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フランスとの縁、そして仏検団体受験参加へ

 中村 翠(名古屋商科大学)

 私の所属する名古屋商科大学では、単位取得が必須な第2外国語の制度はありません。そのかわり、自由選択で英語以外の言語を学ぶことができます。フランス語、中国語、韓国語です。以前はベトナム語やタイ語の授業もあったようなのですが、現在ではありません。世界的に高まる英語の重要性に押される形で、その他の言語教育が縮小されていく傾向は、やはり本学にもあるのかも知れません。

 しかし、自由選択とはいえ上に挙げた語学の検定試験については、本学は単位認定制度を取り入れており、外国語の習得を積極的に促進しています。具体的には、最下の級に合格すると2単位が認定され、その後級があがるごとに1単位がそれぞれ認定されます。あるいは、初回で最下級よりも上の級を受験し合格すると、3単位が認定されます。

 しかも、これらの自由選択の外国語のうちでも、フランス語は本学において存在感を確保しています。それは、フランスと本学を結ぶ縁があるからといえます。

 まず、交換留学制度によるつながりがあります。本学は商科大学ですが、様々な海外の大学との交換留学を行っています。その中でも、全全体の提携校95校のうち、フランスの提携校は12校と、群を抜いています。さらに、平成26年度に本学に留学した学生総数26ヶ国88名のうち、フランスからの交換留学生は、前期9名後期17名、あわせて年間で26名と、他国に比べて最多です。なお平成27年度には前期だけで16名がフランスから留学予定ですので、後期をあわせると前年よりも増える見込みです。これら提携校には、グランゼコールのひとつであるInstitut d’études politiques de Lilleをはじめとして、有名校が名を連ねています。このように常に一定数のフランス人留学生がいますので、フランス語を学ぶ日本人学生の中には、留学生と交流をはかっている人もいるようです。

 また、実はモニュメントの面でもフランスとちょっとした縁があります。本学のキャンパス内に特徴のある建築物が二つあります。ミレニアム・ゲートと呼ばれる正門(写真①参照)と、インテリジェント・スクール・ビル(通称ISビルあるいはクリスタル・ビルディング)と呼ばれるガラスのピラミッド建築(写真②参照)です。すぐに気付く人も多いかと思いますが、1989年、フランス革命200周年を記念して、当時の大統領フランソワ・ミッテランが推進したグラン・プロジェ(Grand Projet)の一環、ラ・デファンスのグランド・アルシュ(Grande Arche de la Défence)と、ルーヴル美術館のピラミッド(Pyramide du Louvre)に良く似ています。

 誰しも、名古屋商科大学のこれら二つの建築物はフランスのグラン・プロジェからインスピレーションを得たのかと思うことでしょう。正門については、そうだと言えます。名古屋商科大学の新しい正門は、ラ・デファンスが出来てから約10年後の2000年に出来たため、ミレニアム・ゲートと呼ばれています。しかしISビルについては、栗本学長にインタビューしたところ、なんと1988年の建築だそうです(写真③の定礎板参照)。つまり、ルーヴルのピラミッドよりも少し先に出来ていたのです。学長によれば、二つのピラミッド建築のプロジェクトが似たような時期に立ち上げられたのはまったくの偶然だったそうです。

このように、フランスと直接的にも間接的にも縁のある本学ですが、仏検の団体受験はこれまで行ってきませんでした。仏検を受験する学生は、個人で申し込みを行っていました。ところがこの平成26年度秋季から、団体コードを取得し、団体受験ができるようになりました。本学での団体受験の申し込み方法は、まず教務事務局で受験料のチケットを購入します。

 このチケットと記入済みの申し込み書をあわせて、語学センターの窓口に持って行きます。提出された申込書を担当者がとりまとめて下さり、最終的に経理に提出します。

 こうして初めて実施された仏検団体受験によって、私のクラスと、同じくフランス語を担当されているキム=フレス先生のクラスを合わせてのべ14名が受験しました。受験する学生の中には、服飾関係や国際ボランティアなど、将来フランスのみならず世界中のフランス語圏と関わりのある仕事に就き、語学力を活かしたいと考えている人もいます。試験前には、私のクラスでは希望する学生に対して、授業前の休憩を利用して、15分だけ仏検対策の時間を設けました。思い切って受験した学生はやはり通常の授業でもフランス語力を定着することができていると感じられますし、また今後もフランス語を続けて次の段階に移りたいという意欲を新たにしているようです。

 次回以降、より多くの学生が受験することを願っています。

 (ご所属は寄稿当時のものです)