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小野講師・ルメタ講師のプチ翻訳講座

 

 

翻訳基礎科講師の小野先生、ルメタ先生が 2025年12月~2026年2月にかけて X (旧Twitter) で
連載していた翻訳講座の内容をまとめました。

(1)(10)の青いタイトルをクリックすると詳しい解説が開きます。

 
(1)注意すべき語彙
  • 翻訳をおこなう場合、本当に注意すべき語彙は滅多に出会わない語や自分が知らない語ではありません。そうした語は辞書を引けば、必要な意味を比較的短時間で見出だせます。本当に注意すべきは、同じ語、あるいは同じ綴りの語でしかも多様な用法を持つ語です。その筆頭は que です。ほかに plus, aussi, le, l’, de なども que ほどではありませんが、よく出てくる語で、用法の見取り図をしっかり持っておくことが重要な語です。

     

    queは疑問代名詞、関係代名詞、接続詞等さまざまの品詞として用いられ、また同じ接続詞とは言ってもまたその中に多様な用法があります。Je pense que …のque、tellement ….queのque, 比較の対象項を導くque, 文頭に出ててきて、その後の動詞として接続法を要求するqueといった具合です。こうした語については、1年に1度ぐらいは辞書でその全体を通読して、自分の頭の中に漠然とした見取り図を作る努力をしてください。

     
(2)多様な意味を持つ動詞
  • 動詞でも多様な意味を持ち、また頻繁に使う熟語表現を持つ動詞があります。こうした動詞についても、定期的に辞書でその用法の全体を眺めて、自分の頭に漠然とした見取り図を作りましょう。そうした見取り図がなければ、自分が処理できる場合と、辞書に戻らなければ処理できない場合の区別すらできません。そのような動詞とはたとえばfaire, mettre, rendre, laisser等々です。

     
(3)前置詞
  • 前置詞については、それがどのような言い回しで用いられているかを、一々明確に把握するようにしてください。文中のどの動詞、形容詞、名詞との関係でそれが用いられているかを見極める必要があります。その際注意するのは、それと関係する要素が、直前に置かれていない場合が往々にしてあることです。前置詞と関係する要素が多少離れた場所にあっても、その関係を見極める能力が要求されます。

     
(4)離れていても…
  • フランス語は人称・単複によって、動詞活用の形が違います。また形容詞、過去分詞には性・数に応じて、形態変化があります。言い換えれば、主語と動詞が多少離れていても、また名詞・代名詞とそれと関係する形容詞・過去分詞の位置が多少離れていても、主語と動詞、名詞・代名詞と関係する形容詞・過去分詞の関係を明瞭に判別できます。この関係を見失わないことが重要です。また和訳で、その関係がきちんと見えるようになっているか確認してください。

     
(5)名詞の複数形の訳出
  • フランス語では名詞は必ず単数か複数になります。これに対し、日本語は往々にして名詞を使う場合に単数複数の区別が明瞭ではありません。フランス語で複数名詞が使われている場合に、自分が作成した訳文で、フランス語の複数名詞が複数のものとして読んでもらえるか否か確認する習慣を付けてください。

     
(6)省略された要素がわかるように
  • 複数の節があって、その中で同じ要素が繰り返される場合に、その要素は後ろに来る節では往々にして省略されます。その際、残された要素だけを使って和訳を作るのではなく、とりあえずは省略された要素を頭の中で復元して和訳を作成してください。もちろん日本語で当該要素を省略しても文意の理解を妨げない場合、和訳で繰り返しの部分を省略しても構いませんが、その場合日本語を読んでも、何が省略されているかわかる訳文を作成してください。

     
(7)完全文でない形
  • フランス語のテキストでは、省略が繰返しを避けるためでなく、文章を印象的なものにするために、主語・動詞がなくて、完全文でない形で文の要素、とくに名詞とそれを形容する部分が投げ出されている場合があります。こうした場合、それを完全文にするにはどのような要素を付け加えればよいか考える習慣を付けてください。多くの場合、文頭にC’estあるいはIl y aを付ければ完全文になります。

     
(8)「…」の中身
  • フランス語では « … »、すなわち日本語の「…」のなかに、本来「…」の外にあるべき要素が入り込んでくることが往々にしてあります。たとえば、スタンダールの『赤と黒』で貧民収容所長ヴァルノが言う台詞を示した、

     

    « Parbleu ! Je le crois bien, répondit le directeur triomphant, j’ai fait imposer silence aux gueux. »

     

    では、répondit le directeur triomphant, の部分は本来「…」の外にある部分で、ヴァルノが言った言葉は « Parbleu ! Je le crois bien, j’ai fait imposer silence aux gueux. »です。

