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絵の中から聞こえてくる

2019年秋季2級合格
津上 千春
学生(東京藝術大学)・東京都

私はフランス人やフランス語と出会う前に、フランスの絵画と出会いました。 多くの日本人に愛される印象派絵画は、毎年多くの展覧会が開催されますが、私も中学生で美術館に通うようになると、もれなくその魅力に取りつかれました。フランス人がどんな料理を食べ、どんな言葉で話すかまったく想像もできないうちから、絵に描かれたフランスの風景はいつも私の心の中にありました。

そんな体験から学芸員を志すようになり、今は大学で美術史を学んでいます。本来、言語の壁を越えて共感し合えるのが芸術の良いところですが、研究する立場になるとそれだけという訳にもいきません。大学に入ってから、第2外国語としてフランス語を学び始めました。そして最初の授業で、先生の話すフランス語の詩的な響きに引き込まれました。言っていることの意味が分からなくても、ずっと聞いていたいような心地の良い話し方でした。それは不思議にも、ただずっと眺めていたいとフランス絵画に対して抱く印象と似ていました。自分があこがれ続けてきた芸術作品を生み出した国の言葉として、すんなりと心に入ってきたのです。

最初は、フランス語の試験とはどんなものかと思い仏検5級から受験しました。そのうち大学の講義だけでは足りないと思い、仏検合格を目指して独学するようになりました。そこまでフランス語に力を入れている仲間が周りにいなくて孤独でしたが、仏検の合格証書を貰う度に、努力を認めてもらえたようで励みになりました。

昨年、準2級と2級を併願しましたが、特に2級の面接試験は自分一人で練習は難しいと思ったので、大学のフランス人の先生に添削と面接の練習をお願いしました。それから家で何度も何度も、予想問題への答えを唱えました。自分のフランス語を話す能力を評価してもらえる貴重な機会なので、本番で黙ってしまわないように、緊張していても口が覚えていて勝手に動くくらいには練習して行きました。その場で考えて自分の意見を正確に伝えられる段階には、まだまだ自分は達していないと思います。それでも、面接官の方が頷きながら話を聞いて、その内容について質問を返してくれた時、意思が伝わったことがとても嬉しかったです。

現在はCOVID-19の影響で、フランスとの距離が遠くなってしまったように感じます。しかしフランス美術への理解を深めるためには、いつか必ずフランスに留学したいと考えています。今はその時のための大切な準備期間だと思い、準一級合格を目指しながら自分のフランス語に磨きをかけていきたいです。