に、全日制(普通科・総合学科)・定時制・中高一貫校といった様々な高等学校で開講されていて、大体週1回で2コマ連続です。しかし、学校によって設置のされ方は異なります。自由選択科目として(いくつかの科目の中から選ぶか、追加で履修する)だったり、必修選択科目としてだったりします。2018年度は8校・16コマ。受講希望者が毎年増減を繰り返し、年度ごとに実施時間・曜日が変更することもあって、毎年コマ数も場所も何かしら変わります。他の方の産休や研修で、年度中でも臨時に授業を持つこともあります。また、学校行事によって授業がない週も(短縮になることも!)ありますから、スケジュール管理には注意を払います。
授業そのものも、それぞれの学校によって様々です。スタイルが大きく変わるのは、ALT・外国語指導助手がつくか否かです。それも、毎時間・年間で数回・全くつかないなどいろいろです。他にも、受講学年(単一学年か、複数学年混合か)や、実際の授業回数(月曜と水曜では年間で2桁もの差が)、成績のつけ方(絶対評価か相対評価か)など、学校による違いは枚挙に暇がありません。特に留意すべき違いは、それぞれの学校・それぞれの学年でそれぞれの雰囲気があること、そして、生徒たちのポテンシャルやモチベーションもまたそれぞれだということです。前者は授業の進め方に直結するポイントです。授業中、指示を出さなくても発音するのがふつうの学校もあれば、促しても発音を繰り返さない生徒が多い学校もあります。これは経験上、大学や専門学校の授業でもありえますから、最善を尽くすだけです。悩ましいのは、後者です。高校選択の決め手がフランス語を学べることだったという生徒、将来希望する進路のために学ぶ生徒、空きコマに出来ないので仕方なく受ける生徒、友人が取るので合わせた生徒などが混在しています。ここから共通項として導いた目標が、とにかくフランス語を楽しんでもらうこと。そこから欲を出して、いくつかの学校で「フランス語を1年学んだ証」として「秋季で仏検5級を取得すること」を勧めています。受検を強制することは出来ませんが、学校によっては検定に合格することで卒業単位に互換してもらえるところもありますし、何より明快な設定だと思っています。
仏検 5 級を目指して
ここからは、仏検5級取得に向けた授業について具体的にお話しします。教材は、11月半ばまで仏検一直線の内容のプリントです。余白をたっぷり取ってあるので、自分だけのノートを作るよう促しています。 週に1度あるかないかの授業の中で、詰め込みにならないよう、急に難しくならないよう、いかにして定着させるかが課題です。ですから、生徒ひとりずつの作業として、発音や問題の回答をひとりずつやってもらったり、文法的な規則を出来る限り生徒自身で考え見つけるようにさせたり、私だけが発信する授業ではなく、皆を巻き込む授業を心がけています。定着のためには、アウトプットが肝要です。そして、実際に出来た!の積み重ねが、フランス語と親しくなる確かな方法だと考えます。
毎年変わらざるをえないのは、進度です。これは、授業実施数や生徒たちの定着具合によるので、仕方のないところです。とはいえ、夏季休暇までに冠詞類とêtre, avoir, 第1群規則動詞の活用は扱います。単語集も渡しておけば、休暇中の課題として仏検5級の筆記[1]・[2]・[5]番の練習が出来るからです。折角の今までの学習をリセットさせたくないので、この課題にはきちんと取り組んでもらいます。9月以降に5級の範囲を進めていって、10月末には受検希望者を中心に過去問に取り組んでもらいます。本当は授業中全員に過去問にトライしてもらいたいところですが、近年は授業実施数が減少傾向です。そして、受検者の数は増減を繰り返し続けていますが、殆どの受検者は合格出来ています。12月の試験では5級に準じて出題していますので、受検しない生徒でも5級相当の力はついている筈です。
ちなみに、その後は旅行会話の練習を中心にしています。日常会話ができるようになりたい、旅行に行ったときに困らないようにしたいという声はやはり多いです(日常会話とは何ぞやとは思いつつ)。
約1年間フランス語を学んでみて、生徒たちの感想もいろいろです。「初めてフランス語を教えてくれたのが、先生でよかった。いろいろなことに興味を持てるようになった」と言った生徒がいます。事実、フランス語を続けたい生徒も、フランス語を続けない生徒もいます。どちらにしても、フランス語そのものだけでなく、私が授業で伝えるあらゆることから、生徒たちは学び、刺激を受け、自分の力に変えていきます。だから、私は自分の仕事の本質は「種を蒔くこと」だと思っています。フランス語を続ける生徒も、続けない生徒も、皆まとめて私の大切な子どもたち。フランス語や私の授業を通して得た何かが、いつか素敵な実を結んでくれたらと願っています。
毎年100人以上の生徒と出会い、彼らの多感な時期に寄り添えて、ほんとうに尊い仕事をしていると実感しています。何が誰の琴線に触れることになるかわかりませんから、私自身がまずは成長し続ける存在でありたいです。 実を言うと、フランス語の講師になることは、私の長年の夢でした。中学生の時にフランス語と出会ってから、苦しんで楽しんで、時に本気を出し、時にサボって、それでもずっとフランス語と一緒でしたし、フランス語を通して得た経験は語り尽くせません。こんな私だからこそできる授業があるのだと信じています。新しい生徒たちとの出逢いを心待ちにしながら。
大型連休期間の休業についてのお知らせ
公益財団法人フランス語教育振興協会・仏検受付センターは、大型連休に伴い、4月27日(土)~5月6日(月)を休業期間とします。つきましては、休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせが5月7日(火)以降のご対応となりますことをご了承ください。
また、翻訳サービスにつきましては、連休直後に複数のご依頼が重なり、通常よりも翻訳工程に日数を要する場合が想定されます。
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
2019-2020年度 国際芸術都市入居者推薦 応募要項を更新しました
2019年度春季試験 受験案内を更新しました
2019年度春季試験 受験案内を更新しました。
・年間実施日程・受付期間
・受験票・結果通知発送予定
・受験地と受験級
・検定料
・試験時間
・パリ会場受験
郵送申込用の願書・受験要項の無料送付をご希望の方は請求フォームに必要事項をご記入ください。
なお、仏検では、前回・前々回(2018年度春季・秋季)に出願された方を対象として、予めお名前等を印字した願書・受験要項をクロネコDM便でお送りしております(3月22日発送済)。
3月22日(金)表彰式による通常業務の休業について
