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仏検準1級を受験、取得して
2012年秋季準1級合格
下村 達郎
寺院住職・東京都
準1級の試験において、2級までと大きく違うのは、二次の面接において現実に話題となっている時事問題を扱う点でしょう。
例えば「消費税率引き上げの是非」。消費者として税率が上がらないことを望むのは当然ですが、では引き上げなくてはならないとされる根拠は何なのか。他の税ではなく、消費税にスポットを当てられる理由は何か。そもそも今の日本はどういった目標を掲げ、それにはどの程度のお金が不足しているのか。消費税は日々買い物をする度に支払う最も身近な税金です。しかしながら、私自身その必要性について根拠や背景を把握し、意見を持って日常生活を送っていたわけではなかったため、改めて考える良い機会となりました。
また、「オリンピックを東京で開催したいかどうか」というテーマも考えられます。主催することでもたらされる経済効果や、国際都市としての東京を改めて世界に対し知らしめることができるといった利点が挙げられます。逆に、大掛かりな準備に見合う景気回復が見込めるのか、国内外から多くの人が訪れることによって交通渋滞等の問題が起こらないか、そもそも会場を確保できるのかなど、課題も挙げられます。
一般に日本人は自国のことに関心がない、意見を持たず説明すらできないと言われることがあります。学習を進め、今後海外の方とフランス語で交流する機会が増えていくことを考えますと、この仏検準1級の試験を通じ、自分自身が身を置く社会の現状を見つめ直すきっかけを与えてもらえたのは大変有意義なことであったと実感しています。
話は変わりまして、余談ながら私が準1級受験までに行った勉強について書かせて頂きます。仏語圏に留学したことはなく(一週間程度のフランス滞在は計5回、宗関連の行事等で渡仏することもあります)、NHKラジオ講座(基礎編半年分×1、応用編3ヶ月分×2のディアログを全文暗唱しました)やインターネット上の教材を利用し、同時に東京の語学学校において4年間、週1~2回の授業を受けたところで合格、表彰式にもご招待頂きました。
※写真は2013年6月に行われた浄土宗フランス開教地主催、シャトーにおいての法要の際に撮影
具体的な部分に関して、一次の筆記試験については、[1]で出題される動詞や形容詞を名詞で言い換えるという練習は欠かせないとしても、それ以外はより多くの文章に触れ、自分の中にストックしている語句、表現の量の底上げをする他にないと感じました。また上で触れてきた二次の面接について、私の場合はまず大学入試用の小論文の参考書を読み、質問に対してどういう答えをするものかを確認しました(上でも書きましたが、「税率引き上げについて」を問われた時、「払いたくないから反対」だけでは議論にならないので)。その上で想定したいくつかのテーマに対する回答を用意、ネイティブの友人に添削してもらって、完成した文章を覚え込みました。意見をまとめる際には、そのテーマについてフランス語で書かれた記事をウェブ上で検索し、表現を抜粋するなどして、少しでもナチュラルな表現に近づけるよう努力しました。
勉強の仕方、ペースは人それぞれですが、少しでも皆様の学習の参考になりましたら幸いです。
【仏検事務局より】 このエッセイは2013年度7月にお寄せいただいたものです。掲載が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。