    このふたつの部分をきちんと読み分ける必要があります。

     
(9)条件法
  • 条件法が出てきた場合、注意が必要です。条件法現在には主に現実とは反対の仮定に対応する帰結、語調緩和、過去未来の用法がありますが、実際に出てきた条件法がこの3つのうちどれに相当するかまず考えてください。難しいのは、現実とは反対の仮定に対応する帰結を表わす場合で、仮定が「si + 半過去」の形では現れず、別の形で出てくる場合、また別の形で出てくることもなく、暗黙の仮定である場合です。この場合、何が仮定された上での帰結であるのかを正しく読み取る必要があります。

     
(10)不必要な語は削除
  • フランス語は動詞があれば、必ず主語を置かなければなりません。また名詞には往々にして、「私の」「彼の」等々の所有形容詞が付きます。これを日本語の訳文ですべて「私が」「彼が」あるいは「私の」「彼の」と日本語に落としていくと、訳文としてはうるさい感じがつきまといます。訳文作成の後に、一度フランス語を離れ訳文を日本語として読み直し、不必要な語は削除してください。迷った場合、原文ともう一度突照合し、省略しても文意を捻じ曲げないか確認してください。

     

 

 
(1)逐語訳を避けるべき理由 | Pourquoi éviter le mot à mot ?
  • 日本語とフランス語は仕組みがまったく異なります。日本語をそのまま逐語訳すると、不自然で意味の取りにくい フランス語 になってしまうことがよくあります。 ある日、学生から 「Désolée, je ne peux venir en classe car j’ai la chaleur(私は“暑さ”があります)」 というメッセージが届きました。彼女が言いたかったのは、日本語の「熱がある」にあたる 「j’ai de la fièvre」(私は熱があります) でした。 文脈を考えず、辞書の訳語をそのまま当てはめるのは危険です。
  • Le japonais et le français fonctionnent différemment. Une traduction littérale donne souvent un français étrange ou incohérent. Un jour, une élève m’a écrit : “Désolée, je ne peux venir en classe car j’ai la chaleur”. Elle voulait dire “j’ai de la fièvre”. 熱がある. Ne vous fiez pas aux traductions du dictionnaire hors de tout contexte.

     
(2)翻訳の前にまず理解する | Comprendre avant de traduire
  • フランス語を書く前に、日本語の内容をしっかり理解しましょう。専門的・文学的な文章ほど丁寧な分析が必要です。文学作品の場合は、作者の文体も観察し、フランス語で等価となる表現を探します。 「理解すること」そのものが、すでに翻訳の第一歩なのです。
  • Avant d’écrire un mot en français, assurez-vous d’avoir compris le texte japonais. Certains sujets spécialisés ou littéraires demandent une vraie analyse. Avec un texte littéraire, observez aussi le style de l’auteur pour chercher une équivalence dans la langue cible. Comprendre, c’est déjà traduire.

     
(3)テキストの種類を見極める | Identifier le type de texte
  • 翻訳する文章が何なのかをまず考えましょう。記事、手紙、エッセイ、小説…種類によってフランス語の語り口は変わります。 同じテーマのフランス語資料を読むと、語彙や言い回し、文体がよく分かり、自然で説得力のあるフランス語に近づけます。
  • Demandez-vous quel type de texte vous traduisez : article, lettre, essai, roman… Le ton français dépend du genre. Lisez des documents français sur le même thème : vocabulaire, tournures, style. Ces références vous guideront et vous aideront à trouver un français approprié et crédible.

     
(4)適切な語彙を選ぶ | Choisir les bons mots
  • 仏和辞書だけでは十分ではありません。実際の使われ方を、仏仏辞典や信頼できる記事で確認しましょう。単語が文脈の中でどのように使われているかを調べることで、不自然な表現を避けられます。 例えば、日本語の表現「風呂キャンセル界隈」を文字通り 「le milieu de l’annulation du bain」 と訳しても、フランス語話者にはまったく意味が伝わりません。 この表現は皮肉を込めて、「Club des gens qui ont la flemme de se laver」 のようなニュアンスを指しているのです。 直訳すると意味不明になってしまう良い例です。
  • Le dictionnaire bilingue ne suffit pas. Vérifiez l’usage réel dans un dictionnaire unilingue ou dans des articles fiables. Cherchez comment les mots sont employés en contexte. Cela vous évitera les formulations étranges. Par exemple, si vous traduisez littéralement l’expression 「風呂キャンセル界隈」(“le milieu de l’annulation du bain”) les Français ne comprendront rien ! Il s’agit ici ironiquement du “Club des gens qui ont la flemme de se laver” (les Français ne prennent pas de bain mais des douches).

     
(5)フランス語の文を組み立てる | Construire une phrase française
  • フランス語の基本語順は「主語+動詞+補語」です。日本語では主語が省略され、動詞は文末に来ます。フランス語では主語が必須なので、原文に書かれていない場合も、文脈に合った主語を補う必要があります。その方が読み手に親切です
  • En français, la structure de base est SUJET + VERBE + COMPLÉMENT. En japonais, le verbe arrive à la fin et le sujet disparaît souvent. En français, il faut le réintroduire. Si le japonais ne le dit pas, inventez un sujet logique et cohérent. Votre lecteur vous remerciera.