公益財団法人フランス語教育振興協会は、文部科学省後援実用フランス語技能検定試験(仏検)2018年度成績優秀者表彰式のため、3月22日(金)の通常業務を休業とさせていただきます。
仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせは3月25日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
2018年度 年末年始の休業期間についてのお知らせ
公益財団法人フランス語教育振興協会は、2018年12月29日(土)より新年1月6日(日)までを休業期間とさせていただきます。
仏検・翻訳・教育の各業務についてのご依頼・お問い合わせは1月7日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
2018年度秋季仏検 準1級 配点に関する誤植について
2018年11月18日(日)に実施された仏検秋季1次試験・準1級筆記試験におきまして、問題冊子に記載された配点に誤りがありましたので下記の通り訂正いたします。
準1級 筆記試験問題冊子6ページ 大問[5]
【誤】 配点 10 ⇒ 【正】 配点 5
本件による採点処理や合否判定の手続きに変更はありません。
仏検実行委員会
『仏検公式ガイドブック』 誤植のお詫びと訂正 (準1級)
『2018年度版仏検公式ガイドブック 準1級』に誤りがございました。謹んでお詫びし、訂正いたします。
■2018年度版 準1級
123頁 解答(読まれる文)4行目
【誤】Ma mère n’étaient pas
【正】Ma mère n’était pas
第26回 動詞に強くなるには?(中級)
慶應義塾大学准教授 川村 文重
今回のコラムは、中級レベルの動詞問題の試験対策をテーマに取り上げます。
Quel beau temps ! (なんていい天気だろう!)のような感嘆表現を除けば、どんな文にもかならず動詞がひとつ以上含まれます。 従属節や関係節をともなえば、それらの節にも動詞が入っています。通常、抽象性の高い論理的な文章では、動詞よりも名詞表現に情報量の比重が多くかかります。それに対して、日常の平易な文章では、使われる動詞がバリエーションに富み、動詞が何を言おうとしているのかがわからなくては、全体の意味やニュアンスがつかめなくなります。動詞が文章全体の基礎を作っていると言ってもよいでしょう。
ところが、この動詞の理解が初級・中級レベルのつまずきの石となるのも事実です。ご存じのとおり、フランス語の動詞には、①意味、②時制、③叙法(直説法・条件法・接続法・命令法)といった情報が含まれています。②と③は語尾変化で示されます(時制については第23回・第24回の林先生の解説に詳しいですから、読み返してください)。往々にして、初級・中級学習者は②と③をおろそかにしがちです。
その証拠に、中級レベルに相当する仏検3級と準2級試験の過去のデータを見てみましょう。長文問題は選択問題ということもありますが、つねに高い正答率をマークしているのに対して、記述式の動詞問題の正答率は軒並み低調です。たしかに、動詞問題の配点がそれほど高くはありませんので、実際の試験で長文問題を得点源にすれば、動詞問題がたとえ全問不正解だとしても、合格が可能かもしれません。しかし、より長く、より複雑な内容の文章が正しく読めるようになるには、②と③をおろそかにし、活用がマスターできていないと、そのツケがあとになって響いてきます。なかなか上の級に進めないという受験者は、ここでつまずいている可能性が高いと思われます。
3級と準2級の動詞関連の問題は、やはり、その意味を問うためだけに出題されてはいません。動詞の①意味を当然知った上で、 ②時制と③叙法を判別して、正しく活用できるかどうかが試されています。①、②、③の3つのポイントをすべてクリアしなければ正解にいたれないわけですから、かなり手ごわいですね。しかも、記述式ですから、活用がうろ覚えでは対処できません。つづりを正しく書く力が問われるようになるのが、初級レベルに相当する5級と4級との大きな相違のひとつです。では、最近出題された、正答率の低かった問いを実際に解いてみましょう。 2018年度春季3級問題[2]番からの抜粋です。( ) 内の動詞を必要な形にします。
— Alain, on est où ? C’est encore loin ?
— Désolé, je (se tromper) de route.
Alain に質問している人は、Alain といっしょにある目的地に向けて進んでいるはずが、どれほど進んだのか、本当に進んでいるのかわからなくなっています。それを受けて、Alain は désolé と謝り、代名動詞 se tromper が続きます。どうやら、Alain は質問者を乗せて車を運転しているか、あるいは、質問者を先導して道を誤ってしまったようです。
先にあげた①、②、③の3つのポイントを順に確認していきましょう。まず、①意味は、 他動詞 tromper (〜を誤らせる)に再帰代名詞 se がついて、〈自分自身を誤らせる〉、すなわち、〈誤る〉。〈〜を誤る〉は se tromper de+無冠詞名詞です。
次に、②時制はどうでしょうか。この会話の時点で、Alain は道を誤るという行為を継続している(現在時制)でしょうか。それとも、Alain が道を誤るという行為をしてしまったために(過去時制)、その結果、本来のルートからはずれた状態にあるということでしょうか。これは後者の複合過去を選ぶのが妥当です。それに、Alain が謝っているのは、謝らなければならない原因である〈道を誤る〉という行為がすでになされてしまったからです。
最後に③叙法ですが、Alain は事実だと判断して述べているか、あるいは、断定を避けた推測(=道を誤ったかもしれない)によって述べているかのいずれかですから、前者なら直説法、後者であれば条件法です。
というわけで、代名動詞が複合時制になると、助動詞は avoir ではなく être を用い、再帰代名詞 se は主語の人称と一致させますから、正解は me suis trompé(直説法)、あるいは me serais trompé(条件法)です。もし Alain ではなく Marie が語っているなら、過去分詞が女性形になりますから、 me suis trompée あるいは me serais trompée になります。ちなみに、最も多かった誤答は、me trompe でした。
次は、2018年度春季準2級筆記問題[3]番からの抜粋です。ただし、実際の問題では小問5つに対して8つの動詞が選択肢として提示されますが、ここでは、ひとつの小問に対して動詞の選択肢を3つにしました。AとBの文がほぼ同じ意味になるように、単語を語群から選んで、必要な形に直します。
A Il n’y a plus de vent.
B Le vent ( ).
