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フランスの文化に触れる

2024年度秋季準1級合格
一色 剛
大学職員・愛媛県

 私のフランス語との出会いは、大学1年の第二外国語の授業でした。中国語を希望していたのですが、フランス語のクラスを指定されたのです。当時、フランスについては全く無知でしたが、一から新しい言語を学べるのだと考え直し、積極的に学習しました。母校には個人で計画する海外語学研修の助成制度があり、応募してみると幸いにも選出され、1ヶ月ほどフランスで学ぶ機会も得られました。

 大学卒業後は、大学の職員として勤務することとなりました。留学生のお世話をしたいとの思いから、業務上よく使われる英語を重点的に学習するようになりましたが、フランス語も断続的にですが勉強を続け、50歳という節目の年に仏検準1級を受験することにしました。

 それを機に今までの学習を振り返ると、英語にせよフランス語にせよ、検定試験に合格することが主目的となっており、私自身の内面を豊かにすることには目を向けていませんでした。その反省から、「好奇心」を持って学び、フランスが身近に感じられるようにしたいと考え、今回の受験準備には、楽しむ姿勢を大切にしながら臨むことにしました。たとえば、バンド・デシネなど気になる原書を購入したり、フランス映画を鑑賞したり、近所のフランス菓子店を家族で訪れたり、時にはフランス社会や地理を扱った書籍にも触れるよう努めました。

 仕事や育児のため、学習にまとまった時間を割くことはできず、主にすきま時間を利用した学びを続けての受験でしたが、この度の試験では基準点を少し超える結果となりました。ライティングの点数が予想以上に低かったこと、面接で円滑な会話ができずもどかしい思いをしたことなど、足りない能力が結果には正確に反映されており、今の自分の実力を把握する上で貴重な示唆を得ることができました。反省点として、基本語の2千〜3千語を使いこなせるように実践を重ねることを、これからの課題と捉えています。

 偶然でしたが勤務先の大学で、フランス言語文化を専門とする教授の方と、業務上かかわることがあり、今回の受験結果をお知らせしたところ、どのようにフランス語に接しているかを学生に伝えて貰えないだろうかとのご依頼を受けました。上級者向けのフランス語の授業に招いていただき、上記のとおり、楽しみながら学ぶことが上達のポイントではないか、という趣旨でこれまでの経験を受講生の方々に伝えたのですが、ある学生から「意欲や好奇心といった、内面から出る感情に沿うことって、学んでいく上で本当に大切ですよね」と実感を伴う反応が得られたことが強く印象に残っています。

« Qui va lentement va sûrement, et qui va sûrement va loin. »

 50歳になった今、定年後の生活について真剣に考えることが増えました。私の好きなアートに携わりながら、感受性を豊かにしていきたいと切望しています。特にフランスのアートに直接触れてみたいという夢もあり、その機会が巡ってきたときに備えて、少しずつフランス語を学び続けています。

 今では、母校で期せずしてフランス語に接し得たことが幸運に思えます。定年を見据えてゆっくり学び続け、ある程度の実力が備わった手応えが得られたならば、好成績を目指して準1級に再度トライしてみたいと考えています。