ハーフだからと言って生まれつきバイリンガルとは限らない!
2022年度春季1級合格・在日ベルギー大使館/WBI賞
林 マナテア
高校生・茨城県
私は母が日本人、父がフランス人のハーフです。でも生まれた時からバイリンガルというわけではありません。
私は日本生まれで、5歳まで日本に住んでいました。父がフランス人であるにも関わらず、「un deux trois」と言えて喜んでいたくらい、日本語しかきちんと話せていませんでした。
しかし、3.11に被災し、それをきっかけに、フランス領ポリネシアのタヒチ島に引っ越すことになりました。そこで、私は現地の幼稚園に通いはじめました。まだ5歳で、自分がどのような状況に置かれているのかさえ、よく把握できていない中、言葉の通じない学校での日々は孤独でとても辛かったです。友達作りも難しかったですが、まだ幼かったからか、2〜3ヶ月もすれば数は少ないものの、何人かと友達になれました。男子などにはしばしば私の発音等を笑われましたが、力強く庇ってくれた一人の子には今でもとても感謝しています。
それから私はどんどんフランス語を習得してゆき、学校では「頭いいキャラ」にもなれました(笑)。高校2年生まで現地校に通い、昨年日本に帰国して、今は日本の高校に通っています。なので現在は逆に漢字等の学習に苦労しています。
仏検を受験したのは学校の担任の先生に勧められたからです。「私は君がフランス語を話せることはわかるが、大学入学をはじめ、将来のために、君の持っている仏語力の客観的証明となるものは持っていて損しないと思うよ」と言われ、私は納得しました。せっかくだったので1級に挑もうと思いました。過去問を確認してみると、ほぼ全て解けましたが、日本語訳が必要となる部分のできはひどかったです。なので、『仏検のために日本語力を磨く』といったおかしな勉強法をしました。
具体的には、中高生新聞を読んだり、学校の英語の授業での記述式問題は全力で解きました。試験本番は1・2次試験ともに、自分の力を全て出し切れたような感じで、嬉しかったです。合格が発表された時も、とても嬉しかったです。
私の合格体験記は、今後仏検を受験される方にはあまりお役に立てないかもしれませんが、私が一番伝えたかったのは、ハーフだからと言って生まれつきバイリンガルとは限らず、各々どこかで辛い思いをしたり、努力をしたということです。
Sans effort et combat, il n’est point de vertu!