————————————————
cesser être plaire
正解は a cessé です。最も多かった誤答は cesse でした。現在形にした誤答が多かったのは、Bの時制をAと同じ時制にしておけばいいと安易に処理した結果でしょうか。いずれにせよ、多くの受験者は動詞 cesser を選ぶことはできていました。①意味の段階は一見クリアしたかのように見えます。では順に見ていきましょう。
Aの文は ne… plus 〈もはや〜ない〉という否定表現ですから、〈(それまでは風があったが、)今ではもう風が止まっている〉ということです。現在形の文ですが、過去の状態に関する情報が暗に含まれていて、その過去と現在との違いが浮き彫りになっています。とすると、Bの文も同様に、過去(風が吹いていた)と現在(今は風は吹いていない)の違いが示されていなければなりません。Bの動詞 cesser を現在形にすると、現在の状態(風が止んでいる/凪状態だ)のみの情報を伝えることになり、不適当です。この点が、②時制の見極めポイントです。つまり、過去と現在の情報を同時に示す表現の理解です。
ここで、複合過去の用法を確認しておきましょう。複合過去は何らかの出来事や行為が起こり、終わったことを述べたり、〈〜したことがある/ない〉といった過去の経験を述べたりする時に用いられます。ですが、それだけではありません。過去に完了した行為を現在との関連で表しもします。例えば、Paul est parti は〈ポールは出発した〉と訳せますが、この文には〈(出発したから)もうここにはいない〉という現在の状態を暗に示しています。
これを踏まえると、自己紹介で出身国を言う表現が、je viens du Japon であって、je suis venu(e) du Japon が誤っているのはなぜか分かりますか。毎年11月第3木曜日にボージョレー地区の新酒が解禁されますが――仏検秋季1次試験の直前ですね。受験者のみなさん、飲みすぎないように!――、その宣伝文が le Beaujolais nouveau est arrivé ! であって、le Beaujolais nouveau est venu ! ではないこともお分かりですね。ここで用いられる動詞 venir の意味〈来ている〉は行為の開始と終結が同時になされる完了を表す動詞ではありません。一方、arriver は到着という行為が行われた時には到着は完了していますから、継続を表す venir とタイプの異なる、完了を表す動詞です。このあたりの動詞の理解は、①意味と②時制の両方の深い理解に関わっていることがお分かりになると思います。
では上の問題に戻りますと、その正解が cesser の複合過去になるのは、もっと言えば、複合過去でなければならないのはなぜか、もうお分かりですね。動詞 cesser は完了タイプの動詞であり、その複合過去は、〈それまでは吹いていた風が止んだので、もう風は吹いていない〉、つまり、過去と現在が暗に対比されています。これは、先に解説した複合過去の用法の最後に挙げた、過去の行為が完了することによって現在に影響を及ぼしていることを表す用法です。AとBの文を比較すると明らかなように、同一内容のフランス語の文は必ずしも、同一の時制をとるとは限らないことに注意しましょう。
さて、何段階にもおよぶチェックポイントをクリアして、危なげなく正解にたどり着けましたか。現在形か複合過去か迷いはしたけれど、この解説を読んで納得できたというレベルにある人は要注意です。解説が〈わかる〉と実際に〈解ける〉との間には相当の隔たりがあります。これを埋めるにはどうすればいいでしょうか。たくさんの問題を解いていれば、おのずと身につけられるようになるでしょうか。それもひとつの方法ですが、筆者はあまりお勧めしません。筋道を立てて正解にいたることができ、それを自力で解説ができるようになるまで辛抱強く、ひとつひとつの問題にじっくり取り組みましょう。また、文章を読む際には、文中に出てきた動詞がなぜこの時制で、この叙法なのかすらすらと説明できるようになるまで、文法書を読み返したり、先生に尋ねたりして疑問を氷解させましょう。
最後に、聞き取り・書き取り問題の対策にふれます。この問題では動詞を正しく聞き取り、書き取れるかも重要なポイントのひとつです。動詞は多くの場合、文のなかほどに位置しています。また、たった一音節で発音されたり、メリハリなく発音される動詞も多く、それに、主語の人称代名詞などとリエゾンやエリジオンすることもあります。一生懸命耳を澄ましても、検定試験という緊張状態にあっては、動詞が耳からすり抜けてしまう――動詞は実に受験者泣かせの単語です。
どうすれば、動詞を聞き逃さないようにすることができるでしょうか。とにかくひたすらフランス語を聞いて、耳を慣らすことに努めるべきでしょうか。たしかに耳を慣らすことは重要ですが、まずは動詞を確実に捕まえることをめざして聞くようにしてみてください。動詞部分を意識的に集中して聞くことで、早口言葉のように怒涛に流れる錯綜した音の束のようなフランス語の文が、徐々にほぐれて聞こえてくるようになるでしょう。聞き逃しやすいケースには一定のパターンがあるはずです。どういった時に動詞を聞きもらしやすいか、自分の弱点を把握しましょう。そうして、①意味、②時制、③叙法の段階をクリアして、瞬時に正しく活用できるようになれば、しめたものです。
結局は、フランス語学習に王道なし、ということに尽きます。ただし、やみくもに取り組むのではなく、〈量より質〉を重視する地道な学習が上級への確実な橋渡しになるはずです。
「学習のツボ」を更新しました(第26回)
『仏検公式ガイドブック』 誤植のお詫びと訂正 (3級)
■2018年度版 3級
204頁 解答(5)
【誤】me rapelle
【正】me rappelle
『仏検公式ガイドブック』 誤植のお詫びと訂正 (準1級)
■2018年度版 準1級
31頁 解説2行目
【誤】(2)(4)(5)が動詞だということがわかります。
【正】(2)(4)(5)が名詞だということがわかります。
■2017年度版 準1級
27頁 解説2行目
【誤】(2)(4)(5)が動詞だということがわかります。
【正】(2)(4)(5)が名詞だということがわかります。
「合格者の声」を更新しました
美しいコミュニケーションを極める
2015年度秋季 2級合格
小出 智子(会社員・東京都)
美しいコミュニケーションを極める
2015年度秋季2級合格
小出 智子
会社員・東京都
私がフランス語を学ぼうと決意したのは、12歳のときにミュージカル「レ・ミゼラブル」を観て、フランス文学の面白さに目覚めたことがきっかけです。中高時代は、図書室にある『レ・ミゼラブル』に関する日本語書籍や、その他の邦訳された19世紀フランス文学を読みふけりながら、早く大学で本格的にフランス語を学びたいと胸を高鳴らせていました。
大学受験の際、迷わずフランス文学が専攻できる学部を選びました。英語よりはるかに複雑な文法や発音に圧倒されましたが、だからこそやりがいを感じ、毎日フランス語の授業が楽しみでなりませんでした。そして、更に主体的な学習がしたい、本場フランスにも足を運びたいと考え、大学2年の春にパリの語学学校に短期留学をしました。仏検5級取得直後のことでした。
現地の方とのコミュニケーションに苦労しましたが、初めて自らの目で見るフランスは実に刺激的で、私はますます勉強の虜となりました。その後は日本でもコミュニケーション能力を培うべく、フランス人の家庭教師についたり専門学校へ通ったりして、大学4年生の夏に2級を取得しました。その年はブルゴーニュ大学の夏季講座に留学し、多くの留学生の方と交流をしました。相変わらずフランス文学への情熱は衰えず、この時は観光もせずに寮の自室で卒業論文の対象となる原書を読み耽る日々でしたが、こうした短期留学の経験を通し、文学内だけではない、フランス語の魅力をより感じることができたと思います。
将来を考える時になり、私が真っ先に考えたのは、大好きな語学を使う仕事がしたい、ということでした。フランス文学への情熱があまりにも大きすぎた私は、語学自体に対する学習意欲を理解されなかったこともあります。しかし、自身のフランス語との向き合い方を考え直してみたときに、フランス語は文学を読解するためのツールではなく、より深いコミュニケーションの根幹となっているもの、文学を介さずとも、積極的に学び、極めていきたいものであると再確認しました。
就職活動では、グローバルな環境に身を置ける仕事に狙いを絞って活動を行いました。英語は話せて当たり前、という厳しい条件が課されていましたが、その中でも第2外国語が話せるということは大きな武器になりました。特にフランス語は文法が難しいことは未修者にもよく知られているため、大学生から本格的に始めて英語と同等のスキルを身につけたという根性が、一番のアピールポイントになったと思います。
これからはビジネスの現場でもフランス語を使っていくことになります。大学での学びを活かせる仕事に就けることは、大変恵まれたことであると思います。どれだけ海外とのやり取りが円滑に進んだとしても、自分が一学習者であることも忘れず、驕り高ぶらず真摯にコミュニケーションを学び続けていきたいです。言葉は、使い方次第では人を不愉快にさせることもあり、またはいつまでも心に残る、豊かな言葉を投げかけることもできます。だからこそ私は、常に相手と良い関係が築ける、美しいフランス語を使い続ける人間になるために、今後もフランス語という学問に向き合い続けたいと思います。
L’homme ne doit être gouverné que par la science.
