第5外国語は独学で
2017年度秋季3級合格・在日フランス商工会議所賞
小島 圭以
学生(早稲田大学大学院)・東京都
「趣味は語学」とまで公言する私にとって、フランス語は大学院進学と同時に着手した第5外国語で、初めて完全に独学で勉強している言語です。
中学高校時代を過ごした米国(第1外国語は英語でした)で出会ったスペイン語(第2外国語)がきっかけで語学の面白さに目覚め、そのままラテン語(第3外国語)も同時履修し、帰国して大学に入学してからはドイツ語(第4外国語)の授業を受講していました。目標としていた独検2級に学部4年の冬に合格し、新しい言語の勉強に移りたいと考えましたが、興味のある言語は多く、どれにしようかしばらく悩んでいました。そこで博識な知人に相談したところ、「フランス語がいい。習得に努力は必要となるが、社会に出てから絶対に得する」とアドバイスをいただきました。私自身、フランス語は早かれ遅かれ通ることになる道だろうと以前から感じていました。
理系ということもあり、周囲からは多言語を学ぶ楽しさを理解してもらえないことも間々あります。そのような中でも何故語学の勉強をやめられないのか、と言いますと、それぞれの言語の性格を知っていくことで、これまで知らなかった世界を垣間見る感覚がこの上なく楽しいからです。
人間同様、言語にはそれぞれの個性があります。例えば、フランス語の姉妹であるスペイン語はとても「素直」な一面があり、個人的に好感が持てます。それに対して、フランス語は綴りを「無駄遣い」しますし(beaucoupが「ボク」、qu’est-ce que c’estが「ケスクセ」にしかならないなど)、母音の読み方が「我が道を行く」が如く変化していきますし(“e”一つ取っても、[e] [ɛ] [ə]の可能性があったり、“im”や“in”が「アン」になったり)…人間に例えるなら、少し距離を置きたくなるような「ちょっと面倒な人」だと感じてしまうのが正直なところです(笑)。しかし、そんな言語だからこそ自由に操れるようになってみたいという気持ちに火を付けてくれる魅力もあります。
このような発見、フラストレーション、やる気のアップダウン、などを繰り返しながら、僅かな割合ですがフランス語は私の生活の一部となっています。ただ、語学好きとは言え、フランス語圏に行きたいなどといった強い動機がない私のような独学者にとって、常時勉強のモチベーションを維持することは簡単ではありません。そのような状況で、仏検は道を指し示してくれる友のようでもあり、油断すると怠けてしまう私の尻を叩いてくれる一方で結果を出せば褒めてくれる親のようでもあり、フランス語を独学する上で私にとってなくてはならない存在です。
私は2019年3月に大学院を修了し、4月からとある日系グローバル企業に就職する予定です。今や多くの企業で英語力が重視されていますが、それでも依然として日本人は英語を苦手とする人が多い傾向にあると感じています。ただ、これが理由で語学そのものに抵抗感を持ってしまうのはもったいないと個人的にとても思います。フランス語含め、様々な面白味のある言語が世界にはあるからです。
知人の言葉通り、フランス語は確かに習得に努力が必要な言語だと思います。けれども、語学を通して私が見る世界をさらに広げてくれたことに間違いありませんし、とても良い出会いだったと確信しています。今後も、現状に満足することなく、より上の級の合格を目指して邁進していきたいです。
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