     
(6)少しずつ組み立てて訳す | Traduire pas à pas
  • 長い文を訳すときは、まず主節(proposition principale)を訳し、その後に従属節を足していきます。少しずつ進めることがコツです。 また、つなぎ方にも注意しましょう。「parce que」は節(文)を伴い、「à cause de」は名詞を伴います。こうした細かなポイントが、自然で読みやすいフランス語を作ります。
  • Pour une phrase longue, commencez par la proposition principale, puis ajoutez les subordonnées. Avancez progressivement. Faites attention aux constructions : « parce que » avec une phrase, « à cause de » avec un nom. De petits détails, mais essentiels pour produire un texte fluide et correct.

     
(7)推敲という芸術 | L’art de la relecture
  • 訳文は何度も読み返しましょう。声に出すとさらに効果的です。読み直すことで、不自然な表現や誤訳、抜け落ちに気づけます。構文、語調、論理的な流れも整えましょう。翻訳は手直しを重ねるほど、自然さと精度が高まります。 フランス語には「作品は二十回でも作業台に戻してやり直しなさい」ということわざがあります。翻訳にもまさに同じことが言えます!
  • Relisez plusieurs fois, à voix haute si possible. La relecture révèle les maladresses, les contresens, les oublis. Travaillez la syntaxe, le ton, les liens logiques. Une bonne traduction s’améliore au fil des versions : plus vous la retravaillez, plus elle gagne en naturel et en précision. En français on dit “Vingt fois sur le métier remettez votre ouvrage “. Cela vaut aussi pour la traduction !

     
(8)バランスを取る | Trouver l’équilibre
  • 忠実に訳すことは、原文の細部を一字一句すべて盛り込むことではありません。 日本語の文章には、日本語読者向けの補足が多く入ります。たとえば「パリ(フランスの首都)」「マクロン(フランス共和国大統領)」のような情報は、フランス語では説明する必要がありません。 その一方で、日本語では省かれている情報をフランス語に加えた方が、読者にとって親切な場合もあります。たとえば「大阪、日本で2番目に大きい都市」のように、背景を少し補足することで理解がスムーズになります。 大切なのは、日本語の読者とフランス語の読者が、最終的に同じ内容・同じ理解にたどり着くことです。翻訳とは、情報をそのまま移し替える作業ではなく、読者にとって適切な形に整える「調整」の技術でもあるのです。
  • Être fidèle ne signifie pas traduire l’intégralité du texte dans tous ces détails. Les textes japonais comportent des détails qui sont inutiles aux Français, par exemle “Paris, capitale de la France” ou “Macron, le président de la République française”. À l’inverse, il sera intéressant d’ajouter des éléments en français qui n’existent pas en japonais: “Osaka, 2e ville du Japon”, etc. L’important est que lecteurs français et japonais obtiennent au final les mêmes informations.

     
(9)AIは「正しく使えば」賢い味方!| L’IA, un outil intelligent à condition de bien l’utiliser !
  • AI は、あなたの代わりに翻訳を丸ごと“してしまう”ための道具ではありません。大切なのは、まず自分で考え、自分の言葉で訳してみることです。そのうえで、分からない日本語の意味を確かめたり、フランス語の微妙なニュアンスを調べたりするために AI を活用しましょう。 AI はあなたの理解や努力の代わりにはなりませんが、うまく使えば学習を後押ししてくれる強力なパートナーになります。忠実に、そして自然に訳す力を身につけるためにも、AI は補助として賢く使うのが一番です!
  • L’IA n’est pas là pour traduire à votre place. Utilisez-la plutôt pour éclaircir un mot japonais, explorer des nuances françaises ou vérifier une idée. L’essentiel est de réfléchir vous-même. L’IA vous aide à progresser, mais elle ne remplace pas votre compréhension ni votre travail. Ce n’est pas en vous appuyant totalement sur l’IA que vous progresserez en français et dans l’art de traduire !

     
(10)AIを練習相手として使う | L’IA comme partenaire d’entraînement
  • まずは自分で訳文を書きましょう。完璧でなくても構いません。その後でAIに改善案を出させたり、解説を求めたり、複数の選択肢を比較したりします。 文体・語調・レジスターに関する質問も効果的です。 このように使えば、AIは「翻訳者の代わり」ではなく、あなたの学びを深める頼もしいパートナーになります。そして教師は、AIにはできない、個別に寄り添った細やかな指導を提供できるのです。
  • Rédigez d’abord votre propre traduction, même imparfaite. Ensuite, demandez à l’IA d’améliorer, d’expliquer ou de comparer plusieurs options. Posez-lui des questions sur le style, le ton ou les registres. Utilisée ainsi, l’IA devient un guide pédagogique précieux, pas un substitut au traducteur… ni de l’enseignant qui apportera une approche plus personnelle et sensible, adaptée à vos besoins !

     

     

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