― Victor Hugo, Les Misérables
人は学問によってのみ支配されるべきである。
― ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』より
第25回 2級語彙問題の攻略法(中級)
慶應義塾大学准教授 井上 櫻子
筆者の勤務先の大学では、仏検2級取得を目指す学生がかなりいます。学内の交換留学制度への応募資格が仏検2級以上となっているという事情もあるのですが、2級であれば履歴書の資格欄に記載できるからと考える学生も少なくないようです。しかし、いざ受験対策を始めてみると多くの学生が2級の語彙問題を取り組みくいと感じるようです。そして実際、試験実施結果をみると、全般的に語彙問題の正答率があまりかんばしくありません。ここでは特に、2018年度春季2級1次試験筆記問題2番を例に、どういったところにつまずきやすいのか、みていくことにしましょう。
あたえられた日本語の文が表わす意味になるよう、( ) 内にもっとも適切な語を1語入れるという問題です。
(1) Ce n’est un secret pour ( ).
みんな知ってるよ。
(2) Cette région ne ( ) pas de charme.
この地方はなかなか魅力がある。
(3) Il ne faut pas prendre au ( ) tout ce qu’il dit.
彼の言うことを本気にしちゃだめだ。
(4) Les effets du médicament se sont fait ( ) tout de suite.
薬の効果はすぐに現れた。
(5) Tiens-toi ( ) !
背筋をぴんと伸ばして!
(1) Ce n’est un secret pour ( ).
みんな知ってるよ。
正解は Ce n’est un secret pour ( personne ). 「それは誰にとっても秘密ではない」、こなれた日本語にすると「それはみんなが知っていることだ」となります。他の否定語とともに用いられて否定を表わす ne に着目し、文意を考えれば ne…personne「誰も……ない」という表現が思い浮かんだでしょう。「みんな」という表現につられて tous, tout とした答案が多く見うけられましたが、ne に対応する否定表現の欠落した不完全な文になります。
(2) Cette région ne ( ) pas de charme.
この地方はなかなか魅力がある。
正解は Cette région ne ( manque ) pas de charme. ne pas manquer de +無冠詞名詞「……に事欠かない」、すなわち「……を十分に備えている」という意味の表現の理解を試す問題です。(1) とも関連しますが、否定表現をともなう文の含意するところをとらえるのが苦手な受験者は少なくないようです。rien とした答案がかなりありましたが、これでは動詞のない文になってしまいます。また、a を入れた受験者もいましたが、それでは「魅力がない」という意味になります。ne とのエリジオンが必要でもあることからも、ここには当てはまらないと気づくようにしましょう。
(3) Il ne faut pas prendre au ( ) tout ce qu’il dit.
彼の言うことを本気にしちゃだめだ。
正解は Il ne faut pas prendre au ( sérieux ) tout ce qu’il dit. ここでは前置詞 à と定冠詞 le の縮約形が直前に置かれていることからもわかるように、sérieux は名詞で用いられており、prendre A au sérieux で「Aを真に受ける」という熟語表現になります。apprendre A par cœur「Aを暗記する」という表現と混同したか、あるいは「本気」というのを気持ちの問題ととらえたのか、cœur という誤答が数多く確認されました。prendre A au sérieux という熟語表現は、ほとんどの仏和辞典に載っているものです。辞書を引くときには、単語の意味だけでなく、項目末尾に記された熟語表現にも目を向けるようにしましょう。
(4) Les effets du médicament se sont fait ( ) tout de suite.
薬の効果はすぐに現れた。
正解は Les effets du médicament se sont fait ( sentir ) tout de suite. sentirの代わりに voir としてもかまいません。A se faire sentir「Aを感知させる」、転じて「Aが現れる」という表現は受験者になじみのないものだったのか、今回の試験でもっともできの悪かった問題です。se faire で動詞の形としては完結しているように映るためか、bien と解答した受験者がかなりいました。また apparaître とした答案も多数ありましたが、この語だけで「現れる」という意味を持ちますから、se faire「(……を)させる」という表現と組み合わせるのはおかしいと判断すべきでしょう。
(5) Tiens-toi ( ) !
背筋をぴんと伸ばして!
