フランス語を学ぶ環境づくり―大東文化大学でフランス語を学ぶ

野澤 督(大東文化大学外国語学部英語学科)

「フランス語の先生なのに英語学科にいるんですね」。私が自己紹介をすると、よくこのように言われます。たしかにフランス語の先生が英語学科に所属していることは不思議なことなのかもしれません。しかし、ここにはフランス語を教える上で大切なことが含まれていると私は考えています。

「英語学科所属のフランス語教員」のからくりを簡単に説明しましょう。英語学科1・2年生が学ぶ大東文化大学東松山キャンパス大東文化大学外国語学部には日本語学科、中国語学科、英語学科があり、私は英語学科に所属しています。英語学科には2つのコースが設置されています。様々な分野から英語をしっかりと学べる英語コースと、英語とともにフランス語またはドイツ語をしっかりと学べるヨーロッパ2言語コースになります。私はこのコースの英語とフランス語を学ぶ「英仏系」で主に仕事をしており、この特性を活かしたフランス語の学びを提供しようと心がけています。

大東文化大学では1学年でおよそ25名の学生が英仏系に登録し、日本人の先生とフランス語を母語とする先生とともに4年間フランス語を学んでいます。また、英仏系に所属していなくても、大東文化大学の学生は、学部を問わず、週1回から週3回のペースでフランス語科目を選択できるようになっています。さらには第三外国語として3年次からフランス語科目を履修し始めることも可能です。様々な形でフランス語を学び始めたり、学び続けたりできる学習環境を整えることで、複数の言語を学んでほしいという大学からのメッセージを発信しています。

複数の言語を学べる環境は大東文化大学の外国語教育の根幹をなしていると言えるでしょう。ここで大事な点は、英語の代わりにフランス語が学べるのではなく、英語とともにフランス語が学べるという点です。どちらかを選択するのではなく、英語もフランス語も学ぶことであらたに見えてくるものがあるのではないでしょうか。複数の言語を学ぶことは、言語を道具ではなく、文化として見ることに通じています。外国語を学ぶ目的の一つはコミュニケーションの手段を増やすことだとよく言われます。私もそう思います。運用能力を高めれば高めるほど人との交流の機会が増えるでしょう。しかし、それは単なる意味の交換にとどまらず、考え方やものの見方の変化へとつながっています。言語はその言語を使用する人や、その言語が使用されている社会がもつ文化や価値観と切っても切れないものです。外国語を学び、使うことは、自己とは異なる文化や価値観と接触することになりますから、その分だけ世界が広がると言えます。

実際、グローバル社会と呼ばれる現代社会ではもはや英語では対処しきれない問題を抱えています。問題に向き合うためには英語以外の言語を駆使して情報収集するだけではなく、その言語が使われている社会の習慣や文化、歴史的背景などにも通じていなくてはなりません。また、複数の言語を学ぶことは多角的に社会を観察する目をもつことと同義です。例えば、フランス語で発信されている情報へアクセスできれば、英語圏が発信する情報とは異なる視点を得ることができます。そこに母語を加えれば3つの視点がもてることになりますから、より相対的にひとつの事象を分析することができるようになります。大東文化大学のヨーロッパ2言語コースでは「読む」「書く」「聞く」「話す」という4技能の向上だけでなく、異文化との向き合い方も含めた外国語教育の実践を目指しています。

こうしたフランス語学習のあり方はなにも高等教育機関に限られるわけではありません。近年でも200校を超える中学や高校でフランス語科目が設置されていると言われていますし、実用フランス語技能検定試験に挑戦する高校生以下の年齢層も少なくありません。国境や言語による区分が意味を持たない現代社会、――こうした社会はどこか遠い国の話ではなく、日本でもすでに見受けられます――、で生きる力を培い、異なるものや人への寛容さをもつためにも、中等教育レベルで複数の外国語を学べる環境を整えることは非常に意味があることです。さらに言えば、学びは一生ですから、世代にとらわれることなく、こうした視点からの外国語の学びがあってもよいのではないでしょうか。

語学学校では老若男女を問わずフランス語を学んでいます。学校へ行かずとも、多くの方がラジオやテレビの講座で複数の言語を学んでいますし、独学でフランス語を勉強し、フランス語で書かれた本を読んだり、フランス映画を鑑賞したり、インターネット上でフランス語のニュースを聴いたりしているでしょう。そこから世界が広がっていきます。だから私たちの身近にフランス語に触れられる機会があり、学びたいと思ったときに学べる環境があることがとても大事なのです。仏検などの検定試験もその一翼を担っています。学びの到達度を確認するために仏検を活用している人は多いですし、検定合格が次の学びのステップへと後押ししてくれます。学び続けることでますます世界は広がり、様々な人と出会えるわけですから。

「まいにちフランス語入門編Sautez le pas !」の講師陣

フランス語の学びを介して人と人とがつながっていく環境を作ることはフランス語教育に携わる者の使命です。つながりを生み出す力こそがことばがもっている力だと伝えたいと思っています。私が担当したNHKラジオ講座「まいにちフランス語」では、入門編ではありますが、話し相手を意識してフランス語を使うことを目標に掲げました。相手がいてこそのことばであり、ことばは他者とともに行動するためにあるというメッセージを届けたかったからです。

教室、ラジオ、検定試験など、フランス語の学びの形は様々で、学びの目的も人それぞれです。しかし、一つ確かなことがあります。それは、フランス語を学んでいる人たちは色々な人と出会い、交流し、ともに生きていく、ということです。大仰なことかもしれませんが、他者とともに生きていることをイメージできるようなフランス語の学びの場を学生たちと築いていきたいと考えています。

 

第2外国語として、あるいはお試しで――都立高校でのフランス語

大熊 陽子(都立高校フランス語準常勤講師)

東京都立高校で、フランス語を教える。

私は、東京都・準常勤講師。フランス語を教えに、朝から夜まで東京都内方々の高校に赴いています。まずは、私の仕事の概要について、みなさんにご紹介します。

東京都の非常勤講師はふつう時間講師と呼ばれますが、通年で12コマ以上担当すると準常勤という区分になります(待遇が良くなります)。フランス語の授業は、他の英語以外の言語と同様に、全日制(普通科・総合学科)・定時制・中高一貫校といった様々な高等学校で開講されていて、大体週1回で2コマ連続です。しかし、学校によって設置のされ方は異なります。自由選択科目として(いくつかの科目の中から選ぶか、追加で履修する)だったり、必修選択科目としてだったりします。2018年度は8校・16コマ。受講希望者が毎年増減を繰り返し、年度ごとに実施時間・曜日が変更することもあって、毎年コマ数も場所も何かしら変わります。他の方の産休や研修で、年度中でも臨時に授業を持つこともあります。また、学校行事によって授業がない週も(短縮になることも!)ありますから、スケジュール管理には注意を払います。

授業そのものも、それぞれの学校によって様々です。スタイルが大きく変わるのは、ALT・外国語指導助手がつくか否かです。それも、毎時間・年間で数回・全くつかないなどいろいろです。他にも、受講学年(単一学年か、複数学年混合か)や、実際の授業回数(月曜と水曜では年間で2桁もの差が)、成績のつけ方(絶対評価か相対評価か)など、学校による違いは枚挙に暇がありません。特に留意すべき違いは、それぞれの学校・それぞれの学年でそれぞれの雰囲気があること、そして、生徒たちのポテンシャルやモチベーションもまたそれぞれだということです。前者は授業の進め方に直結するポイントです。授業中、指示を出さなくても発音するのがふつうの学校もあれば、促しても発音を繰り返さない生徒が多い学校もあります。これは経験上、大学や専門学校の授業でもありえますから、最善を尽くすだけです。悩ましいのは、後者です。高校選択の決め手がフランス語を学べることだったという生徒、将来希望する進路のために学ぶ生徒、空きコマに出来ないので仕方なく受ける生徒、友人が取るので合わせた生徒などが混在しています。ここから共通項として導いた目標が、とにかくフランス語を楽しんでもらうこと。そこから欲を出して、いくつかの学校で「フランス語を1年学んだ証」として「秋季で仏検5級を取得すること」を勧めています。受検を強制することは出来ませんが、学校によっては検定に合格することで卒業単位に互換してもらえるところもありますし、何より明快な設定だと思っています。

仏検 5 級を目指して

ここからは、仏検5級取得に向けた授業について具体的にお話しします。教材は、11月半ばまで仏検一直線の内容のプリントです。余白をたっぷり取ってあるので、自分だけのノートを作るよう促しています。焼き鳥屋さんのタレのような、私のプリント 週に1度あるかないかの授業の中で、詰め込みにならないよう、急に難しくならないよう、いかにして定着させるかが課題です。ですから、生徒ひとりずつの作業として、発音や問題の回答をひとりずつやってもらったり、文法的な規則を出来る限り生徒自身で考え見つけるようにさせたり、私だけが発信する授業ではなく、皆を巻き込む授業を心がけています。定着のためには、アウトプットが肝要です。そして、実際に出来た!の積み重ねが、フランス語と親しくなる確かな方法だと考えます。

毎年変わらざるをえないのは、進度です。これは、授業実施数や生徒たちの定着具合によるので、仕方のないところです。とはいえ、夏季休暇までに冠詞類とêtre, avoir, 第1群規則動詞の活用は扱います。単語集も渡しておけば、休暇中の課題として仏検5級の筆記[1]・[2]・[5]番の練習が出来るからです。折角の今までの学習をリセットさせたくないので、この課題にはきちんと取り組んでもらいます。9月以降に5級の範囲を進めていって、10月末には受検希望者を中心に過去問に取り組んでもらいます。本当は授業中全員に過去問にトライしてもらいたいところですが、近年は授業実施数が減少傾向です。そして、受検者の数は増減を繰り返し続けていますが、殆どの受検者は合格出来ています。12月の試験では5級に準じて出題していますので、受検しない生徒でも5級相当の力はついている筈です。

ちなみに、その後は旅行会話の練習を中心にしています。日常会話ができるようになりたい、旅行に行ったときに困らないようにしたいという声はやはり多いです(日常会話とは何ぞやとは思いつつ)。

約1年間フランス語を学んでみて、生徒たちの感想もいろいろです。「初めてフランス語を教えてくれたのが、先生でよかった。いろいろなことに興味を持てるようになった」と言った生徒がいます。事実、フランス語を続けたい生徒も、フランス語を続けない生徒もいます。どちらにしても、フランス語そのものだけでなく、私が授業で伝えるあらゆることから、生徒たちは学び、刺激を受け、自分の力に変えていきます。だから、私は自分の仕事の本質は「種を蒔くこと」だと思っています。フランス語を続ける生徒も、続けない生徒も、皆まとめて私の大切な子どもたち。フランス語や私の授業を通して得た何かが、いつか素敵な実を結んでくれたらと願っています。

毎年100人以上の生徒と出会い、彼らの多感な時期に寄り添えて、ほんとうに尊い仕事をしていると実感しています。何が誰の琴線に触れることになるかわかりませんから、私自身がまずは成長し続ける存在でありたいです。最後の授業 実を言うと、フランス語の講師になることは、私の長年の夢でした。中学生の時にフランス語と出会ってから、苦しんで楽しんで、時に本気を出し、時にサボって、それでもずっとフランス語と一緒でしたし、フランス語を通して得た経験は語り尽くせません。こんな私だからこそできる授業があるのだと信じています。新しい生徒たちとの出逢いを心待ちにしながら。

大型連休期間の休業についてのお知らせ

公益財団法人フランス語教育振興協会・仏検受付センターは、大型連休に伴い、4月27日(土)~5月6日(月)を休業期間とします。つきましては、休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせが5月7日(火)以降のご対応となりますことをご了承ください。

また、翻訳サービスにつきましては、連休直後に複数のご依頼が重なり、通常よりも翻訳工程に日数を要する場合が想定されます。

ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2019年度春季試験 受験案内を更新しました

2019年度春季試験 受験案内を更新しました。

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年間実施日程・受付期間
受験票・結果通知発送予定
受験地と受験級
検定料
試験時間
パリ会場受験

  郵送申込用の願書受験要項の無料送付をご希望の方は請求フォームに必要事項をご記入ください。

なお、仏検では、前回・前々回(2018年度春季・秋季)に出願された方を対象として、予めお名前等を印字した願書・受験要項をクロネコDM便でお送りしております(3月22日発送済)。

3月22日(金)表彰式による通常業務の休業について

公益財団法人フランス語教育振興協会は、文部科学省後援実用フランス語技能検定試験(仏検)2018年度成績優秀者表彰式のため、3月22日(金)の通常業務を休業とさせていただきます。

仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせは3月25日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2018年度 年末年始の休業期間についてのお知らせ

公益財団法人フランス語教育振興協会は、2018年12月29日(土)より新年1月6日(日)までを休業期間とさせていただきます。

仏検・翻訳・教育の各業務についてのご依頼・お問い合わせは1月7日(月)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。

ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2018年度秋季仏検 準1級 配点に関する誤植について

2018年11月18日(日)に実施された仏検秋季1次試験・準1級筆記試験におきまして、問題冊子に記載された配点に誤りがありましたので下記の通り訂正いたします。

 準1級 筆記試験問題冊子6ページ 大問[5]

【誤】 配点 10  ⇒  【正】 配点 5

本件による採点処理や合否判定の手続きに変更はありません。

仏検実行委員会 

第26回 動詞に強くなるには?(中級)

慶應義塾大学准教授 川村 文重 

 

今回のコラムは、中級レベルの動詞問題の試験対策をテーマに取り上げます。

Quel beau temps ! (なんていい天気だろう!)のような感嘆表現を除けば、どんな文にもかならず動詞がひとつ以上含まれます。 従属節や関係節をともなえば、それらの節にも動詞が入っています。通常、抽象性の高い論理的な文章では、動詞よりも名詞表現に情報量の比重が多くかかります。それに対して、日常の平易な文章では、使われる動詞がバリエーションに富み、動詞が何を言おうとしているのかがわからなくては、全体の意味やニュアンスがつかめなくなります。動詞が文章全体の基礎を作っていると言ってもよいでしょう。

ところが、この動詞の理解が初級・中級レベルのつまずきの石となるのも事実です。ご存じのとおり、フランス語の動詞には、①意味②時制③叙法(直説法・条件法・接続法・命令法)といった情報が含まれています。②と③は語尾変化で示されます(時制については第23回第24回の林先生の解説に詳しいですから、読み返してください)。往々にして、初級・中級学習者は②と③をおろそかにしがちです。

その証拠に、中級レベルに相当する仏検3級と準2級試験の過去のデータを見てみましょう。長文問題は選択問題ということもありますが、つねに高い正答率をマークしているのに対して、記述式の動詞問題の正答率は軒並み低調です。たしかに、動詞問題の配点がそれほど高くはありませんので、実際の試験で長文問題を得点源にすれば、動詞問題がたとえ全問不正解だとしても、合格が可能かもしれません。しかし、より長く、より複雑な内容の文章が正しく読めるようになるには、②と③をおろそかにし、活用がマスターできていないと、そのツケがあとになって響いてきます。なかなか上の級に進めないという受験者は、ここでつまずいている可能性が高いと思われます。

                

3級と準2級の動詞関連の問題は、やはり、その意味を問うためだけに出題されてはいません。動詞の①意味を当然知った上で、 ②時制③叙法を判別して、正しく活用できるかどうかが試されています。①、②、③の3つのポイントをすべてクリアしなければ正解にいたれないわけですから、かなり手ごわいですね。しかも、記述式ですから、活用がうろ覚えでは対処できません。つづりを正しく書く力が問われるようになるのが、初級レベルに相当する5級と4級との大きな相違のひとつです。では、最近出題された、正答率の低かった問いを実際に解いてみましょう。 2018年度春季3級問題[2]番からの抜粋です。(   ) 内の動詞を必要な形にします。

— Alain, on est où ? C’est encore loin ?
— Désolé, je (se tromper) de route.

