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第4回 文字の読み方

東京工業大学名誉教授 中山 眞彦

1.入門用

フランス語の字の読み方は実にややこしい、そう感じている人が多いことでしょう。教師にも伝わってきます。4月に授業を始めて、音声だけの最初の数回はすいすい進みますが、文字が出てくるととたんにストップです。フランス語などとらなければよかった、という顔もちらほら見えます。

でも、さじを投げることはない。ひとふんばりしましょう。実はフランス語文字の読み方はさほどむずかしくはありません。フランス語は基本的にはローマ字なのです。

ami [アミ、友人]、merci [メルスィ、ありがとう]。ローマ字だと思えばよい。簡単です。

とは言ってもまったくローマ字と同じというわけではない。そこがひっかかるところですね。これをクリアーするために次のことを頭に置きましょう。

要は母音字(a,i,u,e,o)である。4つのことに注意。

(1)単語の最後のeは読まない。amie [アミ、女の友人]、gare [ガール、駅]
(2)母音字が続くと要注意。mai [メ、五月]、tour [トゥール、塔]、など。
(3)母音字の後に m、n があれば要注意。enfant [アンファン、子供]、jardin [ジャルダン、庭]など。
(4)il(le)は辞書などで調べること。famille [ファミーユ、家族]、など。

もちろんこれで全部O.K.ではありませんが、突破口になることは請け合いです。あとは教科書や参考書を見てください。とにかく以上の4項目をいつも念頭におけば、音声と文字の接続が格段に早まるはずです。

2.初級・中級用

je verrai, tu verras, il verra,...voirの単純未来形ですね。私がこれを暗記した(させられた)のは、4月にフランス語の授業が始まって二ヶ月ほど後、夏休み前のことでした。単純未来形そのものはまだ習っていなかったはずですが、とにかく動詞変化を全部(接続法まで)暗記するのが単位をもらう条件でした。

21世紀の今日、そのような蛮行に及ぶ教師がいたらそれこそクビにもなりかねませんが、なにしろ半世紀以上前の学生は国民学校で、教育勅語はおろか、かの膨大な軍人勅諭を全部暗誦するというしごきに耐えていますから、これしきのことにたじろいだりはしません。(以上につき分からない点はおじいさん・おばあさんに尋ねてください。)

ただ一つ難点があって、それは、音声抜きの、まったく字面だけの暗記だったことです。先生が動詞変化表を読んでくれるわけではないし、録音技術はまだ普及していない。もっぱら鉛筆を動かして、がむしゃらに、動詞変化表を丸一冊、とにかく綴り字を暗記しました。当然のことながら疑問点が噴出します。同じ voir の変化である(と見えながら)、devoir の単純未来形は je devrai, tu devras, il devra,…と、e がなく r が一つなのはこれいかに?ずっと後になって、je verrai [ヴェレ]、je deverai [ドゥヴレ]、と聴いたときはハッとしました。ホッとした、と言うべきかもしれない。

この昔話に共感を寄せてくださる方々は、いっしょに次のことを確認しましょう。まずは単語の途中の、アクサンなしのeの字の読み方です。e の後に子音字が二つ並べば読む。例:mettre [メットル、置く]、nécessaire [ネ・セ・セール、必要な]。子音字が一つだけなら読まない。例:melon [ム・ロン、めろん]、demi [ドゥ・ミ、半分]。

これをさらに理屈っぽく言えば、音節の区切り方の問題になります。フランス語の音節の文字上の仕組みには、(1)母音、(2)母音+子音、(3)子音+母音、(4)子音+母音+子音、の4つの型があると考えてよいでしょう。ami [ア・ミ、友達] は a / mi で(1)型と(3)型、nécessaire [ネ・セ・セール、必要な] は né / ces / saire で(3)型と(4)型というわけですね。つまり子音字が続くとこれを分けることになります。例:actif [アク・ティフ、活動的な] は ac / tif で(2)型と(4)型。e を読むのは(2)と(4)型です。effet [エ・フェ、結果](ef-fet)など。

ところが厄介なことに、連続する子音字を分けないケースが少なくありません。retrouver [ル・トルゥ・ヴェ、再び見出す] は re / trou/ ver であり、したがって re の e は読みません。じゃあ、それを早く教えてください、とのご要望はもっともです。ただ話がますます込み入ってきて、ページの余裕も尽きましたから、今回は、辞書をぱらぱらめくって単語の出だしに着目してみたら、とだけ述べておきます。

以上の一部だけでも頭に置いておけば、フランス語の文字を読む際はもちろん、自分でフランス語を書く場合にもきっと役に立つはずです。