正解は Tiens-toi ( droit ) ! se tenir+様態で「……の姿勢を保つ」という意味になりますが、Tiens-toi droit「しゃんとしていなさい」という表現は、子どもをたしなめる場面などで慣用的に用いられるものです。設問文に「背筋を」とあるからか、dos とした答案が相当数ありました。
こうした問題を多くの学習者が難しいと感じる理由は、設問文の日本語と正答となるフランス語の表現が一対一対応になっていないことにあります。もっともできの悪かった (4) などはその好例で、「現れる」という日本語と、「感じる」という意味を第一義とするフランス語の動詞 sentir はなかなか結びつかないのでしょう。
大学で2級取得を目指す学生から、しばしば「2級レベルの単語帳を教えて欲しい」との要望を受けます。しかし、2級レベルで求められるのは、フランス語と日本語が本来全く異なる体系の言語であることを意識しながら学習を進めることです。そのためには、日頃から辞書に示された定義や熟語表現を丁寧に確認し、「フランス語ではこう言うのだな」という表現に出会ったら、自分自身で手を動かして単語帳、表現集を作っていくようにお勧めします。ただぼんやりフランス語の文章を読んだり、聞いたりするのではなく、意識的にフランス語を書く習慣を身につければ、正確な綴りも早く覚えることができ、動詞問題や、書きとり・聞き取り問題など他の筆記式問題でも高得点を獲得できるようになるでしょう。
立教大学と仏検 新たなステージに向けて
澤田 直(立教大学)
立教のフランス語教育
立教大学では、文学部にフランス文学専修(以前はフランス文学科でしたが、2006年改組により格下げになりました、涙)があるほか、全学部で第二言語が必修(今のところ)となっており、多角的なフランス語教育を行っています。初習言語として、フランス語を選ぶ学生は、最盛期の90年代には30パーセントを超え、900名以上いましたが、その後、中国語やスペイン語に押されて漸減し、近年では20パーセントを割り込む年もある凋落ぶりで、関係教員としてはかなりの焦燥感があります。新学部ができたこともあって、数的には、600~700人を維持しているのがまだしもの救いです。

文学部以外のフランス語教育は、全学共通カリキュラム運営センター(通称「全カリ」)のフランス語教育研究室の担当で、文学部所属のフランス文学研究室の教員は直接にはタッチしない形ですが、年に数回の会合を開き、意見交換を行ない、状況打開に向けて、熱い議論を戦わせています。
立教全カリのフランス語教育の特徴は、初級、中級だけでなく、上級のコミュニケーション、ライティング、リスニング・リーディング、演習など、質量ともに充実しており、池袋と新座のどちらのキャンパスでも受講できることです。また、これら語学系列の他に、海外体験とフランス文化に関する授業など所定の科目から26単位を取得するとグローバル副専攻(French Language & Culture)の修了証が取得でき、ハードな条件ですが、意欲的な学生には人気のプログラムとなっています。
モチベーションをどうあげればよいのか
語学教育は教えることのスキルもさることながら、受講者のモチベーションが如実に結果に反映します。どうしたら自発的にやる気になるか? フランス文学専修でも、新入生歓迎会をはじめ、他大学ではとっくの昔から行っていたことを遅まきながら始めました。昨年と今年は、フランス大使館の大学担当官ダヴィッド=アントワーヌ・マリナスさんに、歓迎のスピーチをいただいたあと、ケーキとサンドイッチをつまみながらの歓談、お土産には特注のクッキーをプレゼントするなど、四月初めから発破をかけました。小手先の工夫ですが、実際に体験できる形で、フランスに触れることで、新入生のやる気は心もちアップした気がします。
幸いなことに、入学生の半数以上はフランスが好きな学生たちですが、不思議な二極化現象が見られます。語学がよくできる学生は文化への関心が表層的で、あまり掘り下げようという姿勢が見られず、特に文学にはほとんど惹かれません。一方、文学や文化にディープな関心を示す学生(我々はこれを勝手に「コンテンツ系学生」と呼んでいます)は、なぜか語学が極度に苦手なのです。もちろん例外はいますが、全体としてはこの傾向が顕著です。他の大学でも同じような現象が見られるのか知りたいところです。
そんな乖離を融合するきっかけとなるのが、海外研修です。文学部がヴィシーのカヴィラム、全カリがブルゴーニュ大学付属国際フランス学センター(CIEF)と、それぞれ3週間の海外研修を含む授業を展開しています。夏期研修は高額な費用がかかるために、すべての学生に勧めることができないのが難点ですが、やはり現地に行くことの効果は大きく、研修に参加した学生たちは、秋学期の目つきが違います。自分のフランス語が実際に役に立つことを体験した彼女ら、彼らのモチベーションは驚異的に高まっています。そして、それが協定校への留学につながることも少なくありません。立教では、まだまだ数は十分とは言えませんが、フランスのINALCO、パリ・ディドロ大学、パリ東大学、リヨン第3大学、カナダのシェルブルック大学とケベック大学モントリオール校と協定を結んでおり、毎年多数の学生が出かけます。現地で修得した単位は、卒業単位として認定されるので、応募者が定員を上回る状態が続いています。
仏検との関わり
さて、肝心の仏検との関わりですが、これまでも様々な形で利用させていただいてきました。まずは、既習者の履修免除の基準。3級以上の保持者は、全カリ必修の言語科目が免除され、成績は自動的にSがつくという特典があります(高校生のみなさんにぜひ宣伝してください)。派遣留学の出願資格では、準2級が語学要件となっています(パリ東は2級)。今後、入学試験での活用も検討されており、仏検はDELF/DALF、TCFと並んで、様々な場面で重要な指標となっています。
準会場として団体受験を始めたのは、2005年秋季からと聞いています。長年にわたって団体受験を実施してこられたのは、フランス語研究室の小倉和子先生と、兼任講師の田中成和先生、左合桜子先生。仏文専修は本来ならば、仏検に関して中核になるべきところでしたが、「学生の自主性に任せる」と言えば聞こえは良いけれど、じつは消極的でした。それでも、学生たちは積極的に受験してきましたし、「資格のためのフランス語」と副題された、仏検対策をメインにした必修選択科目も設置していました。
しかし、やはり目に見える目標を掲げることは重要だとの思いから、2017年度の秋季から、フランス文学専修1、2年の全学生に受験してもらうことになりました。検定料に関しては学生から徴取している学生研究会費を充当、学生は直接お金を払うことがないので負担感もなく、好評です。試験の結果は、成績評価に反映することはしていませんが、モチベーションや実力を知るのに役立っています。また、全カリの方でも、各種検定試験受験料の一部補助制度があるので、受験環境はかなり恵まれていると言えるでしょう。今後は、卒業までに全員が2級を取得する、準1級の合格者を増やすなど、明確な指針を立てて、授業設計をすることなども視野に入れたいと考えています。そういうわけで、立教大学にとって、仏検とのおつきあいは新たなステージに入りました。
