dapf 仏検

apef アペフ

  • サイトマップ

国際協力とフランス語

2015年春季1級合格
清水 修司
一般財団法人日本国際協力システム(JICS)・神奈川県

1. 仏検受検のきっかけ

私は、国際協力(ODA)実施を支援する団体に勤務しており、日常業務で世界各地の被援助国とやりとりを行っております。大学時代にフランス語を専攻していた関係上、フランス語圏の国とやりとりをしたり、そこに出張したりする機会も多く、業務を通じてフランス語を研鑽できるというありがたい環境におります。このため、フランス語についてはある程度の自信を持っていたのですが、昨年、独立行政法人国際協力機構(JICA)が、国際協力分野で活躍する人材の語学力判定にあたり語学試験の免状に10年間の「賞味期限」を設けたことから、20数年ぶりにフランス語検定試験を受けることとなりました。

20151004ss-03

JICSが建設に協力したセネガルの小学校。校舎の壁に小さく日章旗プレートが埋め込まれている

 

2. 勉強方法

赤ちゃんが母語を覚える過程を鑑みるに、外国語の習得はいかに長く言葉のシャワーを浴びるかにつきると思います。私の場合幸いなことに、日常業務にてフランス語圏の国から寄せられる上質なフランス語で書かれたレターやペーパーを精読する機会が多々あります。それらを読み込むことで、和仏辞書では見つけられない多様な表現やボキャブラリーを習得することができました。また、出張や電話などを通して被援助国の人と様々な協議を行い、彼らのフランス語を直接耳にすることで微妙なニュアンスの伝え方や議論の進め方を皮膚感覚で知ることができました。インターネットでフランス語のニュース番組を視聴したりもしました。様々な機会を通してフランス語のシャワーを浴び続けることがきっと仏検合格への近道なのであろうと、思います。

3. 国際協力

20151004ss-04アフリカを中心にフランス語圏(Francophone)と呼ばれる国が多数あります。私は、国際協力の仕事を始める前は旧フランス植民地の国だからフランス語を教養として理解する人が多いのだろうと漠然と思っていました。
しかしながら実際にFrancophoneの国に行くと、行政や教育、あるいは、ビジネスが現地語ではなくフランス語でなされている実態を垣間見ました。極論すればフランス語がFrancophoneの国においては生きるための必要手段であるのだと感じました。これらの国々の人々は、自国の発展のため日夜がんばっていますが、まだまだ日本がこれらの国の発展のためにお手伝いできる分野がたくさん残っています。このことを思うと、フランス語を勉強した我々日本人の進む道として国際協力という選択肢もあるのではないでしょうか?

4. 最後に

Francophoneの知識層は、自分のフランス語に自信と誇りを持っています。私が交渉に際して提示した文書を見た相手がう〜んと首を傾げるので、何かお気に召さないことがあるのかとひやひやするのですが、熟考の末「ここは単数形ではなく、複数形のほうがフランス語として正確」と指摘されて、安堵と同時に拍子抜けしたこともたびたびあります。

美しいフランス語を習得していることはそういった方々からの尊敬と信頼を勝ち得ることにつながります。その意味でアカデミックなフランス語を学習する機会を与えていただける仏検に大いに感謝する次第です。