Alain に質問している人は、Alain といっしょにある目的地に向けて進んでいるはずが、どれほど進んだのか、本当に進んでいるのかわからなくなっています。それを受けて、Alain は désolé と謝り、代名動詞 se tromper が続きます。どうやら、Alain は質問者を乗せて車を運転しているか、あるいは、質問者を先導して道を誤ってしまったようです。

先にあげた①、②、③の3つのポイントを順に確認していきましょう。まず、①意味は、 他動詞 tromper (〜を誤らせる)に再帰代名詞 se がついて、〈自分自身を誤らせる〉、すなわち、〈誤る〉。〈〜を誤る〉は se tromper de+無冠詞名詞です。

次に、②時制はどうでしょうか。この会話の時点で、Alain は道を誤るという行為を継続している(現在時制)でしょうか。それとも、Alain が道を誤るという行為をしてしまったために(過去時制)、その結果、本来のルートからはずれた状態にあるということでしょうか。これは後者の複合過去を選ぶのが妥当です。それに、Alain が謝っているのは、謝らなければならない原因である〈道を誤る〉という行為がすでになされてしまったからです。

最後に③叙法ですが、Alain は事実だと判断して述べているか、あるいは、断定を避けた推測(=道を誤ったかもしれない)によって述べているかのいずれかですから、前者なら直説法、後者であれば条件法です。

というわけで、代名動詞が複合時制になると、助動詞は avoir ではなく être を用い、再帰代名詞 se は主語の人称と一致させますから、正解は me suis trompé(直説法)、あるいは me serais trompé(条件法)です。もし Alain ではなく Marie が語っているなら、過去分詞が女性形になりますから、 me suis trompée あるいは me serais trompée になります。ちなみに、最も多かった誤答は、me trompe でした。

    

次は、2018年度春季準2級筆記問題[3]番からの抜粋です。ただし、実際の問題では小問5つに対して8つの動詞が選択肢として提示されますが、ここでは、ひとつの小問に対して動詞の選択肢を3つにしました。AとBの文がほぼ同じ意味になるように、単語を語群から選んで、必要な形に直します。

A  Il n’y a plus de vent.
B  Le vent (   ).
————————————————
   cesser   être   plaire    

正解は a cessé です。最も多かった誤答は cesse でした。現在形にした誤答が多かったのは、Bの時制をAと同じ時制にしておけばいいと安易に処理した結果でしょうか。いずれにせよ、多くの受験者は動詞 cesser を選ぶことはできていました。①意味の段階は一見クリアしたかのように見えます。では順に見ていきましょう。

Aの文は ne… plus 〈もはや〜ない〉という否定表現ですから、〈(それまでは風があったが、)今ではもう風が止まっている〉ということです。現在形の文ですが、過去の状態に関する情報が暗に含まれていて、その過去と現在との違いが浮き彫りになっています。とすると、Bの文も同様に、過去(風が吹いていた)と現在(今は風は吹いていない)の違いが示されていなければなりません。Bの動詞 cesser を現在形にすると、現在の状態(風が止んでいる/凪状態だ)のみの情報を伝えることになり、不適当です。この点が、②時制の見極めポイントです。つまり、過去と現在の情報を同時に示す表現の理解です。

ここで、複合過去の用法を確認しておきましょう。複合過去は何らかの出来事や行為が起こり、終わったことを述べたり、〈〜したことがある/ない〉といった過去の経験を述べたりする時に用いられます。ですが、それだけではありません。過去に完了した行為を現在との関連で表しもします。例えば、Paul est parti は〈ポールは出発した〉と訳せますが、この文には〈(出発したから)もうここにはいない〉という現在の状態を暗に示しています。

これを踏まえると、自己紹介で出身国を言う表現が、je viens du Japon であって、je suis venu(e) du Japon が誤っているのはなぜか分かりますか。毎年11月第3木曜日にボージョレー地区の新酒が解禁されますが――仏検秋季1次試験の直前ですね。受験者のみなさん、飲みすぎないように!――、その宣伝文が le Beaujolais nouveau est arrivé ! であって、le Beaujolais nouveau est venu ! ではないこともお分かりですね。ここで用いられる動詞 venir の意味〈来ている〉は行為の開始と終結が同時になされる完了を表す動詞ではありません。一方、arriver は到着という行為が行われた時には到着は完了していますから、継続を表す venir とタイプの異なる、完了を表す動詞です。このあたりの動詞の理解は、①意味②時制の両方の深い理解に関わっていることがお分かりになると思います。

では上の問題に戻りますと、その正解が cesser の複合過去になるのは、もっと言えば、複合過去でなければならないのはなぜか、もうお分かりですね。動詞 cesser は完了タイプの動詞であり、その複合過去は、〈それまでは吹いていた風が止んだので、もう風は吹いていない〉、つまり、過去と現在が暗に対比されています。これは、先に解説した複合過去の用法の最後に挙げた、過去の行為が完了することによって現在に影響を及ぼしていることを表す用法です。AとBの文を比較すると明らかなように、同一内容のフランス語の文は必ずしも、同一の時制をとるとは限らないことに注意しましょう。

    

さて、何段階にもおよぶチェックポイントをクリアして、危なげなく正解にたどり着けましたか。現在形か複合過去か迷いはしたけれど、この解説を読んで納得できたというレベルにある人は要注意です。解説が〈わかる〉と実際に〈解ける〉との間には相当の隔たりがあります。これを埋めるにはどうすればいいでしょうか。たくさんの問題を解いていれば、おのずと身につけられるようになるでしょうか。それもひとつの方法ですが、筆者はあまりお勧めしません。筋道を立てて正解にいたることができ、それを自力で解説ができるようになるまで辛抱強く、ひとつひとつの問題にじっくり取り組みましょう。また、文章を読む際には、文中に出てきた動詞がなぜこの時制で、この叙法なのかすらすらと説明できるようになるまで、文法書を読み返したり、先生に尋ねたりして疑問を氷解させましょう。

                

最後に、聞き取り・書き取り問題の対策にふれます。この問題では動詞を正しく聞き取り、書き取れるかも重要なポイントのひとつです。動詞は多くの場合、文のなかほどに位置しています。また、たった一音節で発音されたり、メリハリなく発音される動詞も多く、それに、主語の人称代名詞などとリエゾンやエリジオンすることもあります。一生懸命耳を澄ましても、検定試験という緊張状態にあっては、動詞が耳からすり抜けてしまう――動詞は実に受験者泣かせの単語です。

どうすれば、動詞を聞き逃さないようにすることができるでしょうか。とにかくひたすらフランス語を聞いて、耳を慣らすことに努めるべきでしょうか。たしかに耳を慣らすことは重要ですが、まずは動詞を確実に捕まえることをめざして聞くようにしてみてください。動詞部分を意識的に集中して聞くことで、早口言葉のように怒涛に流れる錯綜した音の束のようなフランス語の文が、徐々にほぐれて聞こえてくるようになるでしょう。聞き逃しやすいケースには一定のパターンがあるはずです。どういった時に動詞を聞きもらしやすいか、自分の弱点を把握しましょう。そうして、①意味②時制③叙法の段階をクリアして、瞬時に正しく活用できるようになれば、しめたものです。

結局は、フランス語学習に王道なし、ということに尽きます。ただし、やみくもに取り組むのではなく、〈量より質〉を重視する地道な学習が上級への確実な橋渡しになるはずです。

 

『仏検公式ガイドブック』 誤植のお詫びと訂正 (準1級)

『2018年度版仏検公式ガイドブック 準1級』および『2017年度版仏検公式ガイドブック 準1級』に誤りがございました。謹んでお詫びし、訂正いたします。

■2018年度版 準1級
31頁 解説2行目
【誤】(2)(4)(5)が動詞だということがわかります。
【正】(2)(4)(5)が名詞だということがわかります。

■2017年度版 準1級
27頁 解説2行目
【誤】(2)(4)(5)が動詞だということがわかります。
【正】(2)(4)(5)が名詞だということがわかります。

美しいコミュニケーションを極める

2015年度秋季2級合格
小出 智子
会社員・東京都

私がフランス語を学ぼうと決意したのは、12歳のときにミュージカル「レ・ミゼラブル」を観て、フランス文学の面白さに目覚めたことがきっかけです。中高時代は、図書室にある『レ・ミゼラブル』に関する日本語書籍や、その他の邦訳された19世紀フランス文学を読みふけりながら、早く大学で本格的にフランス語を学びたいと胸を高鳴らせていました。

大学受験の際、迷わずフランス文学が専攻できる学部を選びました。英語よりはるかに複雑な文法や発音に圧倒されましたが、だからこそやりがいを感じ、毎日フランス語の授業が楽しみでなりませんでした。そして、更に主体的な学習がしたい、本場フランスにも足を運びたいと考え、大学2年の春にパリの語学学校に短期留学をしました。仏検5級取得直後のことでした。

paysage現地の方とのコミュニケーションに苦労しましたが、初めて自らの目で見るフランスは実に刺激的で、私はますます勉強の虜となりました。その後は日本でもコミュニケーション能力を培うべく、フランス人の家庭教師についたり専門学校へ通ったりして、大学4年生の夏に2級を取得しました。その年はブルゴーニュ大学の夏季講座に留学し、多くの留学生の方と交流をしました。相変わらずフランス文学への情熱は衰えず、この時は観光もせずに寮の自室で卒業論文の対象となる原書を読み耽る日々でしたが、こうした短期留学の経験を通し、文学内だけではない、フランス語の魅力をより感じることができたと思います。

将来を考える時になり、私が真っ先に考えたのは、大好きな語学を使う仕事がしたい、ということでした。フランス文学への情熱があまりにも大きすぎた私は、語学自体に対する学習意欲を理解されなかったこともあります。しかし、自身のフランス語との向き合い方を考え直してみたときに、フランス語は文学を読解するためのツールではなく、より深いコミュニケーションの根幹となっているもの、文学を介さずとも、積極的に学び、極めていきたいものであると再確認しました。

就職活動では、グローバルな環境に身を置ける仕事に狙いを絞って活動を行いました。英語は話せて当たり前、という厳しい条件が課されていましたが、その中でも第2外国語が話せるということは大きな武器になりました。特にフランス語は文法が難しいことは未修者にもよく知られているため、大学生から本格的に始めて英語と同等のスキルを身につけたという根性が、一番のアピールポイントになったと思います。

これからはビジネスの現場でもフランス語を使っていくことになります。大学での学びを活かせる仕事に就けることは、大変恵まれたことであると思います。どれだけ海外とのやり取りが円滑に進んだとしても、自分が一学習者であることも忘れず、驕り高ぶらず真摯にコミュニケーションを学び続けていきたいです。言葉は、使い方次第では人を不愉快にさせることもあり、またはいつまでも心に残る、豊かな言葉を投げかけることもできます。だからこそ私は、常に相手と良い関係が築ける、美しいフランス語を使い続ける人間になるために、今後もフランス語という学問に向き合い続けたいと思います。

L’homme ne doit être gouverné que par la science. 
                    ― Victor Hugo, Les Misérables
人は学問によってのみ支配されるべきである。
                    ― ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』より

 

第25回 2級語彙問題の攻略法(中級)

慶應義塾大学准教授 井上 櫻子 

 

筆者の勤務先の大学では、仏検2級取得を目指す学生がかなりいます。学内の交換留学制度への応募資格が仏検2級以上となっているという事情もあるのですが、2級であれば履歴書の資格欄に記載できるからと考える学生も少なくないようです。しかし、いざ受験対策を始めてみると多くの学生が2級の語彙問題を取り組みくいと感じるようです。そして実際、試験実施結果をみると、全般的に語彙問題の正答率があまりかんばしくありません。ここでは特に、2018年度春季2級1次試験筆記問題2番を例に、どういったところにつまずきやすいのか、みていくことにしましょう。


                  

あたえられた日本語の文が表わす意味になるよう、(   ) 内にもっとも適切な語を1語入れるという問題です。

(1) Ce n’est un secret pour (   ).
  みんな知ってるよ。

(2) Cette région ne (   ) pas de charme.
  この地方はなかなか魅力がある。

(3) Il ne faut pas prendre au (   ) tout ce qu’il dit.
  彼の言うことを本気にしちゃだめだ。

(4) Les effets du médicament se sont fait (   ) tout de suite.
  薬の効果はすぐに現れた。

(5) Tiens-toi (   ) !
  背筋をぴんと伸ばして!


                  

(1) Ce n’est un secret pour (   ).
  みんな知ってるよ。

正解は Ce n’est un secret pour ( personne ). 「それは誰にとっても秘密ではない」、こなれた日本語にすると「それはみんなが知っていることだ」となります。他の否定語とともに用いられて否定を表わす ne に着目し、文意を考えれば ne…personne「誰も……ない」という表現が思い浮かんだでしょう。「みんな」という表現につられて tous, tout とした答案が多く見うけられましたが、ne に対応する否定表現の欠落した不完全な文になります。

(2) Cette région ne (   ) pas de charme.
  この地方はなかなか魅力がある。

正解は Cette région ne ( manque ) pas de charme. ne pas manquer de +無冠詞名詞「……に事欠かない」、すなわち「……を十分に備えている」という意味の表現の理解を試す問題です。(1) とも関連しますが、否定表現をともなう文の含意するところをとらえるのが苦手な受験者は少なくないようです。rien とした答案がかなりありましたが、これでは動詞のない文になってしまいます。また、a を入れた受験者もいましたが、それでは「魅力がない」という意味になります。ne とのエリジオンが必要でもあることからも、ここには当てはまらないと気づくようにしましょう。

(3) Il ne faut pas prendre au (   ) tout ce qu’il dit.
  彼の言うことを本気にしちゃだめだ。

正解は Il ne faut pas prendre au ( sérieux ) tout ce qu’il dit.  ここでは前置詞 à と定冠詞 le の縮約形が直前に置かれていることからもわかるように、sérieux は名詞で用いられており、prendre A au sérieux で「Aを真に受ける」という熟語表現になります。apprendre A par cœur「Aを暗記する」という表現と混同したか、あるいは「本気」というのを気持ちの問題ととらえたのか、cœur という誤答が数多く確認されました。prendre A au sérieux という熟語表現は、ほとんどの仏和辞典に載っているものです。辞書を引くときには、単語の意味だけでなく、項目末尾に記された熟語表現にも目を向けるようにしましょう。

(4) Les effets du médicament se sont fait (   ) tout de suite.
  薬の効果はすぐに現れた。

正解は Les effets du médicament se sont fait ( sentir ) tout de suite. sentirの代わりに voir としてもかまいません。A se faire sentir「Aを感知させる」、転じて「Aが現れる」という表現は受験者になじみのないものだったのか、今回の試験でもっともできの悪かった問題です。se faire で動詞の形としては完結しているように映るためか、bien と解答した受験者がかなりいました。また apparaître とした答案も多数ありましたが、この語だけで「現れる」という意味を持ちますから、se faire「(……を)させる」という表現と組み合わせるのはおかしいと判断すべきでしょう。

(5) Tiens-toi (   ) !
  背筋をぴんと伸ばして!