個人的には、文法も重要だけれど、細かいことにこだわるより、使えるフランス語、使って楽しいフランス語を見据える必要があると考えます。専門課程であるにもかかわらず、4年間も学びながらほとんどフランス語が使えない学生を生み出すという悲しい現状からの脱却を真剣に考えるときが来ているように思うのです。
地域で育む国際交流の力-フランス語が繋ぐ世界への道-
安齋 有紀(島根大学)
私が島根大学に着任して今年で7年目。この地を通して、私自身のフランス語との関わり方が緩やかに、そして心地よいリズムで広がっているのを日々感じる。例えば、社会人に公開している授業では様々な職種の方と出会うのだが、彼らは学外でもフランス語の勉強会を開くほど学びへのモチベーションが高く、好奇心旺盛な眼差しでアドヴァイスを求めてくる。少数ではあるが、仏検受験者としてその方々を会場で迎えるのは感慨深いものである。
実は、そこで出会った方から島根県はペタンクが盛んだという話を聞き、以前からペタンクに興味があった私はついに松江で初投げの日を迎えた。練習場所に行ってみると、風情あるお寺の敷地内で60~80歳ほどの方々が元気に「bien!」と声を出し合っている。その光景に衝撃を受けると同時に、この地に不思議な縁を感じた。
また、お隣の鳥取県境港ではクルーズ船が寄港すると数時間ほど近隣を観光するのだが、乗客にフランス人がいる場合は「おもてなしフランス語」と題し、ボランティアでアテンドのお手伝いができる方を募っている。ある時、フランス語専攻の学生にボランティアをお願いできないかと地域の方から声をかけていただき、数名が参加した。後で学生から聞いたのだが、教員以外のフランス人と初めてぶっつけ本番で接したのだから、それはもう世界が変わるような日になったらしい。興奮して語る学生の姿に、こちらの方が興奮してしまった。さらに、趣味で続けている音楽活動の場でもヨーロッパの演奏家と交流する機会がこの地に来て増えた。そこで大いに活躍しているのがフランス語である。フランス語圏の音楽家はもちろんのこと、ドイツやイタリアの音楽家もフランス語を流暢に操るので、私がフランス語を話すと知ると喜び、以来彼らとはフランス語でやりとりをしている。
地域でのこうした豊かな繋がりから、フランスを共通項として知り合った方々と地域の国際交流活動の橋渡しができればと2年前に島根県日仏友好協会を立ち上げることになった。教員の立場としても、国際交流活動に関心がある学生のために、先のおもてなしボランティアのように学外でも語学力を活かせる道をつくれないかと、協会や地域の方々と情報交換をしたところ、素晴らしいご縁に巡り会えた。出雲市観光パンフレット「フランス語版」の作成である。
このパンフレットについてここで少し紹介したい。近年、島根県内の自治体においては多言語に対応した観光案内事業が進められており、特にフランスからの観光客のジワリとした増加に伴い、フランス語版での交通案内や博物館の解説作成、通訳ガイド養成が注目されている。そこで、Evianと姉妹都市でもある出雲市の魅力をフランス人観光客に向けて紹介し、誘客を推進しようと出雲市経済環境部観光課インバウンド推進室と協働で、外国人・地元の学生の目線でフランス人観光客の心に響くような新しいタイプの観光パンフレット作成プロジェクトが始まった。
研究室の学生と協定校であるリヨン第3大学からの留学生が市および観光協会と共に現地を見学し、観光地の選定、掲載内容、コメントの仕方について協議を重ね、フランス語による紹介文の作成と現地情報の翻訳作業を経て今年の3月に完成した。ヨーロッパの観光で関心の高い「体験型」の観光案内(坐禅体験、窯元見学、ガラス細工作り、藻塩作り、機織り体験、醤油テイスティング、酒蔵見学、古い街並の散策、漁村での遊覧船体験など)を多く取り入れ、既存の観光パンフレットには掲載されていない観光スポットの紹介と学生たちによる感想・コメント(LINE風)を中心に仕上げた。この活動は、留学生にとって地域の文化を通して日本文化に対する理解を深め、自分の国に向けてその魅力を発信する機会となり、日本人の学生にとって学んだ語学を大いに活かしつつ、地元の観光団体や企業との連携を通して観光客誘致・インバウンド推進を目指す地域の在り方について具体的に学ぶ機会となった。地域という最も身近な場で国際交流活動を実践できたのである。
出雲観光初心者の私も学生たちと一緒に観光地を巡ったのだが、学生たちが伝統工芸の体験に真剣に取り組む姿や、博物館で古代史や仏像について熱心に質問をする姿は大学では決して見ることのない姿であった。さらにその内容をフランス語で紹介するに至ったのだから、本当によく頑張ったと改めて思う。また、留学生が説明を理解していないときには、日本人の学生が自分の引き出しにあるvocabulairesを駆使して対応していた。こういう場面を黙って見守ることができたのは、教師として素直に幸せである。そして、この見学で特に印象に残った光景がある。一畑薬師での坐禅体験である。何よりも坐禅を組む日仏の若者たちの凜とした美しさに圧倒された。その若者たちの姿は、国際交流の未来を映し出しているようにさえ私には感じられたほどである。

この活動以来、授業でも学生たちの学ぶ姿勢に変化があらわれている。大げさに思われるかもしれないが、明らかに学生の目の輝きが今までとは違う。そのような嬉しい変化を感じている中、パンフレット作成でお世話になった出雲市の観光課と印刷会社の方々と遅ればせながら完成打ち上げ会を開き、半年ぶりの再会を果たした。半年前は控えめに接していた学生たちが、それぞれに進路や将来の夢について力強く語り、堂々と受け答えをする、その逞しい姿に驚きと嬉しさと希望を感じたというメールを市の方からその翌日にいただいた。彼らの成長を感じたのは教員である私だけではなかったのだと思わず涙が溢れた。
最近開催したオープンキャンパスでも、高校生に大学でのフランス語の勉強や語学を活かした自分たちの国際交流活動、進路について自信をもって語る学生たちの姿があった。こうしてさらに若い世代へと彼らの力が引き継がれていくのだなと、学生たちの存在が新たな道しるべとなって次世代を世界へ繋いでいく様子を思い描いた。これからも、若い力と地域の力を合わせて国際交流の芽を育み、共にその道を開いていかれるよう、この地でフランス語と共に緩やかに歩んでいくのが楽しみである。
「仏検だより」を更新しました
立教大学と仏検 新たなステージに向けて
澤田 直(立教大学)
地域で育む国際交流の力-フランス語が繋ぐ世界への道-
安齋 有紀(島根大学)
過去問題サンプルを公開しました
過去問題サンプルを新たに公開しました。
2011年度(1級は春季、準1~5級は秋季)の実施問題をご紹介しています。
1次試験に加えて2次試験の問題もアップしました。
問題形式の確認やレベルチェックにご活用ください。
※2008年問題サンプル(2015年より公開中)も継続してご覧いただけます。
仏検インターネット申込 お取り扱いの一時停止について
仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、
以下の期間中、各種お取り扱いを一時停止いたします。
※期間中は申込システムへのアクセスが不通となります。
※お申込完了後のコンビニ店頭でのお支払いは可能です。
※作業の進捗状況により、終了時間は前後する可能性がございます。
仏検インターネット申込 お取り扱い一時停止期間
対象 : インターネット申込システムでのID取得・出願情報入力、
マイページでの各種操作
停止期間 : 2018年9月10日(月)AM 1:00 ~ 7:00
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。
2018年度秋季試験 受験案内を更新しました
2018年度秋季試験 受験案内を更新しました。
・年間実施日程・受付期間
・受験票・結果通知発送予定
・受験地と受験級
・検定料
・試験時間
・パリ会場受験
郵送申込用の願書・受験要項の無料送付をご希望の方は請求フォームに必要事項をご記入ください。
なお、仏検では、前回・前々回(2017年度秋季・2018年度春季)に出願された方を対象として、予めお名前等を印字した願書・受験要項をクロネコDM便でお送りしております(8月下旬発送予定)。
「合格者の声」を更新しました
<8月7日更新>
第5外国語は独学で
2017年度秋季 準1級合格 在日フランス商工会議所賞
小島 圭以(学生(早稲田大学大学院)・東京都)
<8月1日更新>
Surpriseが大きなモチベーションに
2017年度秋季 準1級合格 在日スイス大使館賞
小西 和美(会社員(ピー・エム・シー株式会社)・東京都)
第5外国語は独学で
2017年度秋季3級合格・在日フランス商工会議所賞
小島 圭以
学生(早稲田大学大学院)・東京都
「趣味は語学」とまで公言する私にとって、フランス語は大学院進学と同時に着手した第5外国語で、初めて完全に独学で勉強している言語です。
中学高校時代を過ごした米国(第1外国語は英語でした)で出会ったスペイン語(第2外国語)がきっかけで語学の面白さに目覚め、そのままラテン語(第3外国語)も同時履修し、帰国して大学に入学してからはドイツ語(第4外国語)の授業を受講していました。目標としていた独検2級に学部4年の冬に合格し、新しい言語の勉強に移りたいと考えましたが、興味のある言語は多く、どれにしようかしばらく悩んでいました。そこで博識な知人に相談したところ、「フランス語がいい。習得に努力は必要となるが、社会に出てから絶対に得する」とアドバイスをいただきました。私自身、フランス語は早かれ遅かれ通ることになる道だろうと以前から感じていました。
理系ということもあり、周囲からは多言語を学ぶ楽しさを理解してもらえないことも間々あります。そのような中でも何故語学の勉強をやめられないのか、と言いますと、それぞれの言語の性格を知っていくことで、これまで知らなかった世界を垣間見る感覚がこの上なく楽しいからです。
人間同様、言語にはそれぞれの個性があります。例えば、フランス語の姉妹であるスペイン語はとても「素直」な一面があり、個人的に好感が持てます。それに対して、フランス語は綴りを「無駄遣い」しますし(beaucoupが「ボク」、qu’est-ce que c’estが「ケスクセ」にしかならないなど)、母音の読み方が「我が道を行く」が如く変化していきますし(“e”一つ取っても、[e] [ɛ] [ə]の可能性があったり、“im”や“in”が「アン」になったり)…人間に例えるなら、少し距離を置きたくなるような「ちょっと面倒な人」だと感じてしまうのが正直なところです(笑)。しかし、そんな言語だからこそ自由に操れるようになってみたいという気持ちに火を付けてくれる魅力もあります。
このような発見、フラストレーション、やる気のアップダウン、などを繰り返しながら、僅かな割合ですがフランス語は私の生活の一部となっています。ただ、語学好きとは言え、フランス語圏に行きたいなどといった強い動機がない私のような独学者にとって、常時勉強のモチベーションを維持することは簡単ではありません。そのような状況で、仏検は道を指し示してくれる友のようでもあり、油断すると怠けてしまう私の尻を叩いてくれる一方で結果を出せば褒めてくれる親のようでもあり、フランス語を独学する上で私にとってなくてはならない存在です。
私は2019年3月に大学院を修了し、4月からとある日系グローバル企業に就職する予定です。今や多くの企業で英語力が重視されていますが、それでも依然として日本人は英語を苦手とする人が多い傾向にあると感じています。ただ、これが理由で語学そのものに抵抗感を持ってしまうのはもったいないと個人的にとても思います。フランス語含め、様々な面白味のある言語が世界にはあるからです。
知人の言葉通り、フランス語は確かに習得に努力が必要な言語だと思います。けれども、語学を通して私が見る世界をさらに広げてくれたことに間違いありませんし、とても良い出会いだったと確信しています。今後も、現状に満足することなく、より上の級の合格を目指して邁進していきたいです。
Surpriseが大きなモチベーションに
2017年度秋季準1級合格・在日スイス大使館賞
小西 和美
会社員(ピー・エム・シー株式会社)・東京都
私がフランス語検定の存在を知ったのは2017年9月のことでした。
大学でフランス語を専攻し、卒業後フランスの銀行、フリーランス通訳を経て、現在は日本でビジネスを展開するフランス企業のコンサルタントを行う企業に勤めています。
フランス語を使って日仏間の交流に貢献したいと考え、今日まで仕事を続けてきました。そして年を重ねた今、現在勤めている会社を退職した後もフランス語を使って仕事をしたいと思い、そのためには自分のフランス語の能力を客観的に評価・証明してもらう必要があると考えました。そこで知ったのがフランス語検定でした。一番近い時期に受験できるのが秋季試験でした。さて、どの級を受験すればいいか。そこで2級と準1級の過去問題を解いてみたのですが、2級は容易であったために、準1級に挑戦することにしました。
まずは1次試験です。筆記試験は過去問題集をひととおり解いてみて、自分の弱点がどこにあるかを考えました。私の弱点はあきらかに形容詞・動詞を名詞化することだったので、そのための参考書を購入し勉強を始めました。そしてヒアリングの能力をアップさせるために、お昼休みにインターネットでフランスのテレビ局のニュース番組を観始めました。そんな時、知り合いのフランス人からラジオをスマホで聴いたらどうかとのアドバイスが。早速、Bluetoothイヤホンを購入し、通勤途中そして家で料理や掃除をしながら聴き始めました。
こうした試験勉強の甲斐あって、1次試験に無事合格しました。
そして、次は2次試験です。時事的なテーマと一般的なテーマの2つから1つを選んで自分の意見を述べるということですが、私は最初から時事的なテーマを選ぼうと決めていました。お正月に家族にテーマになりそうな時事的な話題を数種あげてもらい、その中から3つを選んで試験の2週間前から、論理的に自分の考えが述べられるように準備を始めました。
実際の試験では、家族が挙げていたけれど私が選択しなかったテーマが出題されたのですが、日ごろから自分の意見を論理的に述べる訓練をしていたことが功を奏し、2次試験は思っていたより高得点で合格することができました。
準1級の2次試験が終わった次の日から、さっそく1級の試験の勉強を始めました。フランス語検定のための勉強ですが、ただそれだけではなく、試験勉強を通じて明らかに私のフランス語の能力はアップしています。フランス語は語彙、表現がとても豊かな言語です。今、私はフランス語を勉強することを楽しんでいます、また周りのフランス人の人たちとのコミュニケーションの質も高まってきています。
そして忘れてはならないのは母国語です。私たち日本人にとって母国語は日本語、どんなに勉強しても外国語が母国語を上回ることはありません。そして、外国語を上達させるためには、母国語の能力をあげることが必要だと思います。日本語で表現できないことをフランス語で表現することはできないからです。
1級に合格することが今の目標ですが、試験が終わっても今後ずっとフランス語を学び続け、大学を卒業する際に望んだ「フランス語を使って日仏交流に貢献する」という道を歩み続けていきたいと思っています。
* * *
追記:
合格証書が届いた3日後のことでした。APEFから一通の書簡が。次の検定試験の日程のご案内だろうと思って開封してみると、なんと成績優秀者表彰式への招待状だったのです。
このような賞があることを全く知らなかったので、“Surprise!”でした。
各級の成績優秀者の皆さんと表彰式に出席させていただけたことは、大きな歓びでした。
また式のあとのレセプションで、様々なバックグラウンドをもちフランス語を学び続けていらっしゃる方々とお話しできたことは私に“これからもフランス語の勉強をがんばろう”という大きなモチベーションを与えてくれました。そして、「1級も成績優秀者に選出されたい」と思うのでありました。
このような素晴らしい賞を授与してくださる関係機関の皆さまに心より感謝申し上げます。
APEF青山フランス語プロフェショナルコース 秋学期受講者募集のお知らせ
2019年度春学期 受講者募集のお知らせ
2018年度秋学期からの継続受講に加えて、全コースで新規受講者を若干名募集します。
受講資格をご確認のうえ、以下の要領でお手続きください。
春学期 受講申込方法
【受講申込期間】2019年2月25日(月)から3月18日(月)まで
※これからの受講をご希望の方はご相談ください。
● 継続受講の方
上記期間内に受講登録を終えてください。
● 新規受講希望の方
① 申込書(word)をダウンロードし、必定事項をご記入のうえ、cours@apefdapf.orgまでメール添付でお送りください。折り返し受講対象クラス、入学テスト受験の要不要などをお知らせします。
② 入学テストは下記の要領で実施します。
2019年度春学期 入学テスト 実施要領
●日時:2019年3月23日(土)11:00開始 16:00終了予定 ※30分前から入室可
<筆記試験>11:00~12:00 <面接>14:00時より順次(終了後順次帰宅可)
●会場:青山学院大学 青山キャンパス
●携行品:筆記用具、身分証
●受験料:3,240円(税込み)
※銀行振込(下記参照)による事前支払い
※いったん納入された受験料は一切ご返金いたしかねます
◎ 出願期間:2019年2月25日(月)から3月18日(月)まで
<入学テスト受験料 振込先 > みずほ銀行 九段支店(店番号532) (普)1805436 (口座名義)公益財団法人 フランス語教育振興協会 教育口 |
※入学テストの免除について
- 2008年秋季以降の仏検1級、準1級(および対応するDELF・DALF)取得者で、「上級フランス語」、「翻訳(基礎科・本科)」を希望される方は入学テスト免除になります。免除を希望される場合は、申込書をお送りいただく際に当該レベルの合格証書またはディプロムの写しを併せて提出してください。
- 「通訳基礎科・本科」を希望する方への入学テスト免除はありません。
③ 入学テストの結果はテスト実施後3日以内にメールでご連絡いたします。
④ 入学テスト合格者およびテスト免除*で受講決定の知らせを受けた方は受講登録にお進みください。
お問い合わせ
公益財団法人 フランス語教育振興協会 APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157 E-mail:cours@apefdapf.org |
公開講座「カミュ『最初の人間』をフランス語で読む」のお知らせ
当協会の元副理事長・加藤晴久氏(東京大学・恵泉女学園大学名誉教授)が、
9月27日から、恵泉女学園大学公開講座で
「カミュ『最初の人間』をフランス語で読む」
という講座を開講します。
関心のある方は恵泉女学園大学ホームページ
http://www.keisen.ac.jp/extension/
をご覧ください。あるいは下記にお電話ください。
恵泉女学園大学 公開講座担当
電話 042-376-8332(火~金 9:00-17:00)
2018年度 夏季休業期間についてのお知らせ
公益財団法人フランス語教育振興協会は、8月13日(月)より8月15日(水)までを夏季休業期間とさせていただきます。休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせは8月16日(木)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。
ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
豪雨災害による受験票未着/来場困難の対応について
このたび西日本豪雨により被災された皆さまに心よりお見舞いを申しあげます。
今週末7月15日(日)の実用フランス語技能検定試験(仏検)2次面接試験は、全ての会場で予定通り実施いたします。
以下に該当する方はご留意ください。
【受験票(1次試験結果通知)が未着の方】
1次試験結果通知は7月5日(木)に都内郵便局より発送を完了しておりますが、郵便事故等が発生している場合もございます。未着の方は7月13日(金)17:00までに仏検事務局までお問い合わせください。
インターネット申込を利用され、マイページの結果閲覧で試験会場と集合時間をご確認いただけた方は、受験票をお持ちでなくても、会場で写真付身分証(学生証、運転免許証、パスポート等)をご提示いただければ問題なく受験できます。
【2次試験会場への来場が困難な方】
個別のご相談は7月13日(金)17:00までに仏検事務局にお電話でお願いいたします。
試験前日・当日は、お問い合わせにはご対応いたしかねます。会場への直接のご連絡はご遠慮ください。
公共交通機関の運休や遅延等のため、ご来場いただけなかった場合は、7月17日(火)~24日(火)の間に、仏検事務局まで書面でお申し出ください(郵便/FAX/メールいずれも可)。そのさい、遅延や運休を証明する書類や画像等をできるだけ添付してください。
今後の対応につきましては、仏検実行委員会で検討のうえ、7月末を目途に書面で個別にご連絡いたします。
仏検事務局