フランス、努力、そして楽しみ
2012年春季1級合格
杉浦 恵里
大学生(東京大学)・東京都
私が初めてフランス語に触れたのは、中学三年生の頃でした。父の赴任でパリの現地校に通う事になったものの、当初はフランス語は全く話せませんでした。授業についていけず友人もできなかったため、劣等感を抱いていた私は「早く日本に帰りたい」と強く願っていました。
しかしある日、授業で日本の生活文化について説明を求められたことがありました。その時、「私だからこそできることもある。現状から逃げるのではなく、できることから始めてみよう!」と心に決め、それ以降は毎晩辞書を片手に深夜まで授業の復習をしました。徐々にフランス語力も向上し授業にも参加できる様になると、周囲との意思疎通もできる様になり、友人と共に溌剌とした毎日を過ごす中で劣等感も解消していきました。高校卒業までパリに滞在しましたが、この四年間を明るく前向きな気持ちで過ごせたのも日々の努力の積み重ねのおかげだと思います。
帰国してからはフランス語により一層接していたいと思い、仏検に挑戦しました。この時も、コツコツした地道な努力を惜しみませんでした。1級の対策をしようと問題集を開いた当初は分からない単語ばかりで不安でしたが、小さなノートに片っ端から単語・意味・例文を書き込み、頻繁に読み返すよう心掛けました。また時事用語の対策として、フランス語の新鮮なニュースに触れようとインターネットラジオを聞いたり、フランスの新聞社のスマートフォン用のアプリをダウンロードして毎朝の通学電車で記事を読んだりしました。
こうした取り組みも、一つひとつを「楽しい!」と思う気持ちがあったから続けられたのだと思います。語彙を覚える事で仏検にも役立ちましたし、自分の研究(フランス地域研究)で読む学術論文の理解も深まりました。またフランスのニュースを通して現地でのホットな話題を知れたのは非常に興味深く、気付いたら降車駅を通り過ぎていた事もありました。
1級取得は、私にフランス語の更なる学習意欲を与えてくれました。これからもフランス語、そしてフランスとの関わりをもっと深くしていきたいと思っています。