正解は Tiens-toi ( droit ) !  se tenir+様態で「……の姿勢を保つ」という意味になりますが、Tiens-toi droit「しゃんとしていなさい」という表現は、子どもをたしなめる場面などで慣用的に用いられるものです。設問文に「背筋を」とあるからか、dos とした答案が相当数ありました。


                  

こうした問題を多くの学習者が難しいと感じる理由は、設問文の日本語と正答となるフランス語の表現が一対一対応になっていないことにあります。もっともできの悪かった (4) などはその好例で、「現れる」という日本語と、「感じる」という意味を第一義とするフランス語の動詞 sentir はなかなか結びつかないのでしょう。

大学で2級取得を目指す学生から、しばしば「2級レベルの単語帳を教えて欲しい」との要望を受けます。しかし、2級レベルで求められるのは、フランス語と日本語が本来全く異なる体系の言語であることを意識しながら学習を進めることです。そのためには、日頃から辞書に示された定義や熟語表現を丁寧に確認し、「フランス語ではこう言うのだな」という表現に出会ったら、自分自身で手を動かして単語帳、表現集を作っていくようにお勧めします。ただぼんやりフランス語の文章を読んだり、聞いたりするのではなく、意識的にフランス語を書く習慣を身につければ、正確な綴りも早く覚えることができ、動詞問題や、書きとり・聞き取り問題など他の筆記式問題でも高得点を獲得できるようになるでしょう。

立教大学と仏検 新たなステージに向けて

澤田 直(立教大学)

立教のフランス語教育

立教大学では、文学部にフランス文学専修(以前はフランス文学科でしたが、2006年改組により格下げになりました、涙)があるほか、全学部で第二言語が必修(今のところ)となっており、多角的なフランス語教育を行っています。初習言語として、フランス語を選ぶ学生は、最盛期の90年代には30パーセントを超え、900名以上いましたが、その後、中国語やスペイン語に押されて漸減し、近年では20パーセントを割り込む年もある凋落ぶりで、関係教員としてはかなりの焦燥感があります。新学部ができたこともあって、数的には、600~700人を維持しているのがまだしもの救いです。

新入生歓迎会クッキー

文学部以外のフランス語教育は、全学共通カリキュラム運営センター(通称「全カリ」)のフランス語教育研究室の担当で、文学部所属のフランス文学研究室の教員は直接にはタッチしない形ですが、年に数回の会合を開き、意見交換を行ない、状況打開に向けて、熱い議論を戦わせています。

立教全カリのフランス語教育の特徴は、初級、中級だけでなく、上級のコミュニケーション、ライティング、リスニング・リーディング、演習など、質量ともに充実しており、池袋と新座のどちらのキャンパスでも受講できることです。また、これら語学系列の他に、海外体験とフランス文化に関する授業など所定の科目から26単位を取得するとグローバル副専攻(French Language & Culture)の修了証が取得でき、ハードな条件ですが、意欲的な学生には人気のプログラムとなっています。

モチベーションをどうあげればよいのか

語学教育は教えることのスキルもさることながら、受講者のモチベーションが如実に結果に反映します。どうしたら自発的にやる気になるか? フランス文学専修でも、新入生歓迎会をはじめ、他大学ではとっくの昔から行っていたことを遅まきながら始めました。昨年と今年は、フランス大使館の大学担当官ダヴィッド=アントワーヌ・マリナスさんに、歓迎のスピーチをいただいたあと、ケーキとサンドイッチをつまみながらの歓談、お土産には特注のクッキーをプレゼントするなど、四月初めから発破をかけました。小手先の工夫ですが、実際に体験できる形で、フランスに触れることで、新入生のやる気は心もちアップした気がします。

幸いなことに、入学生の半数以上はフランスが好きな学生たちですが、不思議な二極化現象が見られます。語学がよくできる学生は文化への関心が表層的で、あまり掘り下げようという姿勢が見られず、特に文学にはほとんど惹かれません。一方、文学や文化にディープな関心を示す学生(我々はこれを勝手に「コンテンツ系学生」と呼んでいます)は、なぜか語学が極度に苦手なのです。もちろん例外はいますが、全体としてはこの傾向が顕著です。他の大学でも同じような現象が見られるのか知りたいところです。

海外研修募集のチラシそんな乖離を融合するきっかけとなるのが、海外研修です。文学部がヴィシーのカヴィラム、全カリがブルゴーニュ大学付属国際フランス学センター(CIEF)と、それぞれ3週間の海外研修を含む授業を展開しています。夏期研修は高額な費用がかかるために、すべての学生に勧めることができないのが難点ですが、やはり現地に行くことの効果は大きく、研修に参加した学生たちは、秋学期の目つきが違います。自分のフランス語が実際に役に立つことを体験した彼女ら、彼らのモチベーションは驚異的に高まっています。そして、それが協定校への留学につながることも少なくありません。立教では、まだまだ数は十分とは言えませんが、フランスのINALCO、パリ・ディドロ大学、パリ東大学、リヨン第3大学、カナダのシェルブルック大学とケベック大学モントリオール校と協定を結んでおり、毎年多数の学生が出かけます。現地で修得した単位は、卒業単位として認定されるので、応募者が定員を上回る状態が続いています。

仏検との関わり

さて、肝心の仏検との関わりですが、これまでも様々な形で利用させていただいてきました。まずは、既習者の履修免除の基準。3級以上の保持者は、全カリ必修の言語科目が免除され、成績は自動的にSがつくという特典があります(高校生のみなさんにぜひ宣伝してください)。派遣留学の出願資格では、準2級が語学要件となっています(パリ東は2級)。今後、入学試験での活用も検討されており、仏検はDELF/DALF、TCFと並んで、様々な場面で重要な指標となっています。

準会場として団体受験を始めたのは、2005年秋季からと聞いています。長年にわたって団体受験を実施してこられたのは、フランス語研究室の小倉和子先生と、兼任講師の田中成和先生、左合桜子先生。仏文専修は本来ならば、仏検に関して中核になるべきところでしたが、「学生の自主性に任せる」と言えば聞こえは良いけれど、じつは消極的でした。それでも、学生たちは積極的に受験してきましたし、「資格のためのフランス語」と副題された、仏検対策をメインにした必修選択科目も設置していました。

しかし、やはり目に見える目標を掲げることは重要だとの思いから、2017年度の秋季から、フランス文学専修1、2年の全学生に受験してもらうことになりました。検定料に関しては学生から徴取している学生研究会費を充当、学生は直接お金を払うことがないので負担感もなく、好評です。試験の結果は、成績評価に反映することはしていませんが、モチベーションや実力を知るのに役立っています。また、全カリの方でも、各種検定試験受験料の一部補助制度があるので、受験環境はかなり恵まれていると言えるでしょう。今後は、卒業までに全員が2級を取得する、準1級の合格者を増やすなど、明確な指針を立てて、授業設計をすることなども視野に入れたいと考えています。そういうわけで、立教大学にとって、仏検とのおつきあいは新たなステージに入りました。

個人的には、文法も重要だけれど、細かいことにこだわるより、使えるフランス語、使って楽しいフランス語を見据える必要があると考えます。専門課程であるにもかかわらず、4年間も学びながらほとんどフランス語が使えない学生を生み出すという悲しい現状からの脱却を真剣に考えるときが来ているように思うのです。

 

地域で育む国際交流の力-フランス語が繋ぐ世界への道-

安齋 有紀(島根大学)

出雲市観光パンフレット表紙私が島根大学に着任して今年で7年目。この地を通して、私自身のフランス語との関わり方が緩やかに、そして心地よいリズムで広がっているのを日々感じる。例えば、社会人に公開している授業では様々な職種の方と出会うのだが、彼らは学外でもフランス語の勉強会を開くほど学びへのモチベーションが高く、好奇心旺盛な眼差しでアドヴァイスを求めてくる。少数ではあるが、仏検受験者としてその方々を会場で迎えるのは感慨深いものである。

実は、そこで出会った方から島根県はペタンクが盛んだという話を聞き、以前からペタンクに興味があった私はついに松江で初投げの日を迎えた。練習場所に行ってみると、風情あるお寺の敷地内で60~80歳ほどの方々が元気に「bien!」と声を出し合っている。その光景に衝撃を受けると同時に、この地に不思議な縁を感じた。

また、お隣の鳥取県境港ではクルーズ船が寄港すると数時間ほど近隣を観光するのだが、乗客にフランス人がいる場合は「おもてなしフランス語」と題し、ボランティアでアテンドのお手伝いができる方を募っている。ある時、フランス語専攻の学生にボランティアをお願いできないかと地域の方から声をかけていただき、数名が参加した。後で学生から聞いたのだが、教員以外のフランス人と初めてぶっつけ本番で接したのだから、それはもう世界が変わるような日になったらしい。興奮して語る学生の姿に、こちらの方が興奮してしまった。さらに、趣味で続けている音楽活動の場でもヨーロッパの演奏家と交流する機会がこの地に来て増えた。そこで大いに活躍しているのがフランス語である。フランス語圏の音楽家はもちろんのこと、ドイツやイタリアの音楽家もフランス語を流暢に操るので、私がフランス語を話すと知ると喜び、以来彼らとはフランス語でやりとりをしている。

色々な体験をしました!地域でのこうした豊かな繋がりから、フランスを共通項として知り合った方々と地域の国際交流活動の橋渡しができればと2年前に島根県日仏友好協会を立ち上げることになった。教員の立場としても、国際交流活動に関心がある学生のために、先のおもてなしボランティアのように学外でも語学力を活かせる道をつくれないかと、協会や地域の方々と情報交換をしたところ、素晴らしいご縁に巡り会えた。出雲市観光パンフレット「フランス語版」の作成である。

このパンフレットについてここで少し紹介したい。近年、島根県内の自治体においては多言語に対応した観光案内事業が進められており、特にフランスからの観光客のジワリとした増加に伴い、フランス語版での交通案内や博物館の解説作成、通訳ガイド養成が注目されている。そこで、Evianと姉妹都市でもある出雲市の魅力をフランス人観光客に向けて紹介し、誘客を推進しようと出雲市経済環境部観光課インバウンド推進室と協働で、外国人・地元の学生の目線でフランス人観光客の心に響くような新しいタイプの観光パンフレット作成プロジェクトが始まった。

研究室の学生と協定校であるリヨン第3大学からの留学生が市および観光協会と共に現地を見学し、観光地の選定、掲載内容、コメントの仕方について協議を重ね、フランス語による紹介文の作成と現地情報の翻訳作業を経て今年の3月に完成した。ヨーロッパの観光で関心の高い「体験型」の観光案内(坐禅体験、窯元見学、ガラス細工作り、藻塩作り、機織り体験、醤油テイスティング、酒蔵見学、古い街並の散策、漁村での遊覧船体験など)を多く取り入れ、既存の観光パンフレットには掲載されていない観光スポットの紹介と学生たちによる感想・コメント(LINE風)を中心に仕上げた。藻塩作りに挑戦中!この活動は、留学生にとって地域の文化を通して日本文化に対する理解を深め、自分の国に向けてその魅力を発信する機会となり、日本人の学生にとって学んだ語学を大いに活かしつつ、地元の観光団体や企業との連携を通して観光客誘致・インバウンド推進を目指す地域の在り方について具体的に学ぶ機会となった。地域という最も身近な場で国際交流活動を実践できたのである。

出雲観光初心者の私も学生たちと一緒に観光地を巡ったのだが、学生たちが伝統工芸の体験に真剣に取り組む姿や、博物館で古代史や仏像について熱心に質問をする姿は大学では決して見ることのない姿であった。さらにその内容をフランス語で紹介するに至ったのだから、本当によく頑張ったと改めて思う。また、留学生が説明を理解していないときには、日本人の学生が自分の引き出しにあるvocabulairesを駆使して対応していた。こういう場面を黙って見守ることができたのは、教師として素直に幸せである。そして、この見学で特に印象に残った光景がある。一畑薬師での坐禅体験である。何よりも坐禅を組む日仏の若者たちの凜とした美しさに圧倒された。その若者たちの姿は、国際交流の未来を映し出しているようにさえ私には感じられたほどである。

坐禅体験

この活動以来、授業でも学生たちの学ぶ姿勢に変化があらわれている。大げさに思われるかもしれないが、明らかに学生の目の輝きが今までとは違う。そのような嬉しい変化を感じている中、パンフレット作成でお世話になった出雲市の観光課と印刷会社の方々と遅ればせながら完成打ち上げ会を開き、半年ぶりの再会を果たした。半年前は控えめに接していた学生たちが、それぞれに進路や将来の夢について力強く語り、堂々と受け答えをする、その逞しい姿に驚きと嬉しさと希望を感じたというメールを市の方からその翌日にいただいた。彼らの成長を感じたのは教員である私だけではなかったのだと思わず涙が溢れた。

最近開催したオープンキャンパスでも、高校生に大学でのフランス語の勉強や語学を活かした自分たちの国際交流活動、進路について自信をもって語る学生たちの姿があった。こうしてさらに若い世代へと彼らの力が引き継がれていくのだなと、学生たちの存在が新たな道しるべとなって次世代を世界へ繋いでいく様子を思い描いた。これからも、若い力と地域の力を合わせて国際交流の芽を育み、共にその道を開いていかれるよう、この地でフランス語と共に緩やかに歩んでいくのが楽しみである。

「しまね大交流会」でのプレゼン

 

過去問題サンプルを公開しました

過去問題サンプルを新たに公開しました。
2011年度(1級は春季、準1~5級は秋季)の実施問題をご紹介しています。
1次試験に加えて2次試験の問題もアップしました。
問題形式の確認やレベルチェックにご活用ください。

2008年問題サンプル(2015年より公開中)も継続してご覧いただけます。

仏検インターネット申込 お取り扱いの一時停止について

仏検インターネット申込は、システムメンテナンスのため、
以下の期間中、各種お取り扱いを一時停止いたします。

※期間中は申込システムへのアクセスが不通となります。
※お申込完了後のコンビニ店頭でのお支払いは可能です。
※作業の進捗状況により、終了時間は前後する可能性がございます。


仏検インターネット申込 お取り扱い一時停止期間

対象 : インターネット申込システムでのID取得・出願情報入力、
マイページでの各種操作

停止期間 : 2018年9月10日(月)AM 1:00 ~ 7:00

 

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほど、お願い申し上げます。  

2018年度秋季試験 受験案内を更新しました

2018年度秋季試験 受験案内を更新しました。

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年間実施日程・受付期間
受験票・結果通知発送予定
受験地と受験級
検定料
試験時間
パリ会場受験

  郵送申込用の願書受験要項の無料送付をご希望の方は請求フォームに必要事項をご記入ください。

なお、仏検では、前回・前々回(2017年度秋季・2018年度春季)に出願された方を対象として、予めお名前等を印字した願書・受験要項をクロネコDM便でお送りしております(8月下旬発送予定)。

「合格者の声」を更新しました

「合格者の声」を更新しました。


<8月7日更新>
第5外国語は独学で
2017年度秋季 準1級合格 在日フランス商工会議所賞
小島 圭以(学生(早稲田大学大学院)・東京都)

<8月1日更新>
Surpriseが大きなモチベーションに
2017年度秋季 準1級合格 在日スイス大使館賞
小西 和美(会社員(ピー・エム・シー株式会社)・東京都)


第5外国語は独学で

2017年度秋季3級合格・在日フランス商工会議所賞
小島 圭以
学生(早稲田大学大学院)・東京都

「趣味は語学」とまで公言する私にとって、フランス語は大学院進学と同時に着手した第5外国語で、初めて完全に独学で勉強している言語です。

中学高校時代を過ごした米国(第1外国語は英語でした)で出会ったスペイン語(第2外国語)がきっかけで語学の面白さに目覚め、そのままラテン語(第3外国語)も同時履修し、帰国して大学に入学してからはドイツ語(第4外国語)の授業を受講していました。目標としていた独検2級に学部4年の冬に合格し、新しい言語の勉強に移りたいと考えましたが、興味のある言語は多く、どれにしようかしばらく悩んでいました。そこで博識な知人に相談したところ、「フランス語がいい。習得に努力は必要となるが、社会に出てから絶対に得する」とアドバイスをいただきました。私自身、フランス語は早かれ遅かれ通ることになる道だろうと以前から感じていました。

理系ということもあり、周囲からは多言語を学ぶ楽しさを理解してもらえないことも間々あります。そのような中でも何故語学の勉強をやめられないのか、と言いますと、それぞれの言語の性格を知っていくことで、これまで知らなかった世界を垣間見る感覚がこの上なく楽しいからです。

人間同様、言語にはそれぞれの個性があります。例えば、フランス語の姉妹であるスペイン語はとても「素直」な一面があり、個人的に好感が持てます。それに対して、フランス語は綴りを「無駄遣い」しますし(beaucoupが「ボク」、qu’est-ce que c’estが「ケスクセ」にしかならないなど)、母音の読み方が「我が道を行く」が如く変化していきますし(“e”一つ取っても、[e] [ɛ] [ə]の可能性があったり、“im”や“in”が「アン」になったり)…人間に例えるなら、少し距離を置きたくなるような「ちょっと面倒な人」だと感じてしまうのが正直なところです(笑)。しかし、そんな言語だからこそ自由に操れるようになってみたいという気持ちに火を付けてくれる魅力もあります。

このような発見、フラストレーション、やる気のアップダウン、などを繰り返しながら、僅かな割合ですがフランス語は私の生活の一部となっています。ただ、語学好きとは言え、フランス語圏に行きたいなどといった強い動機がない私のような独学者にとって、常時勉強のモチベーションを維持することは簡単ではありません。そのような状況で、仏検は道を指し示してくれる友のようでもあり、油断すると怠けてしまう私の尻を叩いてくれる一方で結果を出せば褒めてくれる親のようでもあり、フランス語を独学する上で私にとってなくてはならない存在です。

私は2019年3月に大学院を修了し、4月からとある日系グローバル企業に就職する予定です。今や多くの企業で英語力が重視されていますが、それでも依然として日本人は英語を苦手とする人が多い傾向にあると感じています。ただ、これが理由で語学そのものに抵抗感を持ってしまうのはもったいないと個人的にとても思います。フランス語含め、様々な面白味のある言語が世界にはあるからです。

知人の言葉通り、フランス語は確かに習得に努力が必要な言語だと思います。けれども、語学を通して私が見る世界をさらに広げてくれたことに間違いありませんし、とても良い出会いだったと確信しています。今後も、現状に満足することなく、より上の級の合格を目指して邁進していきたいです。

 

 

Surpriseが大きなモチベーションに

2017年度秋季準1級合格・在日スイス大使館賞
小西 和美
会社員(ピー・エム・シー株式会社)・東京都

 

私がフランス語検定の存在を知ったのは2017年9月のことでした。

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 大学でフランス語を専攻し、卒業後フランスの銀行、フリーランス通訳を経て、現在は日本でビジネスを展開するフランス企業のコンサルタントを行う企業に勤めています。

フランス語を使って日仏間の交流に貢献したいと考え、今日まで仕事を続けてきました。そして年を重ねた今、現在勤めている会社を退職した後もフランス語を使って仕事をしたいと思い、そのためには自分のフランス語の能力を客観的に評価・証明してもらう必要があると考えました。そこで知ったのがフランス語検定でした。一番近い時期に受験できるのが秋季試験でした。さて、どの級を受験すればいいか。そこで2級と準1級の過去問題を解いてみたのですが、2級は容易であったために、準1級に挑戦することにしました。

まずは1次試験です。筆記試験は過去問題集をひととおり解いてみて、自分の弱点がどこにあるかを考えました。私の弱点はあきらかに形容詞・動詞を名詞化することだったので、そのための参考書を購入し勉強を始めました。そしてヒアリングの能力をアップさせるために、お昼休みにインターネットでフランスのテレビ局のニュース番組を観始めました。そんな時、知り合いのフランス人からラジオをスマホで聴いたらどうかとのアドバイスが。早速、Bluetoothイヤホンを購入し、通勤途中そして家で料理や掃除をしながら聴き始めました。

こうした試験勉強の甲斐あって、1次試験に無事合格しました。

そして、次は2次試験です。時事的なテーマと一般的なテーマの2つから1つを選んで自分の意見を述べるということですが、私は最初から時事的なテーマを選ぼうと決めていました。お正月に家族にテーマになりそうな時事的な話題を数種あげてもらい、その中から3つを選んで試験の2週間前から、論理的に自分の考えが述べられるように準備を始めました。

実際の試験では、家族が挙げていたけれど私が選択しなかったテーマが出題されたのですが、日ごろから自分の意見を論理的に述べる訓練をしていたことが功を奏し、2次試験は思っていたより高得点で合格することができました。

準1級の2次試験が終わった次の日から、さっそく1級の試験の勉強を始めました。フランス語検定のための勉強ですが、ただそれだけではなく、試験勉強を通じて明らかに私のフランス語の能力はアップしています。フランス語は語彙、表現がとても豊かな言語です。今、私はフランス語を勉強することを楽しんでいます、また周りのフランス人の人たちとのコミュニケーションの質も高まってきています。

そして忘れてはならないのは母国語です。私たち日本人にとって母国語は日本語、どんなに勉強しても外国語が母国語を上回ることはありません。そして、外国語を上達させるためには、母国語の能力をあげることが必要だと思います。日本語で表現できないことをフランス語で表現することはできないからです。

1級に合格することが今の目標ですが、試験が終わっても今後ずっとフランス語を学び続け、大学を卒業する際に望んだ「フランス語を使って日仏交流に貢献する」という道を歩み続けていきたいと思っています。

 
*   *   *

追記:
合格証書が届いた3日後のことでした。APEFから一通の書簡が。次の検定試験の日程のご案内だろうと思って開封してみると、なんと成績優秀者表彰式への招待状だったのです。

このような賞があることを全く知らなかったので、“Surprise!”でした。

各級の成績優秀者の皆さんと表彰式に出席させていただけたことは、大きな歓びでした。

また式のあとのレセプションで、様々なバックグラウンドをもちフランス語を学び続けていらっしゃる方々とお話しできたことは私に“これからもフランス語の勉強をがんばろう”という大きなモチベーションを与えてくれました。そして、「1級も成績優秀者に選出されたい」と思うのでありました。

このような素晴らしい賞を授与してくださる関係機関の皆さまに心より感謝申し上げます。

 

2019年度春学期 受講者募集のお知らせ

2018年度秋学期からの継続受講に加えて、全コースで新規受講者を若干名募集します。
受講資格をご確認のうえ、以下の要領でお手続きください。

春学期 受講申込方法

【受講申込期間】2019年2月25日(月)から3月18日(月)まで

※これからの受講をご希望の方はご相談ください。

● 継続受講の方

上記期間内に受講登録を終えてください。

● 新規受講希望の方

申込書(word)をダウンロードし、必定事項をご記入のうえ、cours@apefdapf.orgまでメール添付でお送りください。折り返し受講対象クラス、入学テスト受験の要不要などをお知らせします。

wordフォーム申込書(word) pdf申込書(pdf)

入学テストは下記の要領で実施します。

2019年度春学期 入学テスト 実施要領

●日時:2019年3月23日(土)11:00開始 16:00終了予定 ※30分前から入室可
  <筆記試験>11:00~12:00 <面接>14:00時より順次(終了後順次帰宅可)
●会場:青山学院大学 青山キャンパス
●携行品:筆記用具、身分証
●受験料:3,240円(税込み)
  ※銀行振込(下記参照)による事前支払い
  ※いったん納入された受験料は一切ご返金いたしかねます

◎ 出願期間:2019年2月25日(月)から3月18日(月)まで

<入学テスト受験料 振込先 > 
みずほ銀行  九段支店(店番号532) (普)1805436
(口座名義)公益財団法人 フランス語教育振興協会 教育口

※入学テストの免除について

  • 2008年秋季以降の仏検1級、準1級(および対応するDELF・DALF)取得者で、「上級フランス語」、「翻訳(基礎科・本科)」を希望される方は入学テスト免除になります。免除を希望される場合は、申込書をお送りいただく際に当該レベルの合格証書またはディプロムの写しを併せて提出してください。
  • 「通訳基礎科・本科」を希望する方への入学テスト免除はありません。

入学テストの結果はテスト実施後3日以内にメールでご連絡いたします。

入学テスト合格者およびテスト免除*で受講決定の知らせを受けた方は受講登録にお進みください。

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会
APEF青山フランス語プロフェショナルコ ース担当 
〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F
TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157
E-mail:cours@apefdapf.org

公開講座「カミュ『最初の人間』をフランス語で読む」のお知らせ

当協会の元副理事長・加藤晴久氏(東京大学・恵泉女学園大学名誉教授)が、
9月27日から、恵泉女学園大学公開講座で

「カミュ『最初の人間』をフランス語で読む」

という講座を開講します。

関心のある方は恵泉女学園大学ホームページ
http://www.keisen.ac.jp/extension/
をご覧ください。あるいは下記にお電話ください。

恵泉女学園大学 公開講座担当
電話 042-376-8332(火~金 9:00-17:00)

2018年度 夏季休業期間についてのお知らせ

公益財団法人フランス語教育振興協会は、8月13日(月)より8月15日(水)までを夏季休業期間とさせていただきます。休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせは8月16日(木)以降のご対応となりますことを予めご了承ください。

ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

豪雨災害による受験票未着/来場困難の対応について

このたび西日本豪雨により被災された皆さまに心よりお見舞いを申しあげます。

今週末7月15日(日)の実用フランス語技能検定試験(仏検)2次面接試験は、全ての会場で予定通り実施いたします。

以下に該当する方はご留意ください。

【受験票(1次試験結果通知)が未着の方】

1次試験結果通知は7月5日(木)に都内郵便局より発送を完了しておりますが、郵便事故等が発生している場合もございます。未着の方は7月13日(金)17:00までに仏検事務局までお問い合わせください。

インターネット申込を利用され、マイページの結果閲覧で試験会場と集合時間をご確認いただけた方は、受験票をお持ちでなくても、会場で写真付身分証(学生証、運転免許証、パスポート等)をご提示いただければ問題なく受験できます。 

【2次試験会場への来場が困難な方】

個別のご相談は7月13日(金)17:00までに仏検事務局にお電話でお願いいたします。

試験前日・当日は、お問い合わせにはご対応いたしかねます。会場への直接のご連絡はご遠慮ください。

公共交通機関の運休や遅延等のため、ご来場いただけなかった場合は、7月17日(火)~24日(火)の間に、仏検事務局まで書面でお申し出ください(郵便/FAX/メールいずれも可)。そのさい、遅延や運休を証明する書類や画像等をできるだけ添付してください。

今後の対応につきましては、仏検実行委員会で検討のうえ、7月末を目途に書面で個別にご連絡いたします。

仏検事務局

2018春1次 パリ会場の実施について(SNCFストライキ関連)

2018年6月17日(日)に、フランス国鉄(SNCF)のストライキが予定されています。フランス国内各地で交通機関の混乱が発生する可能性がありますが、仏検1次試験パリ会場は、通常通りの実施を予定しています(遅刻入室は一切認められません)。パリ会場での受験を予定されている方は、事態の動向を注視するとともに、試験当日に余裕をもって来場できるよう、あらかじめご留意ください。

なお、不測の事態が発生した場合は、当ホームページで対応を告知いたします。

【参考】
仏検パリ会場について(2018年度春季 受験案内)
 http://apefdapf.org/dapf/info/paris
SNCFストライキ情報(外部サイト:運行状況/予定日など)
 https://www.oui.sncf/train/greve


公益財団法人フランス語教育振興協会
仏検実行委員会

Bruxelloisとして暮らしたい

2017年度秋季3級合格・在日ベルギー大使館賞
旭 貴弘
会社員(ダイキン工業株式会社)・大阪府

私がフランス語に出会ったのはちょうど3年前のブリュッセルでのことでした。ブリュッセルに赴任して初めての海外生活を送ることになった私ですが、当初知っていたのはbonjourやmerciくらい。大学時代に友人が「フランス語は数学やで。90は4×20+10って言うねん。」と困惑気味に話していたことをうっすら記憶していた程度でした。

職場はインターナショナルな環境で、共通語は英語。フランス語を使う機会はありませんでした。当初は英語も十分と言えず、せっかくブリュッセルに暮らしながらフランス語にまでは手が回りませんでした。しかし、しばらく暮らすうちに「この町に暮らすのならやっぱりこの町の言葉を話したい」「期間限定の”腰掛け”外国人としてではなくBruxellois(ブリュッセル人)として暮らしたい」と思うようになり、現地のコミューン(区)が開設するフランス語の講座におそるおそる申し込みました。

日本人はほとんどおらずフランス語のみで学習するフランス語…先生の身振りや表情だけを頼りに少しずつフランス語を習得する過程は、ちょうど赤ちゃんが言葉を覚えていくようなものでしょうか。いつしか挨拶、自己紹介から買い物やレストランでの会話、複合過去や近接未来まで色々な表現を学んでいき、それはまるでマジックにでもかけられたようでした。

それ以降、日曜日はきまってマルシェに足を運び、オリーブ屋のおじさんにオススメのオリーブを教えてもらったり、果物屋さんに見たことのない高級イチゴ(fraise framboise)を教えてもらったり、メトロで困っているおじいさんに行先を教えたり、ベルギーで活躍するアーティストのコンサートで小さな村を訪れてみたり…言葉はまだまだおぼつかないながらもBruxelloisの一員になれたような気がします。

(左上から)Atomiumにて/高級イチゴfraise framboise/オリーブも多種多様/
Grand Placeのイルミネーション/空港にてタンタンロケットと

帰国して間もなく1年となりますが、今も日本に住む一人のBruxelloisとしてラジオはNostalgieを聞き、フランス語圏の美術展を訪れ、最近はシャンソンの魅力に惹かれ、Charles Aznavourの来日コンサートにも訪れます。フランス語がきっかけでベルギーをはじめフランス語圏の文化へと人生の楽しみが広がったことが、フランス語を学んでいることの最大の喜びだと思います。AIによる自動翻訳が発展すると言語を学ぶ意味が薄れると言う人もいます。機械的な翻訳であれば機械が人間を助けることはできるでしょう。しかし、自らフランス語を学ぶことでしか得られない文化との出会い、マルシェで挨拶を交わした時の温かい笑顔、フランス語の会話が奏でる美しい響き…これらがある限り、言語を学ぶ意味は何ら変わらないでしょう。

仏検は、そんな私の学習の伴走者として私を励まし続けてくれています。妻と二人三脚で仏検に挑戦し、これからもフランス語のレベルを向上させていきたいと思います。いつか再びBruxellesで生活できる日を夢見ながら…

テルヴューレンTervurenの紅葉

 

2017年度 文部科学大臣賞団体賞 受賞のことば

文部科学大臣賞団体賞は2013年度に創設され、その年度における出願者数とその増加率および試験結果等を勘案し、年度を通じたフランス語教育への取り組みを総合的に判断した上で、特に優秀と認められた3団体に授与されます。2017年度は、亜細亜大学、武蔵大学、聖ウルスラ学院英智高等学校が選出され、賞状と記念の楯が授与されました。表彰団体の先生方からお寄せいただいた受賞のことばをご紹介します。


亜細亜大学 小川 直之 先生

(写真左より)大島正克先生(亜細亜大学)・西澤理事長・小川直之先生(亜細亜大学)

1・2年次の必修語学として14外国語から1つを選んで学ぶ本学では、全学的に外国語学習を大切にする雰囲気があります。講師の先生がたや担当の事務職員の方がたの熱心な取り組みのおかげです。こうした環境が、多くのフランス語受講者に仏検を受験したいと思わせるのでしょう。
仏検は学生たちにとって、努力しさえすれば数ヶ月後に到達できる、目に見える目標です。努力は嘘をつかない(ことがある)ことを実感させてくれます。出願した級に合格した学生たちは、フランス語の進歩を認められるのはもちろんうれしいが、仏検で2度、3度と、成功体験を重ねられたことが大きな自信になったといってくれます。フランス語教員冥利に尽きます。
(写真左より)大島正克先生(亜細亜大学)・西澤理事長・小川直之先生(亜細亜大学)

武蔵大学 木元 豊 先生

この度は文部科学大臣団体賞を賜り、大変嬉しく、また光栄に思っております。お選びくださいましたフランス語教育振興協会の皆様に心よりお礼申し上げます。
武蔵大学では、グローバル市民育成のための教育を目指しており、外国語教育を重視しております。フランス語教育もその一環であり、全ての学部、学科においてフランス語を学ぶことができます。特に人文学部ヨーロッパ文化学科では、所属の学生の約半数がフランス語を第1外国語として学んでおります。同学科ではここ2年eラーニングを試験的に導入しております。今回の受賞は、学生が熱意を持って、自主的に努力したからこそですし、教職員の皆さんのサポートあってのことです。深く感謝しております。これを励みにフランス語教育の更なる充実を図っていきたいと存じます。
(写真左より)光野 正幸先生(武蔵大学)・西澤理事長・木元 豊先生(武蔵大学)

聖ウルスラ学院英智高等学校 フランス語担当 大槻 多惠子 先生

(西澤理事長・外国語主任 戸田茂秋先生(聖ウルスラ学院英知高等学校)

聖ウルスラ学院英智高等学校はカナダ・ケベックウルスラ会の修道女により仙台の地に創設され、1959年の高等学校設立以来、フランス語教育は途切れることなく、本年で59年目となる。現在高校総数800人ほどの学校で、毎年200人強の生徒がフランス語を履修している。今回、団体賞受賞という栄誉をいただき、今後もさらに多くの生徒がフランス語を学び、自分たちの世界を広げる機会となるよう努力していきたい。この場をお借りして今後も皆様からのご指導ご鞭撻をお願いすると同時に、さらなる仏検の発展をお祈りしたい。
(写真左より)西澤理事長・外国語主任 戸田茂秋先生(聖ウルスラ学院英知高等学校)


 

山形大学と仏検−学生が共に学べる環境づくりを目指して−

合田 陽祐(山形大学)

仏検は山形大学のフランス語教育に欠かせない重要な柱の一つです。本学では、3名のフランス語専任スタッフと1名の非常勤講師が協力して、一昨年より団体受験に取り組んでいます。そして昨年からは、仏検の受験者と合格者にそれぞれ加点する旨を、全学共通のシラバスに明記しています。クラス内でも仏検受験を盛んに呼びかけた結果、春秋合わせての受験者数が、100名の大台を突破しました。この数字は、全学での1年生のフランス語履修数140名を考慮すると、なかなかのものと言えます。じっさい受験者の大半を占めるのは、初修外国語としてフランス語を学ぶ1年生で、そこには文系だけでなく、理系の学生も含まれています。また肝心の仏検合格率は、2017年度は全体で8割5分以上と高い水準にあります。

初修外国語の1年生クラスの場合

おもに1年生を対象に週2回行う、基盤教育の授業で教えられることは限られています。そのカヴァーをしてくれるのが仏検です。年2回の仏検受験に学生が自主的に取り組めば、語彙力や聴解力の大幅なアップにつながります。また、資格の取得という具体的な目標をもって勉強できるのも、仏検の大きな魅力です。1年生のクラスでは、春季試験での5級、秋季試験での4級の取得を目指して取り組みます。

1年生の初修外国語クラスの様子山形大学のフランス語教育では、学生が一つの課題に協力して取り組めるような環境づくりを大切にしています。たとえば定期試験では、筆記にくわえて、必ず会話のテストも課していますが、会話のダイアローグは、ペアで練習することを推奨しています。昼休みの教室からは、会話練習をするグループの笑い声がしばしば聞こえてきます。なかには家に帰ってから、スマホを使ってペアで練習しているという学生もいました。語学の学習は孤独だとしばしば言われますが、やり方次第では、集団で楽しく学ぶこともできるわけです。仏検対策も同様で、団体で受験する学生たちは、休憩時間に問題の出し合いをして、互いに協力しながら試験対策を行っています。

また仏検の時期が近づくと、1年生を対象に「仏検直前対策講座」が開かれます。講座は2週に分けて開講され、講師は専任教員が交替で務めます。仏検の試験には、まだ授業では習っていない箇所が含まれます。その部分を補い、合格率を少しでも上げるのがこの講座の目的です。受講は自由ですが、毎年約50名の1年生が、この講座に積極的に参加してくれています。

フランス語のイベント

山形大学では、同じ初修外国語の中国語やドイツ語と比べると、フランス語の履修者はさほど多くはありません。また本学は県内各地にキャンパスが分散していますが、1年生は全学部が一つのキャンパスに集まり、語学の授業を受講します。

これらの条件をいかして、学部や学年の壁を越えて参加できるイベントを、一昨年から企画しています。「パリ祭in山形大」とクリスマス会です。さらに昨年からは、フランス語暗唱コンクールも開催するようになりました。

7月14日のフランス建国記念日には、同僚の柿並良佑先生の弾くギターに合わせて、パリ祭に因んだシャンソンを大合唱したり、フランス語でビンゴゲームを行ったりします。古典的なシャンソンの歌唱は、文章と発音を一致させ、正しいフランス語のリズムを身に付けるのに適していますし、初学者がフランス語の数字を正確に聞き取るのは容易なことではありません。ですので、ビンゴといえどもみな必死です。

暗唱コンクール団体部門で優勝!暗唱コンクールでは、フランスの詩や評論文の暗唱に取り組んでもらっています。個人部門のほかに団体部門も設けて、ペアで練習しやすいようにしています。昨年は21名の学生が参加し、朝日出版社、駿河台出版社、白水社各社の協賛を得て、盛会のうちにコンクールを終えることができました。コンクールには留学帰りの4年生も参加してくれ、1年生はその4年生の発音を聞き、流暢さに驚いていました。いずれは何名かの学生に、学外のフランス語コンクールや弁論大会にも挑戦して欲しいと考えています。

23年生のフランス語専門クラスの場合

本学でフランス語を主専攻として学ぶ学生は、人文社会科学部のグローバル・スタディーズコースを中心に、一学年に5名ほどいます。そのほとんどがフランス語圏への留学希望者です。交換留学先には、ケベックのモントリオール大学(4名)とフランスのアンジェ大学(2名)があります。そして今年度より新たに、パリ・ナンテール大学(2名)との交換留学制度がスタートします。これを機に、フランス語圏からの留学生との交流がますます活発になっていくはずです。

仏検に関しては、専門教育が始まる2年次春から、留学開始の3年次夏までに、準2級が取得できるよう呼びかけていますが、最近では、1年生からフランス語を始めて、2年生までに2級を取得する強者もいます(2016年度の実績は、3級が2名、準2級が1名、2級が1名合格。2017年度は、3級が2名、準2級が2名、2級が2名合格)。

専門クラスの様子

留学希望者は、ネイティヴ講師による会話作文の授業のほかに、1年生の後期から、「留学事前学習」という授業を履修します。この週に1度の授業では、DELFの試験対策を行っています。学年別に2クラスが開講されており、留学開始までにB1の取得を目指しています。最近では語学留学にくわえて、学部専門留学に挑戦する学生が増えてきました。英語でも容易に真似できないことに、フランス語を用いて果敢にチャレンジする姿を見て、とても誇らしいとともに頼もしく感じています。

新たな言語への取り組みは、未知なる世界と自己を発見するための旅のようなものです。そしてその旅の過程を目に見える形にしてくれる仏検は、しばしば単位の取得のみで終わってしまうフランス語の学習に、明確な目的意識を与えてくれます。今後も、一人でも多くのフランス語履修者が、自信をもって「仏検○級取得」と書類に書けるよう、またそれぞれの旅がより素晴らしいものとなるよう、しっかりサポートしていきます。

クリスマス会では「アナ雪」のフランス語版を合唱しました

最後になりますが、サークルやバイト、忙しい授業の合間を縫って仏検の勉強をし、試験日はバスで1時間かけて仙台会場まで赴いてくれる学生たちに、心から感謝したいと思います。


フランス語教師の習い事

竹内 京子(順天堂大学)

フランス語を学ぶことは、フランス語圏の文化も含めて学ぶこと。教授法の研究会では、いかに文化を教えるかについてのアトリエも多い。学生がフランス語やフランス文化のどのような面に関心があり、何を目標にフランス語を学ぼうと思ったかを考えると、自分の知らないことが沢山あることに気付く。それゆえ、フランス語を教え始めてから、様々な習い事をしてきた。食物調理科のフランス語担当時は、フランス料理の授業に参加させてもらい、ワインについて聞かれれば、ワイン教室に通った。服飾デザイン科では、ファッションについての本を読み、色について調べた。教師は教えることによって、学生からもいろいろなことを学ぶ。学内のソーセージ作りの公開講座に参加したり、オペラ座でミツバチを育てていることに驚いたりもした。

今回は、最近の習い事を紹介したいと思う。5年前から順天堂大学のスポーツ健康科学部の授業を担当している。学生は各自、専門とするスポーツに忙しく、年間通して様々な大会に参加している。日本学生ペタンク選手権大会プレ大会フランス語の授業は「初級フランス語会話」(通年)があり、選択科目である。ところが、オリンピックの公用語がフランス語であるからといって、スポーツといえばフランス語という発想はあまり広まっていない。フランスとスポーツ、フランス語とスポーツの関わりを模索するうちに、近年、特に高齢者のペタンク人口が急激に増え、見渡すと町内にペタンクのサークルがある地域が多いことに気が付いた。早速、練習用のボールを買い、授業でペタンクのルールを紹介すると、熱心に取り組む学生が出て来た。

ペタンクの最低限のルールは簡単であるが、細則が沢山ある。実際の試合は審判員がつきっきりではなく、両チームが納得のいくよう確認しながら進め、判定も競技者が行う。判定に困った時に初めて審判員を呼ぶことが多く、競技者もある程度の知識が必要である。まずはルールを知らなくてはと思い、2016年の春休みにC級審判員、初級指導員の講習会に参加し、知識を得た。また、東京のサークルで個人的にもペタンクを始めた。

順天堂大学さくらキャンパスのある千葉県印西市はペタンクの盛んな市でもある。年に2回、6月と11月に市民ペタンク大会が開催される(参加人数は毎回約120名)。フランス語の授業からの流れで、2年前からこの大会に学生とともに参加している。印西市市民ペタンク大会また、日本ペタンク・ブール連盟主催で、昨年、大学生の全国ペタンク大会が東京で初めて開催された。2024年のオリンピックのパリ大会でもし正式種目になった場合に備えてだそうである。2月のプレ大会に順天堂大学の学生も参加した。結果は2勝5敗で7位だったが、とても楽しい大会であった。

こう書くと、肝心のフランス語は? と思われるかもしれないが、ペタンクをやることによって学生のフランスやフランス語に対する関心が高まっているのは確かである。事実、授業中もより集中し、仏検にも沢山の学生が合格した。何のためにフランス語を学ぶかという目標ができたのがよかったのかもしれない。印西市の大会では、フランス語を全く習ったことがない高齢者の方々が、当たり前のようにペタンク用語をカタカナフランス語で使い、素晴らしい投球には「ビヤン!」の掛け声が飛ぶ。また、時には会場でフランス人に遭遇し、自己紹介や授業で覚えた表現が役立つ。こういうことがあると、またフランス語の勉強が楽しくなる。

さらに、学生たちは「フランス語の授業でペタンクを初めて知りました」と会う人ごとに答え、ペタンク大会の参加者にペタンクがフランスのスポーツであることを広めたようだ。こんなにフランス語の用語を使いながら、フランスのスポーツであるということを知らない方も多い。印西市市民ペタンク大会参加者の方々はペタンクに対する熱意のみならず、競技の実力も学生とは比べものにならないほどレベルが高い。ペタンクがフランスのスポーツだということを知って、フランス語に興味を持つということも十分に考えられる。よくペタンクは頭脳勝負のスポーツだから年齢は関係ないといわれているが、フランス語を始めるのも年齢は関係ないだろう、是非歓迎したい。

自分自身を振り返ると、今まで様々なことを雑多にしている。つまり、学生の興味がいかに広いかということの現れである。フランス語という糸でつながったこれらのことを追いかけるか追いかけないかは教師の自由である。でも、追いかけてみると新しいものが見えてくるだけでなく、思いのほか自分も楽しめる。教師の習い事、おすすめである。

忘れてしまいたくないフランス語

2017年秋季5級合格
Nishioka
主婦・大阪府枚方市

試験が終わり、解答用紙を頂いた時の感動は今でも忘れません!!!
自信のなかったヒアリングから答え合わせをしていったのですが、
えっ?えっ?え~~っ? マジで全問正解!!!
まさに、「ありえへん世界」に浸っていました。

一昨年前、挑戦したいことが多過ぎて会社を辞めました。
そして「やりたいことリスト」には当然のように外国語も並んでいました。
今まで色々手を出したんです。
当たり前の英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語。。。。

私ってどうしてこんなに、外国語に才能がないのでしょう。
それでも又、性懲りも無く、自己満足を始めたくなるんですよね。

パラパラとめくった枚方市の広報で募集を見つけてしまったんです。
市が開催するお手頃価格の入門コース。
私が参加できる枠はフランス語しかありませんでした。
なんだか、みんなに笑われそうです。
フランス語の優雅な雰囲気は私には絶対合わない!?
(私はノリのいい音楽に合わせて、ラテンダンスを踊る人なんです)

20175001tn01

なんて、思っていたのに
それなのに、ま、格好つけるように始めてしまいました。

そしたら、何と、完全にハマったんです!!
フランス語の音の響きが心地よく、学習することが楽しくなってきました。
外国語はひたすら暗記するだけ、という認識が変わりました。
忘れてしまいたくない外国語になっていったのです。
聞きたい歌も英語からフランス語に変わって行きました♪

今度は絶対脱落したくなかったので、目標を定めたかった。
そんな時にフランス語検定を知ったのです。

最初は5級、とあったので、な~んだ5級やん!
英検3級でも中学生が受けるもんな、と軽く見ていたのですが、
公式ガイドブックを見てビックリ、何もわかりません。
大好きなダンス以上に時間を割いての勉強。周囲も驚いていたことでしょう。

そして、今年の年賀状には「何十年ぶりや~~!! 100点取ったで~」と書いたんです。

 

 

フランス語で広がる世界

2017年秋季2級合格・文部科学大臣賞/ケベック州政府在日事務所賞
伊藤 優莉奈
学生(上智大学)・東京都

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約2年前、フランス語学科に入学し私のフランス語生活は始まりました。高校では英検準1級やTOEICで925点を取ったり、短期で語学研修に参加したりと、語学が好きでした。もちろんまだまだ英語もレベルアップしなければならないとはいえ、大学では英語に加えて他の言語を専門的に学びたいと思い、なんとなく始めたのがフランス語。こんなに熱中するとは思っていませんでした。しかし勉強すればするほどもっと理解できるようになりたい、もっと話せるようになりたいと思うようになりました。


20172001yi_022017年の夏には1か月間、初めてフランスでホームステイをしました。フランス語漬けの日々を送り、フランスの文化や習慣に直接触れながらの学習は、日本での学習とは違った面白さを感じさせてくれ、意識せずとも自然とフランス語が身についていく感覚を覚えました。フランスにおいてフランス語でのコミュニケーションが成立する嬉しさが、私のモチベーションをさらに高めてくれました。帰国後に自分のフランス語の能力を試したいと思い、仏検2級を受け、無事合格することができました。

フランスで通っていた学校ではフランス語を通してメキシコやドイツ、ロシアなど様々な国の友人ができました。特にアルジェリア出身の友人はフランス語を使ってアラビア語を教えてくれ、私も日本語での名前の言い方や挨拶を教えるというような仲になり、今でもよく連絡を取り合っています。神社や初詣の習慣など、日本の伝統をフランス語で説明することもあるのですが、友人もアルジェリアにおける宗教行事の様子の写真を送ってくれ、宗教の信仰などについて教えてもらううちに、アフリカに対する興味が強くなっていきました。

日本の大学ではフランス語圏のアフリカに関する授業を取っていたということもあり、いつかはアフリカ大陸へ行ってみたいと漠然と思っていたのですが、フランスで仲良くなった友人の話を聞くうちに早くアフリカを直接自分の目で見たいと思うようになりました。20172001yi_03そして大学で募集していた2018年の春に行われるアフリカでのスタディーツアーへの参加を決めました。

そのプログラムは約2週間南アフリカ共和国に滞在するというものでしたが、日本大使館やJICAで職員の方々の現地でのお仕事に関するお話を直接聞き、職場の雰囲気を感じることができて、将来のことを考える上で良い経験となりました。また貧困地区と言われている地域の保育園を訪ねて子供たちと交流し、南アフリカにおける格差を目の当たりにしました。

帰国後は、アフリカの良さを発信したいと思い、共にそのプログラムに参加していたメンバーとアフリカの文化のサークルを立ち上げようとしているところです。また滞在中、現地の大学で南アフリカの経済や政治に関する講義を受けているともっと日本のことも知らなければならないと感じ、福島県へ復興の現状を見に行き種蒔きのお手伝いをしたり、路上生活者におにぎりを配るボランティアに参加したりしています。

20172001yi_04次はフランス語圏のアフリカに行ってフランスとはまた違った雰囲気の中でフランス語でのコミュニケーションに挑戦したいと思っています。今回仏検を受けて2つの賞をいただけたことは、またさらにフランス語の勉強への意欲を掻き立ててくれています。フランス語という枠を超えて様々な体験ができているのはフランス語と出会えたからです。このようにフランス語は私の視野を広げてくれる存在であり続けると思います。


Service Traduction de l’APEF

La section de traduction sera fermée du mardi 29 avril  au mardi 6 mai 2025. Nous reprenons notre service à partir du mercredi 7 mai. Nous vous remercions de votre compréhension.
L’APEF est l’une des premières agences de traduction reconnues par l’Ambassade de France au Japon. Fort de notre grande expérience, nous sommes prêts à satisfaire vos besoins.

