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第3回 どうせ辞書をひくなら

東京工業大学名誉教授 中山 眞彦

辞書を引くのは厄介ですね。でも知らない単語は辞書で調べざるをえない。どうせ手間をかけるのなら、一石二鳥をねらってはいかがでしょうか。二つのことを提案します。(1)はみんなが試みてください。(2)は2級以上を目指す人に勧めます。

(1)声を出して辞書を引こう。

Il y a une compagnie ou je voulais travailler,…という文があります(2003年秋季3級筆記)。「働きたいと思っていた une compagnieがあります、・・・」ということですね。このcompagnieという単語を知らないとします。
そこで辞書を引きます。電子辞書にc, o, m, p, a, g, n, i,eと入力してクリックすると、compagnie会社、と出てきます。
「働きたいと思っていた会社があります、・・・」。これで当座の用は足りるのですが、コンピューターならぬ人間の頭脳のはかなさ、いま調べたばかりの語をすぐに忘れてしまうのが普通です。せっかく手間をかけたのに、もったいない!
もう少し頭に刻み込む方法はないか?入力の仕方を工夫しましょう。文字といっしょに音声で入力しましょう。すなわち、com [コン]?pa [パ]-gnie [ニ]。 こうすると、肝心の単語の綴りと音が記憶に留まるような気がしませんか?意味だけを調べてそれで終わりでは、フランス語そのものは頭を素通りしてしまうのですね。みなさんはかなりの時間をかけて辞書を調べているはずですから、この違いが蓄積されると結果は大きいと思います。
古典的な(?)辞書をめくっている人も同じことを試みてください。見出し語をcom[コン] ?pa [パ] ?gnie [ニ]と声を出して読むことですね。
あのぅ、読み方がわからないんですけど・・・たしかに、慣れないうちは難しく感じますよね。そこで次回のこのページで、フランス語の文字の読み方についてヒントを差し上げたいと予定しています。

(2)前後ものぞいてみよう。

2003年春季2級筆記に、… le chauffage central, l’aspirateur …という語句があります。20世紀の半ばに生活が便利になったという文脈です。
辞書を引いてみましょう。chauffage暖房、ああそうか・・・では欲がなさすぎはしませんか?ほんの少し後を見ると、chauffer暖める、があります。さらにその例文を見ると、chauffer une chambre部屋を暖める、とあります。これらをchauffageに重ねると、私たちまで身体がポカポカしてくるような感じがしませんか?これこそ、単なる訳語を超えた、フランス語の語感というものでしょうね。
central中心の よりも、すぐ後のcentre中心 のほうがイメージがつかみ安いと思います。地域の中心に大きな暖房装置を据え付けて、熱湯を各戸に配るわけですね。
aspirateur電気掃除機は、ぜひ、すぐ後のaspirer吸い込む を見てください。
なるほど、ごみを吸い込む機械なのだ。言い得て妙なり。フランス語は賢い!紙の上で接していたフランスが、ぐんと近寄ってくるような気がしませんか?