パリ・ブレスト・パリへ
2019年秋季2級合格
溝上 将也
高知大学学生・高知県
皆さんは、「パリ・ブレスト・パリ」( 以下PBP ) という自転車の大会をご存知でしょうか。日本でも売られているパリ・ブレストと呼ばれるお菓子がありますが、これは自転車の車輪をモチーフに作られたとされています。この大会は 19 世紀末から始まった世界で最も伝統のある自転車の大会とされており、現在では 4 年に 1 回行われ、2019 年の 8 月に行われた際は世界中のおよそ 90 の国と地域から 6000 人ほどがスタート地点であるパリ近郊のランブイエの町に大 集合しました。ちなみに、私自身もこっそり参加していました。この大会こそが私がフランス語を学ぼうと思ったキッカケ だったのです。
PBP はその参加条件にあたる Super Randonneur と呼ばれる一定の距離を時間内に走る事が出来る証明の獲 得が必須であり、大会期間中は原則として大会参加者以外の手助けは受けることができません。さらに、PBP はパリ からブルターニュ圏の都市ブレストまでの 1200 kmもの超長距離を 90 時間という非常に短い時間で完走しなければならず、現地での対応力が文字通り生死を左右することになります。
以上のことを踏まえると、フランス語の習得が必要不可欠であると考えた私は、英語を差し置いてフランス語の勉強を大学で始めました。当初は、フランス語は PBP のためだけに勉強するはずだったのですが、フランス語の勉強を進めていく中で、想定外の収穫があったと実感しました。それは、「英語以外の外国語を学ぶ楽しさ」というものです。 日本の外国語教育において、小学校から高校まではほとんどが外国語として英語を学生に学ばせています。当時、 英語が苦手だった私は、自分は外国語が嫌いであるという風に自分自身で認識していました。
しかし、フランス語を勉強して初めて、それは勘違いであったと分かりました。学校で強制されて勉強していた外国 語とは違い、自分の意志で学ぶと決意したフランス語は今までにないほど精力的に取り組むことができ、最も重要な要素の一つである「勉強していて楽しい」という気持ちを思い起こさせました。また、PBP という目標があると尚更勉強に励む事ができ、それに加えて仏検で自分自身のフランス語の習得度が確認できることが、フランス語の勉強に拍車を掛けることができたのではないかと考えています。
次の PBP は 2023 年に開催されます。無論、体力と精神力の許す限り次回も参加するつもりでいます。当然それが目標ですが、今度はそれに加えて、今まで以上にフランス語の習得に励み、次回の PBP までに1級合格者の会に御呼ばれされたいな~~~という新たな目標を抱いてこれからも頑張っていきたいと思います。
追伸:世界中が新型コロナウイルスの脅威にさらされている中、私も2020年の春からフランス留学を予定していま したが、秋以降に延期となりました。蒸し暑い日本の夏が今年もやってくる上にマスクも標準装備になるので、その部分にやや絶望しています。
外の世界に出ることが不可能になったご時世ですが、前向きに捉えると、人に与えられている時間の総量は変わ りません。1日24時間365日です。2020年度の春季の仏検も中止が決まり、春季に開催される予定だった仏検1 級の試験は秋季に持ち越されることになりました。
つまり、本来受けられないはずの秋季に1級の試験を受けることができ、尚且つ家に居る時間が長いので勉強する 時間も取りやすくなったということです。これは寧ろチャンスです。私自身はこの新型コロナウイルスに与えられた時間を 活かしてさらにフランス語の上の段階へとステップアップしていこうと思います。