L’APEF vous propose des traductions sur différents supports de communication dans divers domaines : non seulement pour les documents habituels pour obtenir des visas*, mais aussi pour la sphère privée ou celle des affaires. N’hésitez-pas à nous contacter pour plus de détails. L’établissement d’un devis est gratuit.

Nos offres de traduction (extrait)

Nos tarifs sont toutes taxes comprises (de 10 %, à partir du 1er avril 2024).

Du japonais vers le français

Copie de registre de l’Etat civil, Acte de naissance,

Fiche d’enregistrement de domicile

Etat civil avant l’informatisation (+1 100 yens)

à partir de 4 400 yens pour 1 personne (+2 200 yens/pers à partir de la 2e personne)

Attestation de fin d’études

Attestation scolaire

à partir de 4 400 yens

Bulletin, Relevés de notes (jusqu’à 15 disciplines)

à partir de 11 000 yens (+110 yens/discipline à partir de la 16e discipline)

Attestation bancaire

à partir de 4 400 yens

Certificat d’identité (permis de conduire, passeport etc.)

6 600 yens

Attestation fiscale

à partir de 7 700 yens

Carnet de santé

à partir de 8 800 yens

C.V.

à partir de 7 700 yens

Déclaration de mariage/divorce (format A3)

(+110 yens /mentions supplémentaires)

à partir de 9 900 yens

Certificat de réception de déclaration de mariage/divorce (format A4)

4 400 yens

Déclaration de naissance / décès (format A3)

11 000 yens

Du français vers le japonais

Diplôme, Attestation

à partir de 6 600 yens

Etat civil (Acte de naissance etc.)

à partir de 6 600 yens

Bulletin, Relevé de notes

à partir de 11 000 yens

● Demande simultanée de plusieurs exemplaires : 550 yens/feuille à partir de 2e exemplaire

● Réduction possible pour la reprise de demande du même document

La procédure de demande

    1. Merci de nous envoyer le document à traduire* par télécopie, par courrier ou par courriel en pièce attachée. Veuillez nous indiquer vos coordonnées (adresse postale, téléphone, courriel etc.) en remplissant notre formulaire de demande ou en nous envoyant un courriel.

      version word Formulaire de demande (Word)   pdf Formulaire de demande (PDF)

      Faites nous parvenir la transcription des noms propres présents sur votre passeport ou votre carte d’identité. Si les noms propres sont en katanaka, indiquez-nous la transcription en alphabet latin, ou s’ils sont en alphabet, merci de nous communiquer la transcription en katakana officiellement enregistrée auprès des autorités japonaises.

      *Pour une traduction assermentée, nous vous prions de nous envoyer l’original.

      N.B. Merci de nous confier les documents préalablement apostillés si besoin.

      Cf) « What is an Authentication (of official seals) / Apostille? » (Informations par le Ministère des Affaires étrangères du Japon, page en anglais)

    2. Nous vous communiquerons le tarif (y compris le frai d’envoi) et le délai par retour de courriel. Merci d’effectuer le virement sur l’un de nos comptes suivants :

Sumitomo Mitsui Banking Corporation

Agence : Iidabashi

Numéro de compte : futsu 5061932

Titulaire : Koekizaidanhojin Furansugo Kyoiku Shinko Kyokai

Mizuho Bank, Ltd.

Agence : Kudan

Numéro de compte : futsu 8034171

Titulaire : Koekizaidanhojin Furansugo Kyoiku Shinko Kyokai

  1. Le délai de remise est approx. 5 jours ouvrables après le règlement. (5 à 8 jours ouvrables pour les bulletins de notes, lettre de motivation etc.)
  2. La traduction sera envoyée par le Letter pack light ou le Letter pack plus. Gratuit pour la remise en main propres.
    [Attention]Nouveaux tarifs postaux en vigueur à partir du 1er octobre 2024 En raison d’une hausse des tarifs postaux de la Poste Japonaise, nous vous demandons de verser les tarifs suivants à partir du 1er octobre 2024. Le letter pack light : 430 yens      Le letter pack plus : 600 yens

Contact : Miyuki AWANO Section traduction

Association pour la Promotion de l’Enseignement du Français au Japon

Kudan 101 bldg., 1-8-1, Kudan-kita, Chiyoda-ku, 102-0073 Tokyo, Japon

TEL : 03-6268-9534 FAX : 03-3239-3157

E-mail: honyaku@apefdapf.org

5月の大型連休期間の休業についてのお知らせ

 公益財団法人フランス語教育振興協会・仏検受付センターは、大型連休に伴い、5月2日(水)を休業とさせていただきます。5月1日(火)は平常どおり営業し、4月28日(土)~4月30日(月)および5月2日(水)~5月6日(日)を休業期間とします。つきましては、休業期間中にお寄せいただく仏検・翻訳・APEF青山フランス語プロフェショナルコースの各業務についてのご依頼・お問い合わせが5月7日(月)以降のご対応となる可能性がございますことを予めご了承ください。

 ご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

自分を成長させてくれるフランス語

2017年春季準2級合格
青木 智哉
大学生/高知大学・高知県

私は現在大学3年生です。

フランス語に出会ったきっかけは大学1年生のころ。

高知大学では初年次に第2外国語を1つ選択するのですが、その時に選んだのがフランス語でした。

先生は社会文化面も紹介しながら、フランス語をわかりやすく教えてくれました。これをきっかけに、私はフランス語を自主的に勉強したいと思い、自分に合うフランス語教材を探し、購入。例えば当時使っていた教材『キクタン フランス語』(アルク)では、音楽のリズムでフランス語単語を楽しく覚えることができます。そのため、自身の語彙力が成長し、よりフランス語の授業が楽しくなりました。

私はさらに「フランス語をもっと使えるようになりたい!」と思うようになり、仏検準2級を受験することを決意。準2級に合格するためには、書き取り試験が重要になります。

ライティング力の乏しかった私は、対策として2か月前から『フランス語で日記をつけよう』(白水社)を使って日々の日記をつけ始めました。フランス語の書き言葉は話し言葉とかなり違っており(例えば単純過去)、何も参考にせずに書けるようになるまで2か月程かかりました。しかし、今思えばこのような地道な努力が、自分にとってよい結果をもたらしてくれていました。

結果は見事、仏検準2級合格。また、近い時期に受けたDELF A2試験にも合格しました。 

さらにその2か月後、私は念願の目標であった「仏語圏に行き、生のフランス語に触れる」経験をカナダのモントリオールで実現しました。カナダ、特にモントリオールは、フランス語と英語が公用語となっている都市で、町の皆さんほとんどがフランス語もしくは英語を話せます。フランス語を現地で学びたいけれどコミュニケーションできるかどうか不安という方には特におすすめの場所です。私はホストファミリー、語学学校の友達、ショップの店員、バスの運転手など多くの人々と主にフランス語で交流し、刺激的な毎日を送ることができました。この場所は、私にとって「第2のふるさと」です。街並みの美しさ、人の温かさ、治安の良さ、多文化性、エンターテインメント。私にとっていつか必ずまた訪れたい思い出の場所となりました。

最後に、私にとってフランス語は「自己成長の機会をたくさん与えてくれるもの」。仏検やDELFの試験など、フランス語を通して、たくさんの新たな人々との交流が生まれました。日々の学習の継続が、私のスキルを上げ、そして恐れず自分の目標に向かって行動できる人に変えてくれたのです。



見学申込・受講登録

見学申込

授業見学お申込みフォーム」に必要事項をご入力の上、送信してください。折り返し授業URLおよび授業資料をお送りいたします。事前にメールまたはお電話にてご相談いただければ、可能な限り対応いたします。

受講登録方法

[1] 前学期から継続受講の方は個別にご案内いたします。新規受講を希望される方は 2025年度春学期  受講者募集のお知らせ をご覧ください。また、 短期集中講座の受講についてはこちら をご覧ください。

[2] お申し込み受付後、ご登録メールアドレスに確認のメールをお送りします。受講クラスや入学金・受講料のお支払い等についてご案内いたします。

[3] メールでのご案内にしたがって受講料を銀行振込にてお支払いください。お支払い期限は原則として初回開講日の10日前です。

< 振込先 >

 みずほ銀行  九段支店(店番号532) (普)1805436

(口座名義)公益財団法人 フランス語教育振興協会 教育口

[4] ご入金確認の後、開講5日前を目処に、受講票を発送いたします。

受講登録に関する注意事項

・いったん納入された入学金はご返金いたしかねます。

・休学をはさんで次年度以降に受講を再開する場合、あらためて入学金をお納めいただきます。

・受講料は所定の期日までに納入してください。入金が確認できない場合、申込が取り消しとなります。

・学期途中で退学される場合、残りの授業回数分の受講料は返金しますが、手数料として1万円を申し受けます。

個人情報の取扱について

入学テスト出願および受講にあたって申込書に記入された個人情報は、 APEFの個人情報保護方針 に準じて取り扱います。

お問い合わせ

公益財団法人 フランス語教育振興協会

APEF青山フランス語プロフェショナルコース担当

〒102-0073東京都千代田区九段北1-8-1 九段101ビル6F

TEL(直通):03-6268-9680 FAX:03-3239-3157

E-mail: cours@apefdapf.org

   

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APEF青山フランス語プロフェショナルコースのご案内

2025年度も「通訳者養成コース(本科)」は、青山学院大学の施設とオンラインシステムZoomを使用し、フレキシブルな授業形態を目指す「*ハイブリッド授業(ハイフレックス型授業)」の形式で開講します。「通訳者養成コース(準備科・基礎科)」「翻訳コース」についてはZoomによるオンライン授業のみの開講となります。

*ハイブリッド授業(ハイフレックス型授業)とは? 1つの授業を、対面方式とオンライン方式で同時に行う授業方法です。講師は対面で授業を行い、受講生は教室で授業に参加するか、リアルタイムで遠隔からオンライン授業に参加するかを選ぶことができます。教室で参加する方とオンラインで参加する方が、同じ授業を同じタイミングで受講し、相互にコミュニケーションが取れるシステムです。

aogaku001 フランス語は世界で30か国以上において公用語として認められており、話者の数は2億人を超えています。とりわけアフリカ諸国における顕著なフランス語使用状況からみて、高度なフランス語を使用することのできる日本人を養成することは、フランス語教育の振興だけでなく、フランス語文化圏との交流をさらに高いレベルで進めるうえで必要なことです。

公益財団法人フランス語教育振興協会(APEF)は、1981年の創設以来、実用フランス語技能検定試験(仏検)を実施し、受験者は97万人を超えています。そのうち仏検1級受験者は29,972名、合格者は2,982名、準1級受験者は44,536名、合格者は8,807名(2024年度まで)を数えています。この数字は10,000人を超える方がフランス語の実用技能においてきわめて高いレベルに達したことを示しています。APEFは、1級・準1級合格者がさらにその先のレベルを目指し、広くフランス語文化圏で活躍するためのフランス語のスキル獲得の機会を得るために、2018年4月より青山学院大学と協定を締結して、「APEF青山フランス語プロフェショナルコース」という教育事業を発足させました。

青山学院大学のご理解のもと、APEFが目指した高度なフランス語使用者養成の機会を確保することができました。経験豊かな講師陣と熱心な受講者そしてAPEFスタッフの共同作業の結果、これまで優れた実績を上げることができました。さらに、2021年4月からは青山学院大学文学部フランス文学科との協定に切換えて本コースを継続することが決まり、大学と大学院のカリキュラムとつながる新しい試みができるものと期待しています。

aogaku002 青山学院大学青山キャンパスは渋谷駅と表参道駅から近く、きわめて利便性の高い場所にあります。また、本コースの「通訳者養成コース」は、同大学の同時通訳者養成に対応した最新のシステムを備えて教室で行われます。

このコースは、通訳者養成コース(準備科・基礎科・本科の3クラス)、翻訳コース(基礎科・本科の2クラス)からなり、フランス語を日本語に、日本語をフランス語に通訳あるいは翻訳する能力をプロフェショナルレベルに高めることを目的としています。そのために、現在フランス語会議通訳者として第一線で活躍している講師陣を招きました。

コースの概要と受講レベルのめやす

2コース5クラスと短期集中講座を開講します。開催日時や受講料などの詳細はこちら

通訳者養成コース準備科 *オンライン授業

レベルの

めやす

仏検2級・準1級/ DELF B1・B2 定員 15名 講師

菊地歌子、Eliane Cloose

寺嶋美穂

本格的な通訳訓練を始める前の準備講座です。動画を使った通訳練習(仏→日)や、短文の翻訳練習(日→仏)を取り入れながら、関連する文法演習と派生する語彙の整理、聞き取り練習とフランス語らしい的確な表現力を養成し、通訳に必要な基礎を強化します。
通訳者養成コース基礎科*オンライン授業

レベルの

めやす

仏検準1級/ DELF B2以上 定員 15名 講師 三浦信孝、Catherine Ancelot 宇都宮彰子、小林新樹
通訳者養成コース本科*ハイブリッド授業8回、オンライン授業7回の予定 

レベルの

めやす

仏検1級/ DALF C1以上 定員 10名 講師 三浦信孝、Catherine Ancelot 宇都宮彰子、小林新樹
ニュースや講演などを素材に仏日と日仏の両方向で逐次通訳の訓練を行います。要約練習、ノートテーキングやサイトトランスレーション、ゲストスピーカーを招いてのライブ通訳訓練を含みます。基礎科はエスコート通訳レベルをめざし、本科は会議通訳者をめざします。
翻訳コース基礎科 *オンライン授業         

レベルの

めやす

仏検2級/ DELF B1以上 定員 8名 講師 小野潮、Catherine Lemaitre
翻訳コース本科 *オンライン授業 

レベルの

めやす

仏検準1級/ DELF B2以上 定員 8名 講師 三浦信孝、Rodolphe Diot
新聞・雑誌の記事などを素材に仏日と日仏の両方向で基礎的な翻訳技術の訓練を行い、本科ではさらに高度な翻訳技術を磨きます。毎週課題翻訳を提出してもらい、次回講師が添削し模範訳例をつけて返却します。翻訳には文法と語彙の知識だけでなく広い教養と専門知識、調査能力が必要です。
「リモート同時通訳ワークショップ」 *オンライン授業

