決め手は、やはり、正書法
2013年春季1級合格・エールフランス特別賞
古谷 英之
公立中学校教諭(数学科)/通訳案内士(フランス語)・東京都
1988年4月にNHKラジオフランス語講座入門編の門を叩いた一高校生が、2015年4月でフランス語学習28年生となりました。お蔭様で、昨年8月、2013年度エールフランス特別賞の航空券を片手に一路フランスへ。家内と共に、最高のパリ旅行を満喫いたしました。
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「父や母の時代のフランス語でお話しになりますね!」
周遊時の拙い経験を体験記として還元させていただければと考えておりますと、シャンゼリゼ通りのルイ・ヴィトンの女性店員さんが、シャンパン入りのグラスをお出しになりながらかけてくださった言葉が思い出されます。
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「財布を買いたいのですが…」
「私も!」
1995年3月、マルソー通りのヴィトンの店内にて、7年間学んできたフランス語で恐る恐る話しかけたご夫人からの返答に大恥をかいた理工学部4年生は、財布やベルトの注文に続き、免税手続きの確認でも大苦戦したものでした。ところが昨夏、芸術の都の新店舗では、人生初のパリ旅行での笑い話つきのベルトにピッタリのポシェットとキーホルダー、家内のバッグとカード入れを購入。記念の美酒に酔いながら、絵になる(?)買い物ができました。
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「味噌汁をお飲みになるかをお客様に伺うには、どのように申し上げればよいのでしょうか?」
花の都の老舗にて、愚鈍な学生の卒業旅行の思い出話に花が咲いておりました頃、今回の行きの機内でお受けいたしましたこの質問が心に浮かびました。自身作成のアルファベ表記による『日本語会話表現集』をじっくりと読んでくださったエールフランスの若手女性フライトアテンダントさんは、颯爽と接客を終えられると、すぐに私の座席にお見えになりました。
「お勧めの日本の観光名所を教えていただけますか?」
熱心にお尋ねになる美女に、ヴァカンス返上で、浅草界隈の様子を丁寧に説明いたしました。
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「動詞だけでもここまで活用が複雑な言語を話せるようになるためには、どうすればよいのだろうか?」
ラジオ講座初日以来、仏語学習1年生は、日々大きな不安に苛まれました。
「人生という大舞台で、フランス人と共に、熱狂的な一幕を上演できるようになるためには、どうすればよいのだろうか?」
現在、28年生として、寝食を忘れてこの壮大なテーマに取り組んでおります(笑)。
こうした難問を解く鍵は、次の一点にあると思われます。
「正書法遵守を目標とすること、すなわち、フランス人も驚くほど文法的に正確なフランス語の運用を理想とすること」
4つの書物(仏和辞典・和仏辞典・仏仏辞典・文法書)で4つの学力(読む力・書く力・聞く力・話す力)を徹底的に磨きましょう! チャンスが訪れたら、自分のフランス語を全力でフランス人にぶつけましょう!
正書法は、仏検突破のための強力な武器でもあります。受検生の皆様がご希望の級に合格され、フランス語をお使いになる度に一生の宝となる思い出を手にされますよう、心よりお祈り申し上げます。