レベルの

めやす

仏検1級/

通訳実務経験3年以上

定員 5名 講師 宇都宮彰子
同時通訳のスキルに特化してブラッシュアップを目指す、少人数制ワークショップです。訳の中身を丁寧に見ていきます。
 

講師紹介

主任講師 三浦 信孝  MIURA Nobutaka

profil_miura 担当クラス:通訳基礎科・本科/翻訳本科

1945年盛岡市生まれ、東京大学教養学科フランス科卒、同大学院仏文科博士課程満期退学、現在は中央大学名誉教授、日仏会館顧問。1970年代6年半のパリ大学留学時代にフランス語通訳を始め、帰国後は大学教師を本業としながらフランス語会議通訳の第一線で活躍。1980年から東京日仏学院でフランス語通訳の授業を担当、1990年から最近までサイマル・アカデミーでフランス語コース主任講師を務めた。 著書に『現代フランスを読む:共和国・多文化主義・クレオール』、編著に『日仏翻訳交流の過去と未来』など。フランス語論文多数。APEF青山フランス語プロフェショナルコースでは、通訳と翻訳の授業を担当する。通訳はoralからoral, 翻訳はécritからécritへの転換作業だが、両方を学ぶことで相乗効果が出ると信じている。

 

カトリーヌ・アンスロー ANCELOT Catherine

profil_ancelot 担当クラス:通訳基礎科・本科

1983年パリのINALCO(国立東洋言語文化研究大学)修士卒、東京在住30年、日仏会議通訳の第一線で活躍し、井上靖や遠藤周作、円地文子などの文芸翻訳も手がける。1998年丸谷才一『たった一人の反乱』の仏訳で野間文芸翻訳賞を、2015年芥川龍之介の短編集『馬の脚』の仏訳で小西財団の日仏文学翻訳賞を受賞した。1994年から外務省のキャリア外交官のためのフランス語通訳研修にて講師を担当、現在に至る。授業では日本のニュース解説やトピックスを取り上げフランス語に通訳する。フランス語の正確さと分かりやすさにこだわりながら、基本的な語彙、専門用語、時事問題の基礎知識を身に着けていくことに焦点を当てる。授業で扱うテーマに関して事前に授業案内でお知らせしたうえで関連の新聞記事やリンク等で予習をしてもらい、クラスで録音音声や受講生による日本語の発表を使いながら日本語からフランス語への通訳の訓練を行う。

 

小林 新樹 KOBAYASHI Shinju

profil_kobayashi 担当クラス:通訳基礎科・本科/Le Mondeの経済記事精読

理学博士(数学)。第二外国語に選んだ仏語に強く惹かれ、某大学在職中に念願のフランス留学を果した際には、数学より仏語学習に没頭。不惑の年を以て通訳に転身し、改めてパリ第三大学に留学後、同時通訳者として活動(詳細は こちら )。仏語の発言を聞いた際、その趣旨が明確につかめれば分かり易い日本語にできます。しかし実際には、既知の単語が並んでいると何となく理解した気になり、具体的に何を言いたいのか把握しないまま訳してしまうことがあります。その時、訳文はメモした単語の訳語を組み合わせただけになり、聞き手の頭にすんなり入るものとは言えなくなります。授業では、 Le Monde 紙の経済記事を精読し、「趣旨を具体的に把握する」とはどういうことか、実例によって体験していただきます。それをヒントに、日頃の学習でも具体的な趣旨を把握するよう心掛け、聞き手に分かり易い訳をアウトプットできる通訳になってください。

 

宇都宮 彰子 UTSUNOMIYA Akiko

profil_utsunomiya 担当クラス:通訳基礎科・本科

サイマル・アカデミー フランス語コース受講をきっかけに通訳への関心が高まりパリに留学。パリ政治学院Certificat d’Etudes Politiques取得後、パリ第三大学の通訳翻訳高等学院Ecole Supérieure d’Interprètes et de Traducteurs (ESIT) で学ぶ。1999年同校卒業と同時に通訳業に従事し、フランス語会議通訳の第一線で活躍。大学等で通訳教育にも携わる。本コースでは、主にフランス語から日本語への通訳演習を担当。的確な要点把握と迅速で簡潔明瞭な訳出を目指し、そのために必要なプロセス解説と実践練習を行う。フランス語の聴解と並んで重要となる日本語の語彙や表現力強化にも取り組みたい。本科では、同時通訳練習も取り入れる。

 

菊地 歌子 KIKUCHI Utako

profil_kikuchi 担当クラス:通訳準備科

1974年朝日新聞主催フランス語弁論大会で優勝し、1975年からモンペリエ大学で教師養成コース及び学部、ストラスブール大学で修士課程まで、4年間留学。帰国後、1986年にストラスブール大学で音声学の博士号を取得。同時期にフランス語通訳業を始め、日仏会議通訳の第一線で活躍を続けている。フランス語教育では、2009年4月から2016年3月まで関西大学外国語学部教授。現在、同名誉教授。アテネ・フランセ講師として、初級の基本から上級の通訳・翻訳および教授法を担当している。授業では、ある程度長い期間話題になりそうなテーマを中心に、文字資料で構文把握の確認、語彙や背景知識を準備する。次に同じテーマで、France 2 のニュースを日本語に訳す練習をする。この過程ではメモの取り方を練習しながら、特に文脈に合った語彙の選択や日本語の明瞭さなどに注意して訳す。並行して、基本的な表現を素早く正しく日仏双方向で訳す練習や、間違いやすいフランス語の表現や基本動詞の使いかたなどの確認をする。

 

永見 文雄 NAGAMI Fumio

image_en_attente 担当クラス:翻訳本科

1947年生まれ。東京大学教養学科卒、同仏文大学院博士課程中退。フランス政府給費留学。東京大学文学部助手などを経て、1990年4月から2018年3月まで中央大学文学部教授。現在、同名誉教授。2006年4月から2年間パリ国際大学都市日本館館長。 専門は18世紀フランス文学・思想史。著書に『ジャン=ジャック・ルソー-自己充足の哲学』、『菩提樹の香り-パリ日本館の15カ月』ほか、共編著に『ルソーと近代』、訳書にJ=J・ルソー『ポーランド統治論』、同『フランキエール氏への手紙』を初め、シャップ、プレヴォー、リュスタン・ド・サンジョリ、テラソン、コワイエほか、共訳書にP・ゲイ『自由の科学』、J・ドリュモー『恐怖心の歴史』、B・ベルナルディ『ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学』。

 

小野 潮 ONO Ushio

担当クラス:翻訳基礎科

1955年生まれ。東北大学仏文学専攻卒、東北大学大学院仏文専攻博士課程満期退学。石巻専修大学、北海道大学助教授を経て1999年より中央大学文学部教授。NHKまいにちフランス語講師(2009~2011年)。パリ国際大学都市日本館館長(2015~2017年)を務める。専門はフランス文学、とくにスタンダール。著書に『知っておきたいフランス文学』(明治書院)、『対訳《赤と黒》』(白水社)など。訳書にトドロフ『善のはかなさ』『屈服しない人々』(新評論)、『越境者の思想』『バンジャマン・コンスタン』『異郷に生きる者』『文学が脅かされている』(法政大学出版局)、ドリュモー『地上の楽園』『千年の幸福』(共訳、新評論)、マルク・フェロー『戦争を指導した七人の男たち』など多数。授業では翻訳基礎科を担当し、多彩な文章を読み解いていきます。とくに多様な用法を持った言葉をどのように区別しながら文章を読み進めるかに力点を置いて、解説を進めていきます。

 

エリアーヌ・クローズ CLOOSE Eliane

担当クラス:通訳準備科

Née à Paris, titulaire d’un master de Français Langue Étrangère et de gestion. Professeur de français au Japon dans plusieurs universités depuis 1989, spécialiste des affaires, en charge de cours de traduction depuis 1996, et jury d’examen de Delf et Dalf. Auteure du Français du Monde du travail, manuel de français des affaires. Mon enseignement repose sur les techniques d’écoute du français (phonétique), et la coordination de tous les outils (l’écoute, les connaissances grammaticales, le vocabulaire mais aussi la logique et l’imagination) pour pouvoir réussir à comprendre même ce qu’on n’a pas appris !

 

カトリーヌ・ルメートル LEMAITRE Catherine

担当クラス:翻訳基礎科

Au Japon depuis une vingtaine d’années, Catherine Lemaître est éditrice, traductrice et enseignante de FLE. Elle a traduit plusieurs livres sur la culture japonaise en français dont 「和食宝典」(Le grand livre de la cuisine japonaise, Ed. du Chêne et 「日本の庭と盆栽」(Jardins et bonzaïs japonais, Ed. de Paris). Elle est également l’auteur de「教室の中のアート」(Art en cours, 集英社・日仏学院) et de Japon (Ed. du Chêne, coll. Grands Voyageurs). Elle enseigne l’art de traduire depuis 2009 ans. Sa devise est “Traduire c’est écrire.”

 

ロドルフ・ディオ DIOT Rodolphe

image_en_attente 担当クラス:翻訳本科

2016年、日本語の1級教員資格(アグレガシオン)を取得後、日本における書写・書道教育に関する研究論文を母校のパリ国立東洋言語文化研究所(INALCO)に提出し、博士号を取得。 また、お茶の水女子大学や立教大学を始めとして、20年以上大学のフランス語教育に従事しています。 翻訳歴も長く、これまで手がけた文章は岡倉天心や辻井喬のエッセイからアイヌ民謡などまで多岐にわたっており、目下、辺見じゅんの『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』のフランス語訳に取組中です。 授業ではニュース記事を中心に和文仏訳の練習を重ねていきます。

 

寺嶋 美穂  TERASHIMA Miho

寺嶋美穂先生担当クラス:通訳準備科

フランス生まれ。幼稚園から大学院までフランスで教育を受ける。2007年パリのINALCO (国立東洋言語文化研究大学) 日本語学科及び国際関係学士卒。パリ第三大学の通訳養成高等専門職課程 Ecole Supérieure d’Interprètes et de Traducteurs (ESIT) で通訳を学び、2012年に翻訳科修士卒。2017年より日仏会議通訳・翻訳業を始める。

   

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2019年度春季試験 パリ会場での受験について

2019年度春季試験 パリ会場での受験について

cyclistes
仏検はフランス・パリ会場でも実施されています。
春季に1級・2級・3級秋季に準1級・準2級を受験できます。
1次試験、2次試験のいずれかのみをパリ会場で受験することも可能です。
ただし、検定料や1次試験開始時刻が日本国内とは異なります。
お申し込みの前に十分ご注意ください。

実施級

 1級 2級 3級 ※2019年度秋季試験では準1級・準2級が実施される予定です。

試験日程・会場

1次試験

2019年6月16日(日)

1級 8:30 〜 11:302級 8:30 〜 10:553級 9:00 〜 10:15

会場(予定) : パリ・デカルト大学
       
Université Paris Descartes (Site COCHIN)
        24, rue du Faubourg Saint-Jacques 75014 PARIS

※注意 パリ・デカルト大学には複数の校舎があります。住所・番地をよく確認のうえご来場ください。

2次試験

2019年7月21日(日)
集合時間は受験票(1次試験結果通知)に個別に記載します。

会場(予定)
: パリ国際大学都市 日本館
        7C, Boulevard Jourdan 75014 PARIS

検定料

1級 13,000円2級 9,000円3級 7,000円

※上記価格は2019年度春季時点でのものです。2019年度秋季から検定料は改定されています。
* 1次試験、2次試験のいずれかのみをパリ会場で受験する場合でも、上記検定料が必要です。
* ユーロ建て小切手・為替等でのお支払いは受けつけられません。
* インターネット申込で日本国外のカードをご利用の場合、引き落とし金額は各国通貨に換算されます。

出願方法・受付期間

願書でのお申し込みは仏検受付センターへの郵送のみ受けつけます。
出願方法と受験の流れで大まかな流れをご確認のうえ、お申し込みの際は以下の点にご注意ください。

注意事項

  インターネット申込 願書郵送申込
検定料
納入方法
クレジットカード

※決済方法選択画面で「クレジットカード」を選択
※日本国外のカードをご利用の場合、各国通過に換算された金額が引き落とされます
郵便振替または銀行振込

※書店・生協ではお支払いいただけません
出願締切 5月22日(水) 日本時間23:59 5月15日(水) 日本国内の消印有効
※願書提出先:仏検受付センター
※国外からの投函時は5月15日(水)必着

各種案内・通知の発送予定日

パリ市内から発送いたします。未着のお問い合わせは仏検事務局までお寄せください。
合格証書は最終合格者にのみ発行されます。
インターネット申込ご利用時の合否結果閲覧期間は日本国内と同じです。

案内・通知発送予定未着問い合わせ期間
1級 2級 3級受験票 6月7日(金) 6月10日(月)〜 6月14日(金)
1級 2級1次試験結果通知 7月15日(月) 7月17日(水)〜 7月19日(金)
3級最終結果通知
合格証書
7月22日(月) 7月29日(月)〜 8月2日(金)
1級 2級最終結果通知
合格証書
8月12日(月) 8月19月(月)〜8月23日(金)

お問い合わせ

公益財団法人フランス語教育振興協会 仏検事務局 
      ※在仏日本人会へのお問い合わせはご遠慮ください。
TEL : +81-(0)3-3230-1603 MAIL : paris@apefdapf.org
受付時間 : 月〜金(祝祭日を除く) 日本時間 9:00 〜 17:00

第24回 時制を「視点」で整理してみよう(2) (中級からその先へ)

大阪大学准教授 林 千宏

前回は「視点」を中心に、現在時制、過去時制を整理してみましたが、今回は「未来」も含めて整理してみます。まずは、前回の図をもう一度見ておきましょう。

fig05_pc&pqp500x150

この「過去」に対し、今回は「未来」も含めて整理してみます。

                

「未来」は現在の視点から、これから起こるであろう出来事に思いをはせます。

フランス語の単純未来形の語幹は、多くの動詞では不定詞の語末 -r(ただし -re の場合 e を省く)と形が同じですが、一部の動詞については特有の語幹がありますね。これは覚えておきましょう(未来以外でも使えるからです)。

例えば finir は

je finirainous finirons
tu finirasvous finirez
il finirails finiront
elle finiraelles finiront


そして活用語尾(特にの部分)ですが、一見して何かに似ていますね。そう、avoir の直説法現在形です。もちろん、nous, vous の語尾は違いますが、他は全く同じです。次の問題を試しに解いてみましょうか。


(1)   – Tu resteras longtemps ici ?
        – Je ( partir ) quand la pluie s’arrêtera. (17春)

(2)   – Il pleuvra demain ?
        – Non, il ( faire ) beau. (15秋)
 

(1) 答えは partirai。「君は長いことここにとどまるの?―雨が止んだら出発します。」ですね。現在の視点から見て「雨がやむ」「出発する」の両方とも未来です。ここは難しく考える必要はありません。

そして、
(2) は fera です。「明日雨がふるかな?―いや、晴れるよ。」というやり取りです。この文章でも「雨が降る」「晴れる」両方とも現在から未来に思いをはせるわけで、未来形が正解となります。faire などの不規則な未来形語幹は覚えなくてはなりません!

                

さらに未来のある時点にすでに完了した出来事を述べるときには?

このあたりから記憶があやしくなる方も多いかと思います。そして実際のところ、仏検の3級で問題となることもめったにありません。「じゃあ私には必要ないか」と、読むのをやめようと思ったあなた!ちょっと待ってください!!フランス語の時制で混乱してしまう、という原因の多くは、「中途半端に知識を持っている」ことに由来します。初級の授業で、最後の方にとりあえず習った、というその「とりあえずの知識」が腑に落ちないまま他の知識と混ざることが、混乱の原因のひとつです。ですから、この機会に、ぜひ視点を中心としたフランス語の時制の大まかな「見取り図」を頭に入れておくことをお勧めします!それにここまでついて来られたあなたには、まったく難しくないはずです。

では気を取り直して、「未来のある時点にすでに完了した出来事を述べるときには?」

初級の授業でも聞いたことがあるかもしれませんね。これは「前未来」という時制です。活用形は?そう、

avoir, être 直説法単純未来形+過去分詞

です。

ここで、視点を中心に据えた現在と半過去の図に戻ってみましょう。
未来形、前未来形を書き込むと次のようにあらわせます。

fig07_futur&futuranterieur500x100

例文としては次を見てみてください。

Tu sortiras quand tu auras fini tes devoirs.
「宿題を終えたら、出かけてもいいよ」 

「出かける」という時点までに、「宿題を終えてたらね」という話ですね。2つの行為の時間関係はこの場合、分かりやすいのではないでしょうか。

Pourras-tu venir me voir quand tu auras fini ton travail ? 
「仕事を終えたら、会いに来てくれる?」 

こちらも「仕事を終える」と「会いに来る」の時間関係は分かりやすいですね。

では、ここで質問です。過去のある時点から未来のことを述べるとき(過去における未来)、どんな時制を使うのだったか覚えていますか?
答えは、「条件法現在」です。では、条件法現在の活用形は?

正解は

直説法単純未来の語幹+直説法半過去の活用語尾

です。

なんでこんな組み合わせなんだ!と思われた方も多いでしょうが、この半過去の視点を中心に据えた時間軸を参照すると、理由もわかるような気がしませんか?

fig08_conditionnelpresent500x150

例文を見くらべてみましょう。
まずは現在の視点の文章から、

Je suis sûr que tu finiras ton travail ce soir.
「君が今晩仕事を終えることを僕は確信してるんだ」

こんなことを言われるとすごいプレッシャーですが、内容はさておき、今晩という未来に、君が仕事を終えることを、「僕」が現在の視点から確信しているということです。

それが次の文章では時制が変わり、意味も変わってきます。

J’étais sûr que tu finirais ton travail ce soir-là.
「君がその晩に仕事を終えるだろうって僕は確信してたよ」

こう言われると、「で、どうなったの?」と続きが気になりますが、それは自由に想像してもらうとして、私が確信していた、という過去の状態があり、その過去の視点からの「未来」が「その晩」ce soir-là ですね。この2つの文章、特に下線部を見くらべてみてください。現在の視点、半過去の視点が実感できませんか?!

つまり、直説法単純未来は、

単純未来の語幹+未来の活用語尾(≒ avoir の直説法現在形)

過去における未来は、

単純未来の語幹+半過去の活用語尾

なのです。

では、「過去のある時点からみた未来にすでに完了していること」(過去における前未来)は?これまでは答えが出るまで数秒かかった人も、上の図を見れば一目瞭然ですね。そう、「条件法過去」です。形は、

avoir, être 条件法現在+過去分詞

です。

fig09_conditionnelpresent&passe500x100bis

例えば、 

Il m’a dit qu’elle viendrait quand elle aurait fini son travail.
「彼女は仕事を終えたら来るだろうって彼が僕に言ったんだ」

それで彼女は来たんでしょうか?来なかったんでしょうか?なんだか複雑な状況ですが、注目していただきたいのは3箇所の下線部です。主節の動詞 dire には複合過去、従属節の1つ目の動詞 venir は条件法現在(過去における未来)、2つ目の動詞 finir には条件法過去(過去における前未来)が用いられていますね。

この文では過去のある時点、すなわち「彼が僕に~と言った」時点は複合過去で設定されていますが、過去における未来・前未来という時制の性質を考えると分かりやすいように、一旦過去のある時点が設定・提示された後は、従属節中ではやはり話し手の視点は過去のある時点に移動し、そこから未来に思いをはせているというわけです。

                

いかがでしょうか。ここで、これまでの時制をまとめてみましょう。視点を中心にすえたパラレルな時間軸を並べると次のようになります。

fig10_revision_560x200ter

こうしてみると、フランス語の時制8つが、活用形も含め、ひとまず整理できたような気になりませんか?!

「それでも、直説法現在の活用や、過去分詞や、半過去の活用語尾、未来形の語幹は覚えないとダメなんですよね?」

その通り!あなたが整理して挙げてくれたその4つは結局のところ、絶対に覚えなくてはなりません。でもその4つを使ってこれだけの時制をつくれるのです!そして覚えるポイントがこの4つだとわかっていれば、存在しないつづりを書いてしまう確率も減るはずです。

あとは、ペンを持ちひたすら書いて覚えましょう。そしてペンよりスマホ、キーボードを触るほうが好きな人は、フランス語活用暗記サイト「活用虎の穴」(http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~iwane/katsuyo/index.html)で!

 

*ここまで読んでくださった方々の中には、上の見取り図でもうまくイメージしにくい例文に出会ったことがあるという方や、「じゃあ単純過去はどうなるの?」という疑問を持った方がいるかもしれません。そうした方はぜひ以下の本を読んでみてください。いうまでもなく上に挙げた説明も、あくまで1つの捉え方ですから、他の観点からの説明をあわせて読むことでより一層時制の理解が深められます。また単純過去などは仏検で直接活用を問われることはありませんが、フランス語の時制すべてを総合的に理解することは、個別の時制の理解にも役立ちます。こうして時制を勉強した後は、ぜひフランス語のテクストを読んでみてください。きっとこれまでよりも奥行きを持って情景が目に浮かぶはずです!

東郷雄二『中級フランス語 あらわす文法』白水社、2011.
曽我祐典『中級フランス語 つたえる文法』白水社、2011.
西村牧夫『中級フランス語 よみとく文法』白水社、2011.
井元秀剛『中級フランス語 時制の謎を解く』白水社、2017.

第23回 時制を「視点」で整理してみよう(1) (中級)

大阪大学准教授 林 千宏

仏検3級の筆記試験 [2] は、設問文の内容に適した形に動詞を活用させる問題です。
きわめて基本的なテスト形式といえますが、毎回正答率は高くありません。
3級受験ということは、ひととおりフランス語の法と時制は学習したものの、まだ整理できていない。語幹と活用語尾の組み合わせも頭の中でごちゃごちゃ。そんな感じではないでしょうか。その結果フランス語に存在しないつづりの活用を書いてしまっている人も見かけます。これを最低限の努力で覚えられないか?はだれもが考えることですが、なかなかこれ!といった方法はありません。結局はコツコツと地道に覚えるのが一番です。でもそんなことを言ってしまうと身も蓋もありませんね。そこで、たくさんある時制を少し整理してみましょう。そうすればちょっとぐらい覚えるのが楽になるかもしれません。

                

フランス語の時制を初めて学ぶ多くの方が最初に戸惑うのが過去時制、特に半過去でしょう。半過去の形はさすがにもう覚えているでしょうか。直説法現在 nous の語幹に半過去の活用語尾をつけるのでしたね。例えば finir「終える」は

finir → nous finissons

je finissaisnous finissions
tu finissaisvous finissiez
il finissaitils finissaient
elle finissaitelles finissaient


そして用法は、一般的に教科書では次のように説明されています。

「過去のある時点、時期における状態や、過去のある時点、時期において進行中の出来事を表す」(『新・フランス語文法 三訂版』、朝日出版社、2017)

また「反復」「過去の習慣」といったキーワードも加えて説明されます。おそらく多くの方はこのような説明を聞いたのではないでしょうか。

こんな説明を聞いた後でも、複合過去とどう違うのかわからない、実際に過去の文章ではどちらの時制を使えばよいかわからない、という方も多いようです。

そんな方に紹介したいのが、「視点」を中心とした時制のとらえ方です。

たとえばあなたが直接法現在という時制を用いて語るとき、あなたの視点は現在(A)にあります。目の前で展開されるように語る。それが現在の視点です。

fig01_present500x100

それに対して、半過去はあなたの視点を過去のある時点(B)に移動させ、そこで目の前で展開される事態を語る、そんな時制なのです。つまり「過去における現在」のような感じですね。

fig02_A&B_imparfait500x100

現在目の前のことがらを述べる、というのは、それまでにどうであったか、あるいはこれからどうなるのか、にはとりあえず注目はせず、目の前の事態を述べるということですよね。
半過去もそれと同じです。過去のある時点に視点を持っていく。そして目の前の事態がいつから始まったのか、あるいはいつまで続くのかについてはとりあえず注目せず、進行中の事態を目の当たりにしているような時制なのです。例えば次のような状況が目に浮かぶでしょうか。

Quand je suis sorti de l’église, il neigeait.
「私が教会から出ると、雪が降っていた」

ふと街角で目にとまった教会に入ってみると、薄暗い中に思いもかけずきれいなステンドグラスが浮かんでいた、なんて状況がフランスを旅行しているとよくあります。しばらく見とれた後、小さな扉をふたたび開けて暗い教会から出ると外は雪がふっていた、という状況ですね。雪がいつから降っていたのか、それがいつまで降り続けるのか、には触れず、教会から出てきた時点の情景を切り取ったような文章です。こんな感じで半過去が使われます。

このような2つの時制、現在と半過去を、「視点」を真ん中に置き、上下に並べてパラレルに考えてみましょう。

fig03_parallelesAB500x150

ともに「目の前」の出来事を述べるのですが、一方は現在(A)であり、もう一方は「過去のある時点」(B)です。

では複合過去は?これは現在の視点から、過去を振り返った時制です。つまりあなたの視点はあくまで現在にありつつも、現在から過去を振り返って過去のことを述べています。図示するなら以下の通りです。

fig04_passecompose500x150

ちなみに複合過去の形は

avoir, être 直説法現在形+過去分詞

です。この avoir, être の活用形が現在形ですので、その人の視点の位置(時点)が現在というのも覚えやすいですよね。

このように、現在と複合過去は同じ現在の視点を中心とした時制です。それに対して、半過去という時制は、過去の出来事ではあるものの目の前で行われている、進行中・継続中の出来事を見ているような状態です。だから、いつから始まったのか、あるいはいつまで続くのか(完了するのか)は見ていないのです。

この半過去の視点を中心とすると、この視点からさらに過去を振り返るのが、大過去時制ということになります。

fig05_pc&pqp500x150

こうしてみると、複合過去と大過去がパラレルにとらえられますね。ここで大過去の形を思い出しておきましょう。大過去時制は

avoir, être 直説法半過去形+過去分詞

です。この時制でも avoir, être の活用形が視点の位置(時点)と一致しており、覚えやすいですね。いかがでしょうか?過去時制について少しは頭が整理されたでしょうか?

                

では、ここでちょっと練習です。たとえば以下4問はいかがでしょうか。


(1)   – Je ne retrouve pas mes stylos.
        – Ta mère les ( mettre ) sur la table tout à l’heure. (16春)

(2)   – Il dort encore ?
        – Oui, il ( se coucher ) très tard hier soir. (17春)

(3)   – Il est parti pour Tokyo.
        – Ah bon ? Je ( croire ) qu’il était à Paris. (16秋)

(4)   – Hier midi, vous étiez fatigués, n’est-ce pas ?
        – Oui, nous ( marcher ) toute la matinée. (15秋)
 

まず(1)。答えは a mis ですね。「僕のペンがみつからないんだ。―君のお母さんがさっきテーブルの上に置いたよ。」tout à l’heure「さっき」という言葉がポイントですね。これは現在の視点から見ての「さっき」です。そんなわけで複合過去が正解です。

(2) s’est couché です。「彼、まだ眠ってるの?―うん、昨日の晩遅く寝たからね。」これも très tard hier soir「昨日の晩遅く」という現在の視点から見ての語がありますね。さらに「寝る」という動作が始まる点をはっきりと示す必要がありますので、複合過去が正解になります。半過去だといつから寝始めたのかが不明です。

(3) 正答は croyais。「彼は東京に出発したんだよ。―ああそうなの?パリにいるんだと思ってた。」ここで最初から示されている動詞の時制は2つ。Il est parti pour Tokyo「彼は東京に出発した」と、il était à Paris「彼はパリにいた」です。問われているのは Je ( croire )「私は思う」ですから、「彼は東京に出発したんだよ。―ああそうなの?彼はパリにいたんだと(私は)思う」ではなくて「―ああ、そうなの?彼はパリにいるんだと(私は)思ってた」が自然に成立するやり取りですね。つまり、「あなたにそのことを聞くまでの状態」を私は伝えるわけですから、半過去となります。ちなみにこの文のように主節も従属節もともに半過去時制の場合、従属節中の半過去はやはり「過去における現在」の意味です。

(4) 正答は avions marché です。「昨日のお昼、君たち疲れてたよね?―うん、午前中ずっと歩いてたんだ。」という意味です。話されているのは、昨日の正午の時点での「君たち」の様子(半過去)で、その理由として「午前中ずっと歩いてたんだ」ですから、それよりも前の出来事を語ることになり、大過去という訳です。ちなみに marcher は助動詞として avoir を用いることも確認しておきましょう。

ちょっと長くなりましたので今回はここまで。次回は未来について考えます。

フランス語は自分を発見させてくれる言葉

2017年春季準2級合格
久保 結子
中学生/カリタス女子中学校・神奈川県


私は小さい頃、どちらかというと恥ずかしがり屋でしたが、唯一歌ったり踊ったりすることが好きでした。

とりわけ、フランス語の本や歌が大好きでした。
フランス語の歌は、そのなんだかふしぎな発音や繰り返しがおもしろくて、母とよくふざけながら歌っていたことを覚えています。

「イレテ タン プーティナビーエ 〜」が、
《 Il était un petit navire… 》だったり、
「ソーンネレ マティーヌ 〜」が、
《 Sonnez les matines… 》のことだったと知ったのは、つい最近のことです。

「フランス語をしゃべれるようになりたいなあ」とはじめて思ったのは、9歳のとき、ルルドへ行ったときのことでした。
世界中の言語で、一日中祈りの言葉が流れる村で、私は唯一知っていたフランス語の「あめのきさき」を歌いながら、たいまつ行列に参加しました。

Ô Vierge Marie
Le peuple chrétien
À Lourdes vous prie
Chez vous il revient.
Ave, ave, ave Maria…

スペインとの国境、ピレネーの山々にこだまするハーモニーの美しさと、村中にあふれる清らかな雰囲気に、心が震えるような感動を覚えました。

私のフランス語の原点は、ここにあるような気がします。

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その後、仏検やDELFに少しずつ挑戦しはじめた頃、私の家にリヨンから高校生がやってきました。

彼女はお姉さんのように接してくれ、数学を教えてくれたり、ヴェルレーヌの “Chanson d’automne” やアポリネールの “Le Pont Mirabeau” などの詩を暗唱してくれたりしました。

私は彼女と過ごすうちに、小さい頃に感じたフランス語の魅力を思い出しました。
フランス語にはなぜ、発音しない文字がたくさんあるのだろう?などとふしぎに思っていましたが、それがまさに独特の情感を表しているのではないかと、彼女の静かな、流れるような話し方を聴いていて気が付きました。

とはいえ、フランス語の勉強はどんどん難しくなり、複雑な文法や時制にうんざりしてしまうこともあります。
そんなとき、私は好きなフランスの歌手の歌を聴いたり、ポッドキャスト(「Chocolat」や「1jour1actu」など)でファッションや映画の話を聴いたりするのですが、そうすると気分が変わり、また違った角度からフランス語の素敵さが見えてきたりします。

「英語でさえ、まだこれからだというのにフランス語だなんて…」と思ったり、今は将来のことをいろいろ悩んでいます。
この時代、世界のコミュニケーションはほぼ英語ですし、フランス語は急いで身につけなければならないわけでもないからです。

でも、はじめにフランス語から入ったことは、英語の学習の理解を助けてくれるところがあるのかなという気もしています。
なによりも、フランス語は、また違う自分を発見させてくれる言葉のような気がするのです。

そんな意味で、まるで遊びのように楽しくフランス語に触れさせてくださった幼稚園、小学校の先生や、もっと本格的に教えてくださる中学の先生方には感謝しています。

今はやっと入り口に立ったばかり、これからが本番だと思います。

できるなら将来、私は、ルルドで見たたくさんのボランティアの方たちのような、また、テロや紛争で傷つく人々の助けになれるような、フランス語を活かしてなにかに貢献できる人